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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

晴れもほどほどに

「今日も雨だね」

「降り過ぎよ、ここ数日ずっと」

温室の中で雨宿りをしながら、イファルシアはエゼラルドとそんな話をしていた。
イファルシアの言う通り、この数日雨が上がった日は1日たりともない。
そのため、本来ならば収穫日を迎えている自主品種改良を施したイチゴも日光が当たらずに緑のままどころか腐るのも出てきている。
さらに、もう植え付けないと夏の適切な時期に収穫できなくなる野菜も植えられずじまいで、このままだと時期外れでの収穫を迎えてしまう。

「ここまで雨続くと、魔法でも使って晴れさせないといけないわ」

「でもここ1カ月まともに雨が降ってなかったんだよね」

「そんなことはいいの、収穫と植え付けが重なるこの時期さえ外してくれれば」

意地でも雨を晴れさせようとするイファルシアに、エゼラルドは遠回しにこれ以上降らないと水不足になるよ?と言った。
だがイファルシアは、そんなことはどうでもいいと言った後にこの時期さえ外してくれればと付け加えた。
エゼラルドはそれにやれやれと呟いて、ゴソゴソとどこからか妙な珠を取り出す。

「何それ?」

イファルシアはその謎の珠を指し、エゼラルドに何かと聞く。
するとエゼラルドは

「天候球『晴』って魔道具だよ、使うとどんな場所でも天気を晴れに出来るってもの」

この珠が天候を変える珠のうち、晴れにするものだと説明。
するとイファルシアはエゼラルドからそれをぶんどると

「投げて使うんでしょこれ」

と言って温室の外へ投げたのだ。
その際、エゼラルドが何かを言っていたがイファルシアは全くもって聞く耳を持っていなかった。

「あーあ…」

天候珠が起動したのを見たエゼラルドは、しまったという顔をしていたがイファルシアは気にせずこれで植え付けはできるわと言ってエゼラルドを畑に連れて行く。
2人が温室を出た時にはすでに雨は上がっていて、快晴どころではないほどに日の光が地面へ射し込んでいた。
ちなみに、畑は3日も雨が降っていたせいでベチャベチャにぬかるんでいて、そのままでは植え付けはできそうにない。

「ああそうだ、草属性のあの魔法なら」

その畑の状態を見て、イファルシアはピンと来たらしく、何かを詠唱したかと思えば額の宝石に日光を集めて

「ソーラービームっ!」

畑に向かってその日光を照射した。
するとどうだろうか、ぬかるんでいた畑の土は干ばつにでもあったかのように干からび、ひび割れたのだ。
それを見てイファルシアはやり過ぎたわと言い、エゼラルドが仕方ないなと土の水分含有量を耕しやすい程度にまで戻す。

「さて、さっさと済ませちゃおうか」

「ええ」

それから1時間ほどかけて、2人は魔法を使いつつも畑を耕して野菜を植え付け終えた。

「しかし暑いわねえ」

今度はイチゴの様子を見に行こうと移動していると、あまりにも強い日光のせいかイファルシアが暑いと言い出す。
それを見たエゼラルドは、何かを言いかけたがすぐに呑み込んで黙る。
イファルシアはそれに言いなさいよと追及もせずに暑い暑いと言いながらイチゴが植えてある場所へ。

「あら?」

「どうなってんだろう?」

そしてイチゴが植えてある場所まで来た2人だが、ある異変に気付く。
その異変とは、強すぎる日光のせいでイチゴ畑は土と元株が干からびて全滅していたのであった。

「あーもう、せっかく育てたのに台無しだわ」

ぶつくさ文句を言いながら干からびた元株を見て回っているイファルシアに、エゼラルドは重い口を開く。

「あのねイファルシア、さっき使った天候珠はパワーを調整して使わないでデフォルトで使うとフルパワーを発揮しちゃうんだよ」

エゼラルドが重い口を開いて言ったこととは、天気を無理やり変えるために使った天候珠に関してだった。
何でも、この天候珠はデフォルトではフルパワーにセットされており、使う際はそれを落としたりする必要があるのだという。

「最初に言ってよ」

それを聞いて、最初に言ってよと言ったイファルシアにエゼラルドは軽くペチッと蔦でその頭を叩いくと

「僕は言おうとしたけど聞かなかったのはそっちだよね?人の話は最後まで聞かないと」

人の話は最後まで聞こうかと言う。
イファルシアははいはいと言うと、エゼラルドに逆に雨を降らすのはないのかと聞く

「あるよ、だけど今度は使わせるわけにはいかないよ」

エゼラルドはまた別の天候珠を取り出したが、今度はイファルシアに使わせずに自分が使った。
雨を降らす方の天候珠を投げてから1分もしないうちに、夕立のような激しい雨がいきなり降って来た。

「いやん」

「びしょ濡れ確定だねこれ」

2人はそのままエゼラルドの寝床まで走ったが、結果的にずぶ濡れになった上にまた雨降りに悩まされることになる。
また振り始めた雨を見て、イファルシアは深いため息をつく。

「天候なんて簡単にいじるものじゃなかったのね」

「エルフィサリドも自在に天気は操れるけど、いじるときは慎重だって言ってたよ」

天気をいじるのは簡単なことではないと話をしている内に雨は上がり、もう夕方だったのか遠くの空に夕日が見えた。

「はあ、明日は普通に晴れてくれそうね」

夕日の赤き光を受けながら、イファルシアは伸びをしてまた夕日の光でソーラービームもどきをやろうとしたが、エゼラルドに止められた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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