氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

フィルスと水の属性の目覚め

人に限らず、全ての生物には適性のある属性が存在する。
一般的にはその適性のある属性がそのもの自身の主属性となるのだが、これがいつ決定されるのかははっきりと分かっていない。
生まれたときに決まっていることもあれば、後々鍛錬などで適性が見つかったり、元から有していた主属性とは別にまた主属性が見つかったという話もないわけでもない。
今回は、元から有していた主属性とは別の主属性が覚醒したパターンの話を見てみよう。

7の月も半分に差し掛かろうとしているある昼下がりのリフィルの王宮の図書室で、フィルスはいつものように司書の仕事をこなしていた。
司書の仕事を任されるようになったのは最近からで、それまでフィルスはアルガティアの仕事を手伝っていたが、ある日唐突にアルガティアから王宮の図書室の司書に任命されたのである。
理由は定かではないが、アルガティアの仕事を手伝っていないときはフィルスはいつも魔法書を含めた本を読んでいたのでそれで任命したのだろう。
基本的に王宮の図書室の本は、全て盗難防止対策の魔法が施されているので盗まれたりする心配はないのだが、今は盗難などが相次いで閉鎖されてしまったリフィル王立大の図書館に置かれていた、禁忌レベルから日常で使われるまで様々な魔法書やその類の本が置かれているため、勝手に魔法書を読まれたりすると厄介なことになるのだ。
それを防ぐためにフィルスが司書となり、一定レベル以上の魔法書やその類の本の貸し出しの審査などを含めた本の管理を含め、図書館での司書としての仕事を担っている。
だが、最近フィルスは王立大の学生の図書室利用マナーの悪さに頭を痛めていた。

読んだ本を戻さない、所定の場所以外でレポートを書こうとしてインクで本を汚しかけたり汚したりする、虚偽申請をして禁忌レベルの魔法書を借りようとするなどさまざまである。
だがそれは一部の学生だけであり、大部分の学生はマナーを守って利用しているのも事実。
その一部だけが問題なのだ。

「また本を戻してないよ、困るなぁ」

定期的な図書室内の見回りをしていると、読んだ本が出しっぱなしにされていたので、フィルスはそれを元あった本棚へと戻す。
この作業ももはや日常茶飯事なので、フィルスも文句は言えどそれ以上は考えないようにしてさっさと片付けることにしている。
一応「整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5Sを徹底しましょう」などという張り紙をしてはいるものの、これといった効果は現在のところ見られない。

「こういう学生は図書室への出入りは禁止にしたいけど、アルが許してくれないからどうしようもないや」

一度は出入り禁止処分にすることも考え、アルガティアに申し出たのだが、やんわり断られてしまいそれ以降フィルスはそういう学生に対しては見かけるたびに厳重注意を行っている。
とはいえ、最近は意思を飛ばしての厳重注意どころか魔法で実力行使することもしばしばあるのだが。

「あっ、閲覧制限有のスペースに行こうとしているのが居る。また注意しなきゃ」

そして今日も、使い方を間違えると大惨事になりかねない危険な魔法書の数々が置かれ、入るのも閲覧するのもフィルスの許可が要るような場所だ。
そこへ明らかに王立大の魔法系の学科の学生が入ろうとしていたので、フィルスは注意しようと近づく。

「ちょっと待って、君許可出してないよね?入っちゃだめだよ」

ひとまず許可なく入ってはいけないことを伝え、入らないように促す。
だが学生はフィルスの忠告を聞こうとはせず、そのまま入ろうとする。
フィルスは日ごろのストレスのせいか無視されたことにすぐカチンと来て

「入っちゃだめだって言ったよね?」

自分でも無意識のうちに氷で手裏剣を作り出し、投擲していたのだ。
学生はそれを障壁魔法で防いで事なきを得たが、フィルスに畏怖を抱いて逃げるようにして図書室を出ていく。
一方残されたフィルスは、自分がいつの間にか水属性を使えることにどうにも納得がいかないようであった。
元からフィルスが自身で把握してる使える属性というのは、聖属性のみ。
他の属性に関しては魔法書などを読むことはあれど、使えるかどうかも分からない上に本格的に覚えようともしてこなかった。

「何なんだろう?自分でも分からないや」

その時は全く気にも留めず、フィルスは司書の仕事へと戻る。

だが、その日一日の司書の仕事を終えて日報を書いていた時のこと。
もう日も傾いて昼よりは涼しくなったが、それでも暑いことには変わりない。

「暑いや、今日も熱帯夜かな」

汗こそはかいていないが、フィルスは不快になるほどの暑さを感じていた。
もちろん、どうにかできるわけもなくさっさと日報を書き上げてアルガティアのいる涼しい部屋へ行くのが得策だろう。
だが、昼間学生に氷の手裏剣を投げてしまったことの報告書も書かなければいけないので、そうは問屋が卸さない。

「暑いっ」

あまりの蒸し暑さにそう頭の中で呟いた次の瞬間、フィルスの体から白い煙が放出されたかと思えば急に涼しくなる。
これは、水属性や氷属性の使い手が使う暑さ対策の一つで水あるいは氷の魔力で体の内側から熱を下げるというもの。
無論やりすぎれば夏場に低体温症なんてこともありうるので制御は必要だ。

「やっぱり僕水属性使えるようになってる?なんだか複雑な気分」

なおこの後、アルガティアに正式に水属性への適性が覚醒しているとフィルスは教えてもらったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。