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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

切れし首輪

その日、ゴルダは庭で銃の手入れついでに射撃をしていた。
持っている銃に何ら問題はなく、撃ち具合も上々。
そして銃を片付け、バルコニーの自作竈で焼き芋を焼いている時である。
竈に木炭を投げ入れていると、パリンという音と共に首輪が切れたのだ。
しかもただ切れたわけではなく、封印石が粉々になっていることにも気づいたゴルダは

「おかしい、何でだ?この封印石は現在で最強のもののはずだが」

と切れた首輪を広い、おかしいぞと首をかしげる。
そして、ゴルダはさらに首輪を外した直後の体の違和感がない事にも気づいた。
普通ならば、セイグリッド以外で首輪を外せばまず制御が効かずに変身が始まるので体に違和感を感じる。
だが、今日はそれが全く感じられない。

「どうなってるんだ?」

まずセイグリッドで首輪を外しても変身しないのは、アルカトラスの結界による効果であるが、ここにそんなものはない。
それなのに変身しないのはおかしい。
この手の話をして通じるの者として頭に浮かぶのは、アルカトラスかシアかルライエッタの3人くらいである。
少し考えた後、ゴルダは携帯を取り出して、ルライエッタとサフィにメールを飛ばす。
ルライエッタの所へは、行っても忙しいと門前払いされる可能性があり、シアとアルカトラスも国務やらなんやらで手が離せないかもしれないのでまずはサフィにメールをして確認を取ったのだ。

「ルライエッタの野郎はダメ、爺さんは今大丈夫と」

数分でメールの返信が来て、ルライエッタは研究で手が離せないと言われ、サフィの方はアルカトラスなら今普通に仕事していると返事であった。
ちなみに、シアに関しては何も書いてはいない。

「焼き芋食ったら行くか」

竈から立ち上る煙に混ざって匂ってくる焼き芋の匂いに鼻で笑いつつ、ゴルダは焼き芋が焼き上がるのを待った。
その2時間ほど後に、ゴルダはセイグリッドへと向かった。

「首輪をつけてないと、いい感じじゃない。噛みつきやすい意味で」

「お前はそんなワイルドなの飲み方しないだろ」

城へたどり着くや、出迎えに現れたサフィに首輪をしてないと噛みつきやすそうだわと言われ、ゴルダはお前はそんなワイルドには飲まないだろと返す。
アルカトラスの部屋へ行くと、当の本人は忙しそうに書類の処理をしていた。
国の予算諸々の決算期が間近なので、いつも以上に書類の量は多いようだ。

「爺さん」

「汝か、話とは?」

ドンと新たな書類が置かれたのを気にせず、アルカトラスはゴルダに目をやる。
尻尾が若干パタパタしている辺り、孫であるゴルダを見れて嬉しいようではある。

「実はな爺さん、首輪が封印石が砕けたと同時に切れちまってな」

ここでゴルダは、アルカトラスに数時間前の出来事を全て話す。
話を全て聞き終えた上で、アルカトラスはなぜかシアを呼ぶ。

「もふっ」

「ぶっ」

相変わらずではあるが、シアはやってくるやゴルダに抱きついてそのままアルカトラスと話をし出す。
2人が話をしている間、ゴルダはずっとシアの毛の中に埋められていた。
やがてある程度の話が終わったところでアルカトラスが

「考えられることとしてはただ一つ、汝に流れている我の血が本格的な覚醒を迎えているのかも知らん。それにより今までできなかった自己制御ができるようになった。それ以外に考えようが無いだろう」

とゴルダの聖竜として、神としての血が覚醒を迎えたからだとゴルダに説明した。
それを聞いて、あっさりと納得したゴルダだが

「しかし、俺の中の神の血が覚醒したってことは厄介ごとが発生しないか?爺さん?」

厄介毎が起きるのではとアルカトラスに一応聞く。
アルカトラスは軽くうなずいて

「確かに、この世界に3も4も神が存在するとなると非常にややこしいことが起きる。だがその点は我が何とかしよう、心配するでない」

確かにそうだがその点は対策は取るので心配するなと答えた。
ゴルダはそれが何なのかを聞こうとしたが、シアから構わせろオーラが出ていたので、あえて聞かずに黙った。

「それよりも、今日以降どうするかもまた問題なんだが」

と独り言をつぶやいたゴルダにシアは

「いつも通りでいいのよ、抑えてればいつもと変わりないわ」

抑えていればそう変わらないので、いつも通りにしていればいいと答える。
それにゴルダはそうだろうかとまた呟くが、よくよく考えてみればシアの言う通りであった。
自己制御ができるようになった今は、神の力など押さえていればそうそう分かるものではない。
そう、全くもって変わる必要など、ないのだ。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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