氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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出会いは不意打ちから

やけに短く感じた梅雨が明け、夏が訪れた今日この頃。
庭の畑の野菜の手入れをフウの手を借りず1人でやっていたゴルダは、一応の作業を終えてタオルで汗を拭う。

「暑いからフウには手伝わせなかったが、様子見つつ手伝わせりゃよかったな」

そう呟きながら今しがた収穫したてのトマトを軽く拭いてからそのままかぶりついていると、突如として視界に今まで会ったことのない少女の姿が入った。
服装としては、ロングスカートのワンピースのようだが、そのデザインにどこか違和感を感じるデザインをしていた。
具体的にどんな違和感かというと、服装のデザインが和と洋を混ぜた中途半端なものだったがために感じるもの。
普通なら勝手に家の敷地に入ってこられた時点で叱ったりするのが普通の反応なのだが、ゴルダはその少女に対しては勝手に家の敷地に入って来られた怒りや不快感は一切感じず、医学的なものを含めた興味を抱いていた。
そして、遠目でも普通の少女ではないと分かるほどに異様で読めない雰囲気を出している少女は普通に人が歩く平均的な速さでゴルダに歩み寄り、いきなりどこかか鎌を取り出すや、横一文字に切りつけてきた。
ゴルダは少女が鎌を切りつけてくるよりも早いタイミングでブリッジ姿勢をとり、鎌の斬撃を回避。
ゴルダに当たらなかった鎌はその背後の野菜をバッサリと切り刻んだ。

「お嬢さん、あからさまな敵意があるわけでもない見ず知らずの相手に突然切りかかるのはどうかと思うぞ?」

ブリッジ状態を解除し、ゴルダは外したかとがっかりしている少女に見ず知らずの相手にいきなり切りかかるのはいただけないと話しながら自身もすぐに武器を構えられる態勢になる。
すると少女は鎌を下ろしてふふふと笑うと

「ふむ、コロンの奴の言った通りじゃな。これは骨が折れる相手だ」

いきなりコロンの名を口にする。
どうやらコロンと知り合いらしいが、詳細が判然としない。
ゴルダはなおも警戒を解かずに少女に

「コロンの名を出したということは、その知り合いだな?だが、それを差し引いても不意打ちしてきたことに関しては納得がいかん」

コロンの知り合いだなと確認した上で、それでも不意打ちしてきたことには納得がいかないことを話す。
少女は、警戒しっぱなしのゴルダの目を見据えながら至近距離まで近づくと

「お主はコロンの暗殺術をもってしても倒すのは難しいと聞いておってな、その実力がいかがなものかを試してみたかっただけじゃ。だがその様子ではそれを試そうとすれば私もただでは済まなさそうということでやめじゃ」

以前コロンがゴルダに話していたことと同じ話を聞いて興味が湧き、試しに決闘のようなものをふっかけに来たが、それをすれば自分がただでは済まないと判断したのでやめたと話す。
これで少女が自分に明確な敵意がないと断定したゴルダはすぐに武器を出せる構えを解き、少女に

「コロンの知り合いということは、名は聞いているだろうが改めて名乗ろう。ゴルダだ。お嬢さんの名前は?」

顔の前で両手を合わせて頭を下げるという挨拶をしながら少女に名を聞く。
すると少女は、先ほど野菜を切ってしまったせいで汚れた鎌を気にしながら

「瑠璃夢、これでよいかの」

瑠璃夢と名を名乗った。

「かわいい奴よの」

「離してよー」

その後、ゴルダは家の中に瑠璃夢を招き入れて不快に思われない程度にコロンとはどういう関係なのかを聞いていた。
なお、瑠璃夢はフウを気に入ったようで自分の膝にずっと座らせたままにしている。
一方でユウやミリシェンスにへフィアにも興味を示していたが、忙しそうにしていたので結局フウに白羽の矢が立った。

「詳しくは話したくないが、コロンとは友人ということでいいんだな?」

「そう話したじゃろう?ミリシェンス、もう一杯もらおうかの」

確認がてらに聞いたゴルダに、瑠璃夢はそう話したではないかと不満げに返した後、ミリシェンスにアイスティーのおかわりを要求する。
ミリシェンスはそんな瑠璃夢を図々しくないかと思いながらも、グラスにおかわりを注ぐ。
瑠璃夢は注がれたそれをいかにも上品そうに飲んでから

「コロンから聞いておったが、お主は変わった生き物の医者をしているようじゃな。竜、そして竜以外の幻想生物とやらを診るとのことじゃが」

フウの頭を撫でつつゴルダの幻想獣医という仕事について触れてきた。
その物言いから真意を完全に読み取ることは不可能だが、瑠璃夢は竜などの普通とは違う幻想生物への概念を理解ていることを前提に聞いてきているようである。

「知っていて聞いていると判断した上で話すが、診る相手が人間や亜人でないだけでそれらの医者とは変わらん仕事だ。人間や亜人のそれより死神は近くにいるがな」

ゴルダのこの返しに対して、瑠璃夢は軽く口元に笑みを浮かべてフウを解放すると

「よきかなよきかな、私は断然お主に興味が湧いた。今度はコロンと一緒にお邪魔するとしよう」

遠回しにもう帰ると言い出す。
するとミリシェンスが

「あら残念。雪見だいふく出そうと思ったのに、お帰りなら必要なさそうね」

雪見だいふくを出そうとしていたと言った瞬間、瑠璃夢は急に掌を返して

「やはりもう少し居るとしよう」

まだ帰らないと言い出す。
どうやら雪見だいふくは瑠璃夢の好物のようだ。
ミリシェンスは急に掌を返した瑠璃夢に特に苦言を漏らすわけでもなく、冷凍庫から雪見だいふくを出して皿によそってユウに運ばせた。

「ふふふ、私はこの至福の時のために生きているといっても過言ではない」

ユウから雪見だいふくを受け取った瑠璃夢は、今まで見せたことのない笑顔をゴルダに見せつけた。
それを見て、今の今まで傍観を決め込んでいたマティルーネが

「やっぱり至福の時って顔に出るのよね、あなたと違って」

皮肉交じりにそんなことを呟いたとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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