氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

フォルテの森の七夕

6の月も終わりに差し掛かった今日この頃。
ゴルダはシアからこんな話を持ち出された。

「フォルテの森で七夕らしいことしない?」

それに対してゴルダはシアにこう突っ込んだ。

「なんで七夕なんだ?何を考えているのかさっぱり分からんぞ」

一応これでも曽祖母に当たる関係なので、多少何を考えているのか分からないことには特に何も言わないことの多いゴルダだが、さすがに今回のようなことには突っ込むことが多い。

何を考えているかさっぱり分からんと言われたシアは、人化した自分の髪をいじりながらふふっと笑ってその場を濁す。

「それで、ついて来るやつを見繕えというんだろ?」

サフィが出してきたリヴァルスの硬水をぐいと飲み、ゴルダはシアに問う。
それにシアは、あまり女性らしかぬ姿勢で座りながら

「そうね、ルーエとアルガティアは最低でも連れて来て欲しいわ」

ルーエとアルガティアは絶対に連れてくるように言う。
なぜその2人をチョイスしたのかの理由が不明だが、ゴルダはそれに了承の意で頷いて

「善処しよう」

とだけ返してその日はルーエとアルガティア話をしに行くために帰った。

「そう、フォルテの森で七夕をね」

「師匠が七夕の願いは叶いやすい傾向にあるって話してたかな」

その後、リフィルへ行ってシアが言っていたことをアルガティアとルーエに話したところ、2人ともあっさり食いついてくれた。
この様子ならば、ついて来てくれることはほぼ間違いない。

「ところでシュトラーレンは?」

ここで、いつもならルーエに付き添っているシュトラーレンがいないことに気づいたゴルダがルーエに聞くと

「師匠?今幻獣の里ってところに行っていて居ないよ」

幻獣の里へ行っていて居ないと話す。
それを聞いたゴルダは、シュトラーレンにエーテルへの耐性があったかどうかを気にしたものの

「シュトラーレンのエーテルへの耐性はよっぽどのことがない限り受け付けないレベル。だから許可出した」

「ならば心配無用か」

アルガティアの口からシュトラーレンのエーテルへの耐性が桁違いに高いものであることを告げられ、それなら問題ないなと返す。

「2人とも行くということでいいな?」

「ええ」

「もちろん」

ゴルダが行くかどうかと聞くと、アルガティアとルーエが行くという返事をしてくれた。

後日、フォルテの森。
セイグリッドから持ってきた笹の葉を担ぎ、ゴルダは人化状態のシアとアルガティアにルーエ、マティルーネとフィルスを連れてやって来た。

「夏だというのにこの森は涼しい」

担いでいる笹の葉を揺らしながら歩くゴルダがそんなことを呟くと、シアは当たり前でしょという顔をしたがゴルダは気づかなかった。

「夏はこれくらい涼しい方が過ごしやすいかなぁ。寮の部屋はちょっと夜暑いし」

これくらい涼しければ夏も過ごしやすいと言うルーエにアルガティアは

「あら、なら王宮に部屋を移す?部屋なら空いているし、季節問わず快適に過ごせるけど?」

王宮の空き部屋に部屋を移るかと冗談には聞こえない口調でルーエに提案する。
だがルーエはそれに対しては

「そ、そんなつもりで言ったんじゃないんですよー」

と釈明する。
それに対してアルガティアはふふっと笑う。
するとそこへ、ミスティとスノーウィーがやって来て

「あっ、前に来た危なっかしいやつ!」

「こんにちは、バウ様ならいつもの場所」

ゴルダ達に挨拶した。
ミスティは相変わらずシアやゴルダを危険なやつ扱いしていたが。

無論、いつものことなのでゴルダもシアも無視してバウムのところへ。
なお、マティルーネはスノーウィーとどこかへ行ってしまった。

「今日はまたなぜそのようなものを?」

笹の葉を担いで現れたゴルダを見て、バウムが開口一番に言ったのはそれだった。
それにはシアが

「一足早い七夕をと思ってね」

と説明する。
バウムはそれになるほどと返した上で、前足の辺りをもふもふしているアルガティアに目線を移す。

「でもシアは短冊なんて持ってきてないよね?」

短冊はどこなのかと聞いてきたルーエに、シアは心配無用と言わんばかりに念写紙と呼ばれる自分のイメージが描き出される紙で作られた短冊を出す。

「念写紙、ねぇ」

フィルスはそう言いながら念写紙の短冊を核石に当たらないよう気をつけながら額に当てて願い事を刻む。
ルーエもぽかんとしつつ、フィルスと同じように額にその短冊を当てる。
それから10秒もしないうちに、フィルスとルーエの短冊に文字が浮かび上がった。
フィルスの方は幻獣語、ルーエの方はおそらく元居た世界の言語と思わしき文字でそれぞれ願い事が刻まれていた。

