氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ゴルダとフォルテの森の仲間たち

今日もフォルテの森には淡い日差しが差し込み、幻想的な雰囲気を維持していた。
そんな森の中に、互いに向かい合ったまま微動だにしない幻想生物の医者と森の精霊が居た。
医者の名はゴルダ、この森とは別の世界からやって来たというよく分からない半人の男。
精霊の名はバウム、このフォルテの森に住まう者の想いを糧として生きている。
さて、なぜ2人が向き合ったまま微動だにしないのかという理由を説明しよう。
答えは単純明快で、単にお互いに瞑想をしているので微動だにしないのだ。

「バウさま、バウさま」

バウムの角とは違う頭から伸びた枝にミスティが止まって話しかけるが、バウムは目を閉じたまま深い集中状態にあり、一切耳を貸さない。
ミスティはそれを知らずになおもしつこくバウムに話しかけるが、やはり返事はない。

「無視するバウさま嫌い」

数分話しかけもなんの反応も示さないバウムに、ついにミスティは拗ねてどこかへ飛んで行ってしまう。
そして、ミスティが飛び去ってどれくらいの時間が経過しただろうか。
今の今まで瞑想を行っていたゴルダは瞑想状態を解除し、ゆっくりと立ち上がる。
ゴルダが立ち上がったと同時に、バウムも瞑想状態を解除して目を開き、じっとゴルダを見つめながら

「ミスティを知らないかな?」

ミスティはどこかと聞く。
その問いに、ゴルダはバウムの前右足を触りながら首を横に降る。

「そうか、知らぬかならば致し方ないな」

それにバウムは少し渋い顔でゴルダを見ながら、知らないならば仕方ないと返す。
森の中は相変わらず淡い日の光が差し込み、鳥たちの歌声がどこからか聞こえてきていた。
いつの間にか勝手に自分の体毛の手入れを始めていたゴルダをよそに、バウムはこの後どうするかを考える。
まずはミスティを探そうと考えたが、どこにいるのかの検討すらつかない状態だ。

「さてさて、どうしたものかな。ところでゴルダよ、もう手入れはいい。私の背に乗りたまええ、ミスティを探しに行こう」

異常に伸びていた毛を切ろうとしていたゴルダにバウムはもういいと言って、自分の背に乗るように促す。
するとゴルダは、普通の人間では出せない跳躍力で飛び上がり、もふっとバウムの背に正座状態で乗った。

「まだ瞑想を続けるのかね?」

バウムに正座状態で背に乗っているのでまだ瞑想を続けるのかと問われたゴルダは、いいやと否定してから

「ミスティの気配を探る、それだけだ」

ミスティの気配を探ると答えた。
それにバウムはふふっと笑うと、ゴルダが落ちないようゆっくりと歩き始める。
その体毛をもふもふと揺らしながら。

それからしばらく森の中を歩き回っていると、ゴルダが池の近くにミスティの気配を察知したので、そこへ行ってみるとミスティとスノーウィーという氷竜が池をじっと眺めているのを発見した。

「ここにいたのかミスティ」

「あらバウ様、ミスティが無視されたと嘆いていたけど?」

「少しばかり瞑想をしていてな」

バウムが声をかけると、ミスティではなくスノーウィーが反応する。
スノーウィーの話し方から、今はバウムと話をしたくないようである。
それをバウムの背の上から眺めていたゴルダは、ミスティが完全に拗ねていることを確信したものの、機嫌を直す方法までは思いつかずじまいであった。

「あなたですか?バウム様に瞑想しようと言い出したの」

「俺が否と言えば?」

傍観を決め込んでいたゴルダに、スノーウィーはバウムに瞑想をしようと言い出したのはあなたかと聞いてくる。
それにゴルダは違うと言ったら?と返す。
スノーウィーはバウムの背に乗っているゴルダのところまで飛んでくると

「さすがにあなたが嘘を言うとは思えませんけど、ボク的にはどうにも引っかかるのよね。あなた読めないところが多すぎ」

読めないところが多すぎるなどと言ってからバウムの背から降りる。
ゴルダはなんだかなという顔をしながらバウムの背から降り、こちらに背を向けたままのミスティに首輪のあたりを掻きながら

「極度の集中状態になると、誰しも自分の世界しか見えなくなる。瞑想も似たものだ」

誰でも集中し過ぎると周りが見えなくなることを説明して聞かせる。
なお、ミスティは一応それを聞いてはいたようだが全部を理解してはいないようだ。
それをスノーウィーが、ミスティにも分かりやすいように噛み砕いて再度説明して、ようやくバウムが何故自分を無視していたのかを理解した。

「なーんだ」

「しかし、あなたミスティの知力を把握して話していますか?半分くらいしかしていないよう気もするけど」

スノーウィーの小言にゴルダは、どこからか冷凍みかんを差し出して

「乙女がそんなくどくどと小言を言うもんじゃないぞ」

小言にはよろしくないと穏やかに言い放つ。
ゴルダから冷凍みかんをもらったスノーウィーは、一口で食べてから

「乙女だなんて」

とゴルダに尻尾ビンタを喰らわせた。
それを見たバウムは思わず吹き出して

「これこれ、友人にその仕打ちはないのではないかな?」

スノーウィーを咎めた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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