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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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日課はそう簡単に抜けない

早朝のセイグリッドの庭園。
そこで槍の鍛錬をしている者が居た。
それは紛れもなくバハムードで、ドランザニアへ戻って来てからも今まで行っていた世界での日課を欠かさずに行っている。

「槍も新しくた方がいいかな」

一通り鍛錬を終え、槍を下すバハムード。
この槍は、前に居た世界で傭兵をしていた時に手に入れた槍であり、何よりも竜使いをしていた証でもあるのだ。
だがその竜とは、この世界へ戻ってくる際に別れたためにこの世界には居ない。

「日課とはいえ、こうしてやっているとあいつを思い出すな。思い出しても仕方ないのは分かってるが」

突如として一応の相棒と別れを告げて帰ってきたために、バハムードにはまだ割り切れない部分もある。
だが、それもいずれ割り切らなければならないのでそれ以上は考えないようした。

そして、一方サマカンドラはサフィについて一応のメイドの手伝いをしていた。
もう仕事ではないのだが、イコール日課と同じようなものなのでそう簡単には抜けないものである。

「わりかし助かるわ、あと1人アルカトラスに言って雇い入れてもらおうかなって考えていた所だし」

「そう、手間が省けたわね」

サマカンドラが今手伝っているのは、朝食の配膳の手伝い。
この城に住む者全員分の食事を毎食ごとに用意しなければならないので、1人でも欠員が出ると面倒なことになる。
事実、サフィも言っていたように現在セイグリッド城のメイドは、1人が最近やめてしまったのでその1人分の仕事を全員が分散してやっている状態。
そのため、その分散された分が仕事として増えたために、以前より忙しくなっていた。

「アルカトラスに聞いておいてもらえる?」

「ええ、構わないけど。多分すんなり許可すると思うけど」

そんなこんなで、サマカンドラの方の時間は過ぎていった。

そして、場面は再びバハムードの方へ戻る。
朝食のために塔から降りて来たシアと鉢合わせし、庭園でそのまま何だかんだと話をしていた。
無論、ゴルダ同様にもふっと抱きつかれていたがバハムードの場合は特にやめろとも嫌な顔もしていない。

「ゴルダとは全く反応が違うわね、どうしてかしら?」

単刀直入にゴルダとは反応が違うのでどうしたのかと聞かれて、バハムードは

「こういうのも日課になってた」

と一言だけ答えてシアの毛を触る。
毛の手入れ自体は、シア本人も毎日欠かさずやっているのだがときたまメイド達が6人ほどで調毛をしたり普段は行き届かないところの毛を手入れしてくれている。
なので、シアの毛はとても触り心地がよいものとなっているのだ。

「ああそうだ」

ここでふと何を思ったのか、バハムードはシアの頭に上って4本ある角全部を拭きだす。
一応、前に居た世界でも相棒を含めた竜たちの手入れを毎朝欠かさずにやっていたので、そのせいである。
一通り角を拭き終わったバハムードは、今度はシアの前足の方へと移動して爪に異常がないかなどを調べた後、後ろ足にも同様のことをする。

「尻尾、いいかな?」

「あまり変なことしないようにね」

尻尾の方も手入れしようかと、一応シアに聞くバハムード。
シアは変なことをするなと釘を刺して許可を出す。
尻尾の方へ回ったバハムードは、どこからか大き目の櫛を出して逆立ったりしている毛を直したりしていった。

そしてまた場面は変わり、こちらはサマカンドラ。
朝食の調理が終わり、あとは配膳するだけなのでサマカンドラはサフィを含めた他のメイドたちと広間のテーブルに皿を置き、料理を盛り付けていく。
サマカンドラのその配膳の仕方は、前に居た世界でメイドをやっていただけのことあってか、とても手際がいい。
その手際の良さは、サフィもそれを見てやるじゃないと言うほど。

「あんたを副メイド長に抜擢したいくらいだわ、もう居るからできないけど」

どこか皮肉をこめてサフィに言われ、サマカンドラはそれに苦笑いで反応した。

それから5分後。
ようやく配膳が終わって、あとは全員が揃うのを待つばかりである。
だがここで、サマカンドラはまだアルカトラスが起きて来ていないことに気付いて起こしに向かう。

「やっぱり欠員分はサマカンドラでいいわね」

一応サマカンドラに手伝いをさせ、どの程度の実力があるのかを見ていたサフィは、確信を抱いていた。

サマカンドラがアルカトラスを起こしに行っている一方で、シアの尻尾の手入れをしていたバハムードはというと

「あー、こっちも結構綺麗なのな」

今度はシアの口の中を覗いてその牙の綺麗さに感心していた。
ちなみに魔法は使えど、シアは毎日最低2回は磨いている。

「こんなもんでいいだろ、だがこういう日課ってのは何かと面白みを見出しているんだよな」

一通り手入れを終えたバハムードのその一言に、シアは

「何かに面白みを見出すのは重要なことよ、仕事にせよなんにせよ。それを見出せるか否かで物事を続けられるかに差が出るんだから」

とバハムードをありがとうねと言わんばかりにわしゃわしゃしながら言った。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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