「やっぱり幻獣語で刻まれるか」

「ふみゅう、ドランザニア語じゃない」

どこかがっかりする2人から、シアは有無を言わせず短冊を預かり、ゴルダに笹の葉へ下げるように促す。
ゴルダはアルガティアにもふもふされて困り顔のバウムを尻目に、笹の葉を地面に刺してフィルスとルーエの短冊を下げる。
短冊を下げた瞬間、なぜか大きく笹の葉がしなったが、これは短冊に込められた想いの重さがそうさせているので、何らおかしな現象ではない。

「私も1枚書いてみようか」

自分も書いてみたいというバウムに、シアは渡すのではなくバウムの額に直接短冊を押し当てた。
すると短冊は砂のように風化すると風に乗ってどこかへ飛んで行ってしまう。

「念写紙の許容量を超えた念が送り込まれたせいだね」

ルーエが短冊が風化してしまった原因を解説すると、バウムは前足を顔に当てて

「やはり想いを糧にして生きる私が願い事を刻むなどおこがましい行為だったか…」

などと言いながら落ち込んでしまった。
するとそこへ運悪くスノーウィーとマティルーネがやって来て、落ち込んでいるバウムを見たスノーウィーは

「バウ様に何したの?ねえ?」

事の発端のシアではなくゴルダに詰め寄り、何をしたのかと問い詰める。
それに対して、ゴルダはスノーウィーに

「今回は俺じゃない。シアだ」

シアが原因だと言うが、スノーウィーはそれを信じようとせずにゴルダを睨む。

ゴルダはもはや一切気に留めなくなったが、相変わらずスノーウィーはゴルダを睨んだままなのでルーエは思わず

「スノーウィー。君って状況把握しようとしない短絡的思考の持ち主なのかな?ボクから見ているとそうにしか見えないんだけど違う?」

と、思っていたことを口にしてしまう。
これにスノーウィーは完全に機嫌を悪くしたようで、もう知らないと言わんばかりの目線をルーエとゴルダに投げつけてからどこかへ行ってしまった。

「やれやれね。あっ、スノーウィーの事は気にしなくていいわ。少ししたら何事もなかったかのように戻ってくるから。それより落ち込みっぱなしのバウムをどうにかしたら?」

スノーウィーがどこかへ行ってしまった後、マティルーネはゴルダとルーエに気にするなと言った上で、バウムをどうにかした方がいいんじゃないかと言う。

「確かにそうだな」

マティルーネの提案にゴルダは淡々と答え、シアに

「許容量の引き上げをすれば、バウムでも短冊書けると思うが、できんか?」

念写紙が扱える念の許容量を引き上げられないかと聞く。
だが、シアから帰ってきた返事は

「念写紙そのものの材質で許容量が変わるから、無理矢理引き上げることになるから難しいわよ」

というものだった。
しかし、他にいい方法が思いつかない以上はこの手しかあらず。
シアはルーエとフィルスに短冊の裏にあるものを書くように告げ、自分はバウムの肉球をぷにぷにしようとしては咎められるを繰り返すという端から見れば意味不明な行動をし始める。

そして完全にほっぽり出されたゴルダとマティルーネは、木の上にフォルテの姿を確認して木の上へ飛び乗り、フォルテに軽く頭を下げて横で瞑想を始めた。

「そういう時間の使い方もないわけではないな」

瞑想を始めたゴルダとマティルーネに、フォルテはそう呟いた。

さて、それからどれだけの時間が経っただろうか。
アルガティアはバウムの腹の辺りで眠り、シアは前足の辺りに座って何か考え事をし、ルーエはじっと短冊を眺め、フィルスはバウムの頭の上で寝ている。
なお、スノーウィーは戻ってきておらず、ゴルダとマティルーネは相変わらず瞑想中だ。

「よし、これならいけるわ」

突如として口を開いたシアに、ゴルダとマティルーネは瞑想を中断してシアを眺める。

そんなゴルダとマティルーネをよそに、シアはルーエが眺めていた短冊を預かり、何かを詠唱するとバウムにそれを渡す。

「今度は大丈夫よ」

半信半疑なバウムの額に短冊を当て、シアは様子を見る。
するとどうだろうか、先ほどは風化してしまった短冊に文字が刻まれたのだ。

「上手くいったみたいだね」

「存外簡単に許容量上げられて良かったわ」

そしてその短冊をゴルダが笹の葉に下げた次の瞬間、今まで以上にしなった笹の葉は折れるか折れないかの角度までしなったかと思えば元に戻り、ルーエとフィルスとバウム短冊を空高く吹っ飛ばしてしまった。

「こんなことが起きるなんて初めてだわ」

「ふみゅう、せっかく書いたのに」

バウムの短冊を下げた瞬間に吹っ飛んで行ったので、それぞれがどんな願い事書いたのかは、分からぬままである。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。