氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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妹が欲しい?ならば創り出そう

それは珍しく、アルカトラスとシア、とゴルダが酒を飲んでいた時のこと。
今日は特にアルカトラスあるいはシア、またはゴルダが飲もうと言い出したわけではなくただ単に偶然暇だったので飲もうとという話になってこうして飲んでいるだけである。

「うむ、悪くない」

ゴルダがそう呟きながら竹鶴のロックを飲んでいると、人の姿でちょうどウルフ8を飲み終えたシアが百年の孤独を飲んでいるアルカトラスに

「私妹が欲しいんだけど、創造しても構わない?」

などとぼそりと呟く。
これを聞いたアルカトラスと、第三者視点で聞き流していたゴルダは同時に飲んでいた酒を吹き出した。
ほとんどのことに動じないゴルダが酒を吹き出すほどに動揺するのだから、シアの一言はよっぽどの爆弾発言だったようだ。

「汝と同等の力を持つ妹をか?」

吹き出した酒を拭きながら、アルカトラスは淡々とシアに聞く。
一方でゴルダも吹き出した酒を拭きながら聞き耳を立てていた。

「まさか。私より魔力は三分の一にするし、定義改変能力なんかもかなりの制限つけるわ」

今度はサタンレッドを開けて飲みながら、シアはアルカトラスに返す。
この条件でもアルカトラスは素直に首を縦に振れないようで、持っていたグラスを一旦テーブルに置いてから

「一晩ほど考えさせてはもらえないか?」

一晩の猶予を設けるようにシア言う。

その後、数十秒の静寂ののちにアルカトラスのグラスの氷がカランと音を立てて崩れ溶けたところで、シアは一言

「ええ」

と返して草食竜のジャーキーを頬張った。
この時点でゴルダは、もの凄く嫌な予感を感じていたがそれを口にすることはなかったという。

そして翌日。
結構アルカトラスはシアに妹を生み出すことを許可する。
だが、シアの言っていたきつい制限を設けるという前提条件を遵守させた上で。

「ありがとう」

許可を得たシアは、アルカトラスに一言礼を言うその日から数日の間ずっとアルカトラスやサフィの前に姿を見せなかった。
だが、その間にセレノアが抜けた羽根を、イファルシアとフィルスに抜け毛を、そしてゴルダに血液検査用に少量の血をそれぞれもらいに来ていたという話をアルカトラスはサフィから聞かされる。

「何がしたいのか全くもって分からぬな」

「そもそも妹を創造するって言い出す方がおかしいと思うわ私は」

アルカトラスとサフィがそんな会話をしている頃、シアは自分の塔で創造の準備を黙々と進めていた。
生命の創造自体、この世界を創造した時以来数千年に渡ってやっていないので、失敗する可能性も拭えなかったが、妹が欲しいというその目的だけでシアは念入りな準備を進める。

「記憶もある程度定義上で捏造でもしとかないと厄介ねえ。うんうん、記憶はこれでよしと。次は性格を…」

まるでソフトウェアのプログラミングを行うエンジニアめいて、シアは鼻歌まじりに妹という存在の定義の構築を続ける。

「ちょっと浮いている方が妹としてかわいいかしらね、そしてここはこうして」

そのシアの姿は、どこか楽しそうであった。

シアが姿を見せなくなってから一週間。
さすがにそろそろ様子を見て来いと、サフィからそうアルカトラスから伝言を預かっていると言われたゴルダは、そこまで気にかけることか?と思いながらも塔を登る。

「おい、元気してるか?」

難なく塔の頂上へと登り、顔を上げたゴルダの目の前にシアやアルカトラスと瓜二つだが角がなく、フィルスのような耳。
自分と同じ赤と青の目のだいたい10メートルほどの竜が大型犬ほどはあるクッキーを食べながらコーヒーを飲んでいた。

「あらあら、ゴルダちゃん。姉さんは今寝ているわ」

この間までは居なかった竜に名を呼ばれてもなぜ知っているとも突っ込まず、ゴルダは診察眼を発動。
魔力はシアの三分の一といったところだが、それでも膨大な魔力であることは変わらず、聖属性以外に微妙に草の属性を感じ取ることができた。
そして、定義改変能力も持ち合わせているようだがシアがかなりの制限をかけているようで自衛以外の定義改変はできないようである。

「ゴルダちゃん?」

「その呼び方は控えてもらいたい、妙な違和感を感じる」

おそらくシアの妹と思わしき竜にちゃん付けで名を呼ぶのをやめるように言うと、残っていたクッキーを一気に頬張り、食べ終わってから

「姉さん寝ているから私の名前聞いてないと思うけど、姓はアルシェリアで名はメルムーア」

メルムーアと名をと名乗る。
その際一瞬ボンと魔力が爆発した音がしたが、これはという名が幻獣語で「聖母の妹」に似た意を持つのと、詠唱詞だからである。

「メルムーア。『聖母の妹』に似た意を幻獣語で持っているな。だがなぜわざわざシアは幻獣語の名を?」

その名前にふむふむと頷きながらも、なぜ幻獣語の名をつけたのかとゴルダはいつの間にかその場に正座して緑茶を啜りながら考える。

メルムーアは淡々と正座状態で緑茶を啜るゴルダに、尻尾で頭を小突きながら

「姉さんとゴルダって、仲良いのかどうなのかがはっきりしないわよね」

シアとゴルダの仲がいいのか悪いのかはっきりしないと言う。
それにゴルダは、一旦湯呑みを置いてからこう返す。

「悪くはない。ただシアの方ががっつくことが多いだけだ」

それにメルムーアはふうんとだけ返した。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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