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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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定義書き換えは慎重に

定義とは要素数nの木構造グラフであり、切り捨てていくと0になり、定義し続けていくと∞に到達する、
なので定義数は0と∞の間を取らなければならない。
ドランザニアにおける定義そのものはアルカトラスとシアによって宣言され、その定義の詳細は賢竜たちによって詳細に研究され現在に至る。
なお、このドランザニア大陸と言う世界の全ての定義が記録された本は、セイグリッドのアルカトラスの書斎に1冊、シアの部屋に1冊、セイグリッド城の図書室の禁書棚に予備として1冊置かれている。
そして何より、この世界での定義は現実。いわば地球上の定義とは違うものが多々存在するので時折つじつまが合わないことが起きるという。
それが吉と出るか凶と出るか、はっきりとしたことは誰にも分からない。
創造神である、アルカトラスやシアですらも。

「あと2時間以内では終わらせて」

その日、サフィは延ばし延ばしにしていたセイグリッド城の図書室の掃除を大体的に行っていた。
いつもは年が明ける前には終わらせてしまうのだが、予定が立て込んだりしてこの日まで伸びている。

「うーん、なんで1年掃除しないだけでこんなに埃が溜まるのかしらねえ」

自分もはたきで埃を払い落しながら、サフィは呟く。
この図書館は、サフィが先ほど言ったように1年掃除しないだけで5年も掃除していないような埃が溜まるなんとも不思議な場所なのだ。
ちなみに、ここまで埃が溜まるのは建築時のミスだと言われているが、アルカトラスですら原因は分からないとのことである。

「そういえばこことここをこうすれば…」

ある棚の前へ来たとき、サフィはそこが禁書の棚の部屋への隠し入口であることを思い出し、そこも掃除しようと入口を開けた。
日ごろあまり開かれない禁書の棚の部屋への入り口は、何か重いものを引きずるような音を立てつつ、埃を巻き上げながら開く。
その埃の量に、サフィも他のメイドたちも咳き込むが、換気のためにすべての窓を全開に開けていたので図書室内に充満した埃はすぐに消えた。

「ここから先は私1人でやるからいいわ」

他のメイドたちにこの中は自分でやると言って、サフィは禁書の棚の部屋の中へ。
部屋の中は禁書の棚と言われているだけのこともあって、タイトルからして読んではいけないような本や逆に興味をそそられる本など様々。
その一方では、埃は全く溜まっておらず、とてもきれいな状態が保たれている。

「掃除する必要も整理する必要もないようね、骨折り損だわ」

ちぇっと言いながらも、一応禁書の棚の部屋の中を歩き回って確認しているサフィ。
すると、1冊だけ無造作にブックスタンドに置かれた本があったのでサフィはそれを調べる。
一見すると何の変哲もない本だが、試しにサフィがその本を持ち上げてみると

「何これ、10トン以上あるんじゃないの?」

吸血鬼と吸血竜の力を持ってしてでもその本は持ち上げるのが一苦労な重さをしていた。
これは下手に持ち上げると腰をやると思ったサフィは、そのままにして本を開く。
本には普通の書物ではありえないほどにびっしりと文字の羅列が押し込められていて、何が書いてあるのか読むのも一苦労であった。

「見るからに定義を記した本のようね、種族の定義まで事細やかに書かれているし」

それがこの世界の定義の全てを記した本だと知ったサフィは、ある定義を調べるために本をめくる。
その調べようとしていた定義とは、一般的に吸血鬼がアウトとしているものの数々。
全て調べ終えた結果、ほとんどが人並より弱いながら耐性はあるというのが判明したのでサフィはその本を閉じた。

「こっちの方は終わりましたよ」

禁書の棚の部屋ではない方を掃除していたメイドの1人が、終わったと声を掛けてきたのでサフィはご苦労様と言って片づけをして戻るように指示。
最後に掃除がしっかりされているかの確認をした後、サフィはなぜかシアの所へ。

「ねえ」

「あら、お茶なんか頼んでないけど?」

サフィがシアの所へ行くと、当の本人は寝転がって異界の漫画を読んでいた。
その神らしかぬ振る舞いにサフィは何も言わずに

「定義の書き換えってできるもんなの?」

単刀直入に定義の書き換えが可能か否かを聞く。
それを聞いたシアは、読んでいた漫画を置いて起き上がると

「何企んでいるかは知らないけど、簡単よ。簡単だけど変に書き換えると面倒事招くのよ」

簡単にできるとは言ったが、面倒事が起きるのであまりやりたくなさそうな態度で返事を返す。
サフィはできるならいいじゃないという目で見ながら

「吸血鬼の耐性の定義書き換えてほしいんだけど?日光への耐性をせいぜい人並に」

日光耐性を人並にしてくれないかと言う。
シアはふうんと言う顔をした後、頷いて

「いいけどちょっと待ってて、1週間くらい」

1週間ほど待ってほしいと返事を返す。
それに対してサフィは仕方ないわねと言って、仕事へ戻った。

「あの本、見られちゃったようねえ」

サフィが仕事へ戻った後、シアは自分の所有している定義が記録された本を開き、日光の定義の所にある

「日光への吸血鬼の耐性:人並より弱い」



「日光への吸血鬼の耐性:人並」

に書き換えてそっと本を閉じ、また寝転がって漫画を読み始めた。
ちなみにシアが1週間待ってと言ったのは、定義を書き換えてからそれが反映されるのに最低1週間はかかるためである。
そして、書き換えた定義が反映された後も様子を見て微調整を入れなければならないのだ。
そう、まさにシアが面倒事が起きると言ったのはこの部分なのである。
それでもたまに、シアの所には定義を書き換えてほしいという頼みが時々舞い込んでくる。
無論、シアがその全て了承するわけではない。
なぜならば、パワーバランスを崩しかねない定義もあるからなのだ。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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