氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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師匠の挨拶訪問

「師匠ー、もう少し速く歩いて下さいよー」

「暑いのだから仕方ないではないか」

そんな会話をしながらゴルダの家の近くの農道を歩くのは、他でもないルーエとシュトラーレン。
今日は講義がないということもあり、ルーエはシュトラーレンにゴルダとミリシェンスを紹介しようと自宅の場所をフィルスから聞き出し、こうしてやって来たのだ。
なお、シュトラーレンはあの日アルガティアから滞在許可をもらって以来、ルーエの部屋に居候し、自身は星の魔術を使って細々と生活費などを稼いでいた。
それに対してルーエは、シュトラーレンが居候していることには一切の文句を言わずにさせたいようにさせている。

「ここがゴルダの家かな?一軒家持っているなんて大分余裕があるんだろうな」

やがて、フィルスに教えられた場所もとい座標へたどり着いたルーエは突如として目の前に現れた一軒家を見て、ゴルダはそれなりの余裕があるのだと確信した。
話では幻想生物の医者以外に何でも屋として依頼を受けたりもしていると聞かされていたルーエだが、その生活ぶりまでは聞いていなかったのだ。

「なかなか立派な家じゃないか。さて玄関はどこかな?」

シュトラーレンはそんなことを言いながら玄関を探したが、玄関はすでにシュトラーレンの視界に入っていた。
玄関は何の変哲もない木製のドアで、特にこれといった防犯魔法がかかっているわけでもない。
ただ、ネームプレートが無いのでここに住んでいると教えてもらわなければ誰もゴルダがここに住んでいるとは思わないだろう。
ルーエがゴルダの家の周りを見て回っている間に、シュトラーレンはドアをノックする。
ドアをノックして十数秒後、ドアが開いて中から濃いめのワインレッドの体毛のカーバンクルが応対した。

「どちら様で?」

濃いめのワインレッドの体毛のカーバンクルはシュトラーレンを若干警戒するような目付きで見ながら誰なのか聞いてくる。
シュトラーレンは相手が変なことをすれば手を出すという雰囲気を出していることに気付き、まずは警戒を解いてもらおうと

「ミリシェンスというカーバンクルがここに居ないかな?あとはゴルダという医者が。私の弟子であるルーエが世話になったようで会いに来たのだが」

ゴルダとミリシェンスの名を出し、その2人にルーエが世話になったことを話した上で自分はルーエの師匠であると話す。
それに濃いめのワインレッドの体毛のカーバンクルは、シュトラーレンに対する警戒を完全にではないが、初対面の第三者レベルにまで落として

「どうぞ、ルーエの話は姉さんとゴルダから聞いてるわ」

家の中へ上がることを許可してくれた。
シュトラーレンはそれにいつも以上の笑みを口元に浮かべて

「ありがとう。お邪魔させてもらうよ、ところで名前は何というのかな?」

濃いめのワインレッドの体毛のカーバンクルに名を聞く。
すると、カーバンクルは

「へフィア。へフィア=エルティーネよ、ちなみにミリシェンスは私の姉さんね。姉妹なの」

名をへフィアと名乗り、ミリシェンスは姉で自分たちは姉妹であると説明した。

それからしばらくして、家の中へと上がったシュトラーレンとルーエは居間のソファに腰掛け、へフィアとミリシェンスと談笑していた。
ゴルダは今別に所有している牧場へ行っているので、帰ってくるのはしばらく後になるのだという。

「錬金術かぁ」

へフィアが錬金術の使い手であると知り、ルーエは強い興味を示す。
錬金術は生まれつきの適性で程度が変わってくるので、できる者はどんどん伸びるが、適性が皆無だとどんなに修行しても伸びないのだとか。

