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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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使役しよう管狐

初春の風が駆け抜ける聖リフィル城の庭園。
そんな庭園を、アルガティアは妹のイレーヌとエゼラルドに乗って散歩していた。
アルガティアの頭の上では、フィルスが乗っており、魔法書を読みふけている。

「それで、4の月になったらもっと花壇を増やしてほしいんだけど」

「うーん、これ以上増やすと庭園の面積が減るけどいいの?」

もっと花壇を増やしてほしいと言ってきたアルガティアに、これ以上増やすと面積が減るけどいいのかと聞く。
エゼラルドが一歩歩くたびにその体がわずかながら揺れ、匂いをまき散らす。
そして、エゼラルドの歩いた跡は異常に草が伸びている。
おそらく、成長系統の能力を持った魔力か何かだろうが、エゼラルドはそれを流している事には全く気付いていないようだ。

「あれ?これなんだろう?」

突如、エゼラルドが歩みを止めたので体が大きく揺れ、フィルスはアルガティアの頭から転げ落ち、ポフッとエゼラルドの背へ落ちた。
どうしたのとアルガティアがエゼラルドに聞くと

「何か落ちてたけど、これ何?」

エゼラルドはアルガティアに筒状の何かを渡す。
それは、謎の印が入った一見何の変哲もない竹筒であった。

「姉さん何それ?」

「触らないで、これは多分ムサヅキの方で使役されてる管狐ね。こういう筒状のものに入れて使役するの」

竹筒が気になったのか、触ろうとするイレーヌをアルガティアは制してこれは管狐を入れている竹筒だと言う。
フィルスは管狐って何?という顔をしながらその竹筒を見ていた。

「ああそうか、姉さんなぜか霊力あるもんね」

イレーヌが言ったように、アルガティアはなぜか霊力、簡単に言えばシャーマンとしての素質を十二分に持っているのだ。
無論、いつもはその霊力は常にゼロに等しい状態に抑えているので「見える」訳ではない。

「あからさまに捨てられてたけど、普通管狐を捨てるなんて行為は使役する者にとっては禁忌なはず」

そう言いながら、アルガティアはエゼラルドから降りて自室の方へと行ってしまった。
姉さんらしいなあという顔をするイレーヌに、フィルスはまあ仕方ないねとそのまま魔法書を読むのに戻る。

「少し調べた感じ、使役関係を切断されてるようね」

自室に戻ったアルガティアは、捨てられていた管狐の入った竹筒を調べて、使役関係が切れているかどうかを調べる。
そうしないと、万が一使役関係が切れていなかった場合、管狐に攻撃される危険性があるからだ。
ちなみに、管狐は使役されることで使役主と霊力を共有して存在することができる。
だが、使役関係のない管狐は、自身の霊力を消費しないと存在できないため、いずれ霊力が尽きて雲散霧消してしまう。

「物は試しで…」

以前、ムサヅキからはるばるやって来たとあるシャーマンから、管狐を持ってみないかと言われたことがあるアルガティア。
その時は特に興味がないと言って拒否したが、今回は事情が事情以前の問題なので興味の有無は関係ない。

「…」

とりあえず使役する意思を管狐に伝えたアルガティア。
しかし、何の反応もない。
既に雲散霧消してしまったのかと思っていると、その竹筒の中から薄い桜色の管狐がぬっと出てきた。

「キー」

「何?もう少しで雲散霧消するところだった、感謝する?いいのよ」

周りはキーと聞こえないが、アルガティアにはこの管狐が何を言っているのかが理解できていた。
薄桜色の管狐はそのまま管から完全に出てくると、頭から足までアルガティアを眺めて何かを察したかのように頷く。
普通、管狐はその媒体となっている管から完全に分離はできないのだが、使役主の霊力によつては一時的ならこのようなこともできるのだ。
アルガティアの場合は、霊力イコール魔力なので長時間完全分離していても管狐の方は何ら問題はない。

「そういえば名前…ああそうね、真名は教えられないのを忘れてたわ」

この管狐から名前を聞き出そうとしたアルガティアだが、真名の概念を思い出してやめた。
真名とは、忌み名と同じ効力を持ち、これが知られると何もかも思い通りに操られてしまうのだ。
もっとも、真名の概念はムサヅキにしかないのだが。

「桜雪時雨、オウセツノシグレでいいかしら?あなたのその薄桜色の体から思いついたけど。それといつもは時雨って呼ぶけどいい?」

薄桜色の管狐改め桜雪時雨こと時雨は、その名を一瞬で気に入ったようで即座に頷く。
こうして、アルガティアのもとに管狐の時雨がやって来たのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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