氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ロベリアと月の属性

ロベリアがドランザニアへとやって来てから、しばらくが経った。
セイグリッド城の敷地内から許可なく出ることを許されてないロベリアは、
極力1人の時間を作るべく城の図書館に毎日のように入り浸っている。

「ここならシアもメルムーアもあまり来ない」

自分とは対となる聖なる炎を持つ2人をことごとく避けているロベリアにとって、
よっぽどのことがない限り2人の来ないこの場所は聖地とも言える場所であった。

「それにしても、魔法書だけで何冊置いてあるのかしら?」

ほとんど失明に近い状態のため、
字を読むことすらままならないと思われているロベリアだが、
ゴルダを含め誰にも教えていないとある方法で字を読むことは可能である。

「四大属性とその上位及び派生属性に、光と闇、時の属性すら存在しているのに、炎属性と闇属性の派生属性の月属性は高レベルなものとなると使い手が非常に限られる。と」

この世界の属性に関する本を読んでいたロベリアは、
この世界の属性は火風地水の四大属性の他に、
それらから派生及び応用された氷雷草の属性と光ないし聖。
闇ないし暗黒属性とそれから派生した月属性が存在することを理解した。

「月属性、これは気になるところ。私の内なる炎がそう示している」

元から闇の属性への適性のあったロベリアにとって、月属性とはとても興味深いものがあった。
誰か使い手は居ないかとロベリアは考えたが、頼るとしたらまずゴルダだろう。
だがそのゴルダもシアやメルムーアを通してしか呼び出せない。

「食事の席ですら私にしつこく構ってくるから、関わりたくないのだが」

ロベリアは口を不機嫌そうに曲げ、歯ぎしりをしながら本を片付けて図書館を後にした。

「そう、興味あるのね。でも私も姉さんも月属性は今ひとつよ」

塔にいたメルムーアに相談しに行ったところ、
月属性は今ひとつだと返される。
ロベリアはそれに知っていたかのような感じで首を傾げ、こう聞く。

「言われずともね、他にあては?」

それに対してメルムーアは数秒考えた後に

「ないわけじゃないわ。ゴルダちゃんのところにいるミリシェンスちゃんが月属性使えるようだから、呼ぶ?」

ゴルダの所にいるミリシェンスが月属性が使えるので、
呼んでみるかとロベリアに問う。

「呼べるものならば、頼みたいわ。じゃあ私はこれで、あなたと居ると私の内なる炎が消えかかるわ」

ロベリアはそれに肯定の返事を返し、
メルムーアに一緒に居たくないと遠回しに言ってまた図書館へ。
そしてロベリアが居なくなった後、メルムーアはゴルダに意思飛ばしで

「ゴルダちゃん、都合いい時にミリシェンスちゃん連れて来て。ロベリアが月属性について聞きたいそうよ」

と伝言を投げつけた。
それにゴルダは了承の返事を一言返しただけでそれ以上は何も返さなかった。

その翌日。
メルムーアから今日ゴルダがミリシェンスを連れてくると言っていたと言われ、
まだ来ないかと待ちつつ城の中を歩いていたロベリアの目の前に、
ゴルダとその隣で足音を殺して歩く紫毛の幻獣が現れた。

「よう」

「ええ」

友人同士が挨拶するかのような挨拶を交わし、
ロベリアが紫毛の幻獣の方へと目線を向けると、
その紫毛の幻獣は唐突にゴルダが持っていたような投擲武器を構えた。
何なのとロベリアが身構えると、その紫毛の幻獣は投擲武器を片付けてじっと観察する。