「私にも錬金術の適性あるかな?ねぇ師匠?」

シュトラーレンにそう聞いたルーエに、へフィアはくすっと笑って石ころをルーエとシュトラーレンに差し出してこう言う。

「その石ころに地の魔力を注いでみて?それで簡単に錬金術の適性の有無が分かるから」

いきなり簡単ながら錬金術を試せと言われたルーエとシュトラーレンは、若干ぽかんとしながらも言われた通りに地の魔力をその石ころに注いでみることに。
ミリシェンスはそれに、また変なことさせてと言いたげな目線を投げかけていた。
数分後、シュトラーレンは

「どうやらダメみたいだね」

と石ころをへフィアへ返す。
一方のルーエは、師匠ができないなら自分がとものすごい眼力で石ころを凝視したまま、まだ地の魔力を注ぎ続けている。

「ルーエ、無理は禁物だ。その辺にしておきなさい」

だが、極限まで集中しているルーエにはシュトラーレンの言葉は届かなかった。
ミリシェンスも、ルーエの魔力が空っぽになりかけているのに気づいてそろそろ止めさせようとしているが、タイミングがつかめない。
するとそこへ

「ただいま」

ゴルダが帰ってきた。
その頭にはマティルーネを乗せているが、熟睡中のようだ。
なお、ミリシェンスがいい加減止めさせないとと思っていたルーエはゴルダの声と気配でで集中が途切れたらしく

「ふみゅう、もう限界」

魔力を注ぐのをやめて、ソファへもたれかかる。

「へフィア、お前何か余計なことしたか?」

ソファにもたれかかるルーエを見て、ゴルダはミリシェンスとへフィアの2人にそう聞く。
ミリシェンスはゴルダの問いにはため息をつき、へフィアはやっちゃったわという顔をした。
それらからへフィアが何をしたのかを察したゴルダは、一言だけこう言う。

「客人に変なことをするのはやめろ、いいな?」

その後ゴルダはシュトラーレンに向き直って

「アルガティアから話は聞いていたが、ルーエの師匠のシュトラーレンだったかな?ゴルダだ」

人から挨拶される姿勢ではないシュトラーレンに両手を体の前で合わせてお辞儀をしつつ名乗る。
シュトラーレンは、珍しく表情から笑顔を消して真面目な表情になると

「弟子のルーエがお世話になったようで何よりですよ。アルガティアから話は聞いています」

と言った後にまたいつもの笑顔を浮かべた表情に戻り

「留学中はルーエのこと、よろしく頼みましたよ」

ルーエをよろしく頼むと、ソファから立ち上がって頭を下げる。
それにゴルダは、初めから立ち上がってやれよとは思ったがそこは大人の対応で口には出さず

「任せておけ、アルガティアからも直々に頼まれたからな」

任せておけとだけ返す。
シュトラーレンの笑顔の真意を理解することは難いが、ゴルダはシュトラーレンが非常に弟子思いであることは理解できた。

「ミリシェンス、へフィア。あなた方もルーエと同族のようですので仲良くしてやってくださいね」

ゴルダにルーエをよろしく頼むと言ったシュトラーレンは、今度はミリシェンスとへフィアにルーエと同族なので仲良くしてやってくれと頭を下げる。
ミリシェンスとへフィアはそれに対して

「え、ええ…」

としか返すことができなかった。
何せ、シュトラーレンのその笑顔の意を読み取ることが困難だったからである。
もし読み取れたとしても、それは酷く混沌としたものだっただろう。

とここで

「ふみゅう」

魔力の使いすぎでダウンしていたルーエが復活したらしく、握っていた石ころを見てぽかんとしていた。
それを見たへフィアがどうしたのとルーエの手に握られていた石ころを受け取ると

「あらあら、不純物が多いけどこれミスリルね」

石ころが不純物が多いながらもミスリルに変化していることを告げた。
つまり、ルーエには少なからず錬金術の素質があるということになる。

「ふぅむ、これは驚きですね」

「ふみゅう」

そのシュトラーレンの一言が意するものが何なのかは、誰も知らない。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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