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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ゴルダとシェリス

四季など関係ないリヴァルスの山中を、最低限の防寒装備をしたゴルダが風に逆らいながら歩いていた。
今日またリヴァルスの雪山へ来たのは、夢の中でシェリスが来いと呼んでいたからである。
理由までは言われなかったが、こうまでして呼ぶからには何らかの理由があるのだ。

「しっかしまあ、相変わらずひどい風に積雪だこと」

足首辺りまで積もっているにも関わらず、難なく歩きながらゴルダは呟く。
シェリスは夢に出てきたとき、この辺りで待つと言っていたのだが肝心の本人の姿が見当たらない。
こんなに積もってたら移動も難しいのかと思いながら、辺りを見渡していると

「おうおうおう、本人じゃなくて下っ端の方か」

数匹のリヴァルスウルフがどこからか現れ、こっちだと言わんばかりに背を向けて歩き出す。
その移動の仕方は、積雪した雪の深さを度外視したかのような移動法で、端から見るとどういう移動をしているのかが謎である。
ゴルダの方から見れば、どう見ても雪の上を「跳んでいる」ようにしか見えない。

「急いでる雰囲気でないのに歩みが早いとはこれいかに」

何をそこまで急ぐとゴルダもまた難なく移動していた足を速め、ついて行く。
ついて行った先では、シェリスが待っていたわと言わんばかりの態度で堂々と座っていた。
ゴルダはひとまず荷物を下し、シェリスにどうして呼んだのかと聞く。
するとシェリスは立ち上がってゴルダの匂いを嗅ぐと

「ちょっとね、まあ付き合いなさいよ」

どう考えても暇つぶしに付き合えというようなことを言う。
それにゴルダは頭を掻きむしりながらしばらく突っ立っていたが、突然飛びかかって来たシェリスに押し倒された。
ゴルダはその直後シェリスを引き離し、やめんかと言いながら抜けかけたナイフを元に戻す。
だがそれでもシェリスがじゃれ付く意味で飛びかかって来たので、ゴルダは手で制してとりあえずその頭を撫でる。
こんなことをして、他のリヴァルスウルフたちが嫉妬したりしないのかというと、内心ぐぬぬとはするがシェリスには逆らえないので静観しているに過ぎない。

「おいおい、何だこりゃ。目ヤニがついてるぞ」

ふと目の辺りを見ると、シェリスの目に目ヤニが固まっていたのでゴルダはそっと取ってやる。
目ヤニを取ってもらった礼かどうかは分からないが、シェリスはゴルダの顔を舐めた。

「さて、どうしたものか」

ふとたまたま持ってきていた狩猟用ライフルを取出し、リヴァルスウルフの縄張りもとい寝床を余計な荷物を置いたまま一時的に離れるゴルダ。
シェリスも他のリヴァルスウルフたちもそれに気づかないというよりは、行ってらっしゃいと言わんばかりに見送ってくれた。
何を狙うかは釈然としていなかったが、鹿が居ればそれを狙おうとは考えていた。

「兎は居れど鹿は見当たらず」

ライフルを背中に背負い、獲物を探すも見つかるのは兎くらいという状況の中、それでもゴルダは鹿を探す。
やがて、500メートルほど先に鹿が居るのを発見したゴルダは匍匐状態になってライフルを構えてとりあえずは様子を見る。
こちらを見ている様子がないと確認したゴルダは、一旦ライフルを下して弾を装填して再度構え直し、引き金を引く。
弾丸は鹿の後ろ左足の足首に命中、こちらに気付いたのかどうかは分からないが鹿が逃げ出したのでゴルダは

「楽しくなってきたなこれは」

と鼻で笑いながら呟き、後を追った。
それから1時間ほど鹿の後を追い、ゴルダはようやく鹿を追い詰めてナイフで首を切ってとどめを刺す。
倒れた鹿の首からにじみ出る血が雪を染め、左後ろ脚に命中した弾丸を取り出して持って帰ろうとした途端。

「何だお前ら、ずっと俺の後を付けていたのか?」

数匹のリヴァルスウルフが目を輝かせてよこせよこせと言わんばかりにじっと見つめていた。
ゴルダは鹿を担ぐと、その数匹に縄張りに戻るぞとアイコンタクトで伝えてそのままシェリスの所へ戻る。
そして戻って来たゴルダを見て、シェリスはあらあらというような顔をして出迎えてくれた。

「ほらお前らで食え、俺は要らん」

それを聞いて、シェリスは他で分けて食えと指示を出すとゴルダをぐいぐい引っ張ってこっちへ来いと言う。
何だよと言いながらついて行くと、その先はシェリスの私的なスペース。
群れの中でもかなり上の位しか出入りすることを許されていない場所だ。

「とりあえずそこ座りなさい」

まるで今から息子に説教をする父親のような態度でシェリスは言う。
ゴルダはそんな威圧的に言わなてもいいだろと思いながら、その場に胡坐をかいて座る。
すると、その隙間にシェリスが頭を乗せて寝転がって来た。

「お前なあ、仮にも群れの長で狼だろ。犬とは違うんだぞ?狼のプライドもへったくれもない行為だぞこれは」

「なんか文句でも?」

プライドもへったくれもない行為だと言ったゴルダに、シェリスは文句あるのと即座に返す。
ゴルダはそれに対してもうええわというような感じで何も返さず、ノミやダニが居ないかを確かめ始めた。
だが、ここが極寒とも言える地なせいなのかは知らないが、1匹たりとも見当たらなかった。

「硬い毛だこと」

「無いよりいいでしょうが」

その後、誰にも邪魔されない場所でゴルダはさんざんシェリスの相手をさせられた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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