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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

4人で花見

ようやく万年桜が開花して春が訪れたセイグリッド。
花見の予定を立てて、アルガティア達を一応招待したアルカトラスだが、参加すると返事が返って来たのはアルガティアだけだった。
他がどうだったのかというと、エルフィサリドは春の雨乞いの儀があるので無理だと言い、エーヴィヒは世界線が越えられない不具合が生じているという返事が返ってきた。
ちなみに、アワパラゴンの方は「国を出れる状況じゃないのね」というシンプルかつ的確な返事を、リヴァイドは暑いからという返事を返してきたと言う。

「はて、あの者は来るだろうか」

アルカトラスはまた、誰という訳でもなく来るだろうかと独り言を言う。
ちなみに、アルカトラスの言うあの者とは、まぎれもなくレナのことだ。
つい最近こちらへ来て初対面したのだが、その時は万年桜はまだ開花していなかったのでまた花見をするときに来ればいいと言ったのである。

「来るなら来る、来ないなら来ない」

そう頭の中で言いながら、アルカトラスは国務へと戻った。

そして花見の日。
その時間までアルカトラスはのらりくらりと国務をこなしていた。
万年桜の桜の花自体が大きすぎるのかどうなのか、理由は不明だが、書斎には万年桜と思わしき花の香りが風に乗って舞い込み、花びらも時折入ってくる。
その花びらは、1枚が大体160センチくらいの大きさでとても大きい。
なので、下手をすれば舞い散った万年桜の花びらが体にまとわりつく者も少なくはないのだ。

しかしそれでも、大陸百景に載るだけのことはあって、木から半径500メートル程度の範囲には花びらの絨毯が作り上げられる。
しかも、万年桜の花びらは舞い散って地面に落ちても最低3日はそのままを維持し、匂いも出し続けるので花びらの絨毯もその程度は維持される。
その上出来た花びらの絨毯の上にまた花びらの絨毯が出来るので、運が良ければ何とも言えない心地よさの絨毯の上で匂いに包まれながら寝ることも可能。

「こんにちは?」

「こんにちはー」

最初にアルガティアとレナがやって来た。
レナはすでに万年桜の匂いを嗅ぎ取ったようで、ずっとその方へ顔を向けてばかりいた。
アルカトラスはよく来たという顔で2人を迎え入れ、先に花見をする場所へと連れて行く。

「むぶっ」

花見の場所へ案内する途中、舞い散って風で運ばれてきた万年桜の花びらがレナに纏わり付いた。
だが、すぐにアルガティアが取ってくれたので事なきを得た、

「でも桜ってここまで大きくなるんだね」

「何の変哲もない桜だったのが、シアが手を加え、いつの間にか突然変異を起こしてここまでになったのだよ」

風で運ばれてきた花びらで何かを作っているアルガティアをよそに、万年桜の全ての大きさに感心しているレナ。
アルカトラスはそんなレナにシアが手を加えて今の万年桜があることを説明した。
レナはまだシアがどういう者なのかを知らなかったが、アルカトラスの話を聞いている内に、妹なのだろうと確信した。
アルカトラスは2人を花見の席へ案内すると、まだやることがあると言って城の方へと戻った。

「これ全部花びら?」

「そうよ」

用意されていた席の前にも花びらの絨毯が出来ていたので、これも全て花びらなのかと聞くレナ。
それに対して、アルガティアはそうよとだけ答えて自分はまだ花びらで何かを作りながら紅茶の用意をしている。

それから少しして、レナが花びらの絨毯の上でゴロゴロしているとアルカトラスに似た竜がやって来た。
だが、アルカトラスと決定的に違うのは目が赤く、角が4本という点だろう。

「あらこんにちは、レナって名前だった?」

アルカトラスに似た竜は、レナと同じ位置にまで目線を下げて話しかけて来た。
またもや名乗る前に名を知られていたので、どうなっているんだろうと思う節もあったが

「うん、当たってるよ。あなたの方は?」

当たっていると返事を返し、アルカトラスと似た竜に名を聞いた。

「私はシアよ」

アルカトラスに似た竜は、名をシアと名乗る。
一応レナには、シアがアルカトラスと同じように神であることは雰囲気でなんとなく分かっていたが。

「もふっ」

「わわっ…!」

突如シアに触られてびっくりするレナ。
さして信用はしていないはずなのに、このような行為をしたのは実際のところレナの能力を見るためだったがシアは何も言わない、

「何だシア、来ていたのか」

「来い言ったのはそっちでしょ」

相変わらずレナが花びらの絨毯の上でゴロゴロしていると、アルカトラスが何かを持ってやって来た。
それはどうやら饅頭のようだ。

「万年桜の花びらを使った旬の饅頭だ」

「はい」

「これおいしい」

それをへえと聞きながら、アルガティアに半分分けてもらった饅頭を食べるレナ。
ここでようやく完成したのか、アルガティアは作り上げた何かをサッと上に上げて

「似合うかしら?」

とそれをレナに着けた。

「わあ、すごい」

アルガティアが万年桜の花びらで作っていたのは、どう見てもレナのサイズに合わせられた外套であった。
しかも、魔法で特殊加工がしてあるのでこの外套は永遠に匂いを出し、萎れないし燃えもしない。

「何か作ってほしいなら言って?材料さえあれば作るから」

「うん、ありがとう」

この後もレナは花見を存分に楽しんだと言う。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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