「なるほどね、深淵に焼かれはしたものの闇への適性は高い。暗黒属性よりさらに上位の属性の深淵および混沌への適性がなかっただけで」

腰のあたりまでしかない前掛けエプロンを風になびかせながら、
紫毛の幻獣はロベリアを見ながらそう呟く。

「そこまで私を調べられるってことは、ゴルダと同様の能力を?」

ロベリアが問うと、紫毛の幻獣は軽く頷いて肯定。
そして今の今まで沈黙を貫いていたゴルダが口を開いてこう言う。

「こいつがミリシェンスだ。俺と同じ診察眼も一応使える」

「見知りおきを」

改めてゴルダにミリシェンスを紹介されて、ロベリアは警戒しつつ軽く頭を下げる。

その直後、ゴルダが突如として剣を抜いて何かを斬り払う。
次いで何かが破裂あるいは爆発するような音が聞こえた。

「あらあら、そいつは敵ではないの?」

ロベリアがゴルダの視界を通して見据えた先には緑目のエルフがライフル銃を構え、
喧嘩を売っているかのような目線をロベリアに向けていたのが確認できた。
どうやらゴルダはロベリアに向けて放たれたライフル弾を超人的反射神経で見切り、
剣で切り払ったようだ。

「どうしたアルガティア、裏の方が出たか?」

「どうかしらね」

ゴルダとの会話を聞いている限り、どうやらアルガティアというこのエルフはいつもはこの性格ではないらしい。
どういうことかと、ロベリアがゴルダに問おうとするとミリシェンスが

「アルガティアはああ見えて、いつもはおっとりしていてあのような雰囲気ではない。ごくまれにあのような弁えはするものの喧嘩を売るような性格があらわになる。あと一国の女王よ」

アルガティアの性格がいつもはおっとりとしていることと、
たまに今のような喧嘩を売る性格が出てくること、そして女王であることを説明。
ロベリアはそれに対してあまり興味がなさそうに

「そう、おっとりした性格でもあまり相手にはしたくないわ。なぜなら内なる炎があらゆる面で混沌とし過ぎている。近寄ればこっちが焼き尽くされかねない」

と返してアルガティアから視線をそらす。
その後はアルガティアとゴルダが何かを話していたようだが、ロベリアは聞き耳を立てずにミリシェンスを見る。

「ついて来い」

ゴルダに言われ、ミリシェンスとロベリアはライフル銃を肩に担いだままのアルガティアを気にしながらも付いて行くことに。
やって来たのは応接室。
ロベリアとアルガティアの反対側にミリシェンスとゴルダが座り、しばしの沈黙が流れる。
その間アルガティアはとても一国の長とは思えないような態度で座っていて、
ミリシェンスはロベリアを見てクスクス笑い。
ゴルダはアルガティアとロベリアを交互に見ていた。

「それにしても、あんたそう言う文化出身の世界かしら?随分と露出度高いけど」

アルガティアが急に話しかけてきたので、ロベリアはそうよと返した上で

「俊敏性を最重視した結果」

と返してミリシェンスへ

「月属性について教えてはくれない?」

月属性について教えてはくれないかと本来聞こうとしていたことを切り出す。
ミリシェンスはまたもやクスクス笑いながら妖艶な雰囲気でロベリアを見つめながら

「そうねぇ、とりあえず月属性が闇属性の派生であることは理解していると判断して始めるわ」

月属性についての解説を始めた。
基本的には闇魔法であることには変わらず、月の満ち欠けによって得られる魔力の量が違うという。
使い手によっては得られる魔力が最大になるのが新月と満月、それで変わって来るとか。

「それであんたはどうしたいの?月属性を手にしたいの?」

時折首を突っ込んできたアルガティアに月属性を使えるようになりたいのかと聞かれて、
ロベリアはもちろんと即答。
するとミリシェンスがどこからか謎の赤い液体の入った瓶を出して

「これが舐められるならね」

この液体が舐められるならばと言う。
ロベリアはミリシェンスが出したこの液体が何なのかと蓋を開けて臭いを嗅ぐ。
嗅いだ瞬間鼻についた血生臭い臭いにロベリアはこの液体が何であるのかを確信し、吐きそうになる。

「血を舐められないようでは、真の闇属性使いにはなれないわね」

「そんな危険なことはできないし、あなた正気?それに私は吸血鬼ではない」

ミリシェンスの指示した狂気とも言える行為に、
深淵を覗いて目を焼かれた経験のあるロベリアですらも正気なのかと口元に若干の怒りを含めて言い放つ。

「ミリシェンス、正気の沙汰じゃないわね。血を舐めろなんてリスクの高い」

アルガティアにまで呆れ顔で言われたミリシェンスは、
開き直ったかのようにこう言う。

「手段の一つを受け入れる覚悟の有無を見たかっただけよ」

それにロベリア達はなんなんだ一体という目線をミリシェンスに投げつけつつ、
今度はアルガティアの方から

「月属性に認められるか否かを単純に調べる方法ならあるわ」

という一言と共にロベリアに三日月とどこぞの秘密結社の紋章のような目が彫られたメダルと思わしき物に首かけ用の鎖を通したものを渡す。

「それは月属性のルーンの一つで、今宵の月は満月。月明かりの下で踊ってみるといいわ。深淵の踊り子さん?」

「何故それを?」

アルガティアに二つ名を言い当てられ、どう言うことかとロベリアは問い詰めるがアルガティアはニヤリと笑うだけでなにも答えない。

「物は試しだな」

そう言いながらゴルダはミリシェンスを膝へ乗せる。

「ではやって見せましょうか、深淵の踊り子の真髄を見せる時」

やけに自信満々にロベリアはゴルダらに返し、
夜に備えるのだった。

そしてその日の夜。
夜のセイグリッド城の庭園にゴルダ達は集った。
ロベリアの月明かり下での踊りを見るべくして。

「どうにも今日の満月はいつもと違うこと」

未だに裏の性格が出たままのアルガティアが月を眺めながら言う。
それにゴルダはべったりなミリシェンスをよそに月を見、こう呟く。

「今日は年に数度の満月の夜の中でも特に月の力が強まる夜だ。違和感を感じるのも無理はない」

アルガティアはゴルダの呟きにそう、と一言返してロベリアを見やる。

ロベリアは手始めに首に下げていた鎖付きメダルを月夜に掲げ、次に自身の杖を同じく月夜に水平に掲げる。
そして掲げていた杖を下ろすと右足を大きく前に突き出し、舞い始める。

その舞は月明かりの下の舞踊には不釣り合いなものであったが、
ロベリアの口元は真剣さを示すかのように固く結ばれていた。

「流石といったところね、深淵の踊り子の二つ名に恥じない舞踊。月も興味を示している」

月が興味を示している。

アルガティアのこの一言の意を理解するためにはロベリアの首に下げられた例のメダルに注目する必要がある。
そのメダルをよく見ると三日月の形に彫られた部分の輪郭がわずかに光を帯び、
目の部分が赤く輝いてるのが分かる。

これが何を意味しているのかと言うと、
月がロベリアに興味を示し、闇の属性がロベリアの内なる炎に闇の力を見出して強く反応しているためだ。

ロベリアはそんなことを気にせずに杖を振り回し、
それを宙へ放り投げて飛び上がり、キャッチ。
この服装だからこそできる芸当なのだろうが、
ロベリアには一切関係のないこと。

ただ月に認めてもらうがために踊り続ける。

「月がようやく認めた、深淵の踊り子を自らの属性の素質があるものとして」

それからどれくらい経っただろう。
ただ黙って見ているミリシェンスとゴルダの横で、浮遊しながらロベリアの踊りを見ていたアルガティアが月属性がロベリアを認めたと言い放つ。

今やその首に下げられたメダル月は金色に輝き、目の部分は紅月のような紅さで輝いている。

「深淵の踊り子、ここに月属性を携えん」

「ふふふ、面白くなってきたわ」

ロベリアが月属性に完全に認められた瞬間だった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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