氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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妹とも強制契約

梅雨がすっ飛ばされていきなり夏が来たような暑さのある日。
ゴルダが家を空けているので、ミリシェンスは淡々と家の中を掃除していた。
とはいえ、常日頃から綺麗にしているのでそこまで掃除をする必要もないのだが。

「どうにも綺麗すぎるのも困りものね、変な話だけど」

綺麗すぎるのもどうだかなどと従者らしかぬことを呟きながら、ゴルダがほったらかしにしている雑誌類を整理しているとその中から見慣れない魔法書が現れた。
表紙の材質はよくわからないが、革で製本されたものらしく作られてから3桁の年月は経過していることが伺える。
そんな魔法書を見て、ミリシェンスはゴルダがまたどこからか依頼の報酬でもらったのだろうかとも考えたが、もしそうならばミリシェンスが気づかないはずがない。
自慢ではないが、ミリシェンスは魔法書などの気配を感じ取れる何とも微妙な能力を有している。
感じ取れるのは、魔法書の匂いや放出されている魔力だが、これらは普通に感じ取ることは難しいのだとか。

「参ったわねえ、ゴルダに聞いたところで知らないの一点張りだろうし」

一通り雑誌を片付け、ソファに腰かけて問題の魔法書を改めて手に取ったミリシェンスがポンポンと魔法書を叩きながらそう呟いた瞬間、魔法書から先ほどまで放出されていた以上の魔力が解放された。
ミリシェンスはそれをあら?と特に驚く様子もなく、どこからか手裏剣を出して身構える。
なお、ミリシェンスが手裏剣を構え終えた時には先ほどまでそこにあった魔法書は消え、代わりに黄色い核石に濃いめのワインレッドの体毛に青い目のミリシェンスとは違うタイプのエプロンをしたカーバンクルが立っていた。

「あら、ミリシェンス姉さん」

濃いめのワインレッドの体毛のカーバンクルは、手裏剣を構えたままぽかんとしているミリシェンスにそう話しかける。
姉さんと呼ばれ、ミリシェンスはどういうことなのか状況を理解したうえでため息をついて

「姿見た時から嫌な予感がしてはいたけど、やっぱりね。ヘフィア」

ミリシェンスはそのカーバンクルのことをヘフィアと呼び、手裏剣をしまう。
ヘフィアと呼ばれたカーバンクルは、辺りを一通り見回してから

「で、契約者はどこなのかしら?姉さん」

契約者、つまりゴルダはどこにいるのかと聞く。
どうやらミリシェンスのした行為で、ヘフィアもゴルダと契約状態となってしまったようだがその原因は不明のままである。
帰ってきたゴルダに何と説明するかはあとで考えようと、ミリシェンスはヘフィアに

「何年ぶりかしら?最後に会ったのって私の体感で200年くらい前なんだけど」

こうして会うのは何年振りかと問う。
ヘフィアはそれに対してはも肯定も否定もせず、こう答えた。

「思い出せないわ、最後に何を話したのかすら」

そう、思い出せないと。
これにはミリシェンスもその場で尻餅をついて何よそれという顔でヘフィアを見た。

なおその頃、依頼で地球は日本で電車に揺られて移動中のゴルダはどことなく嫌な予感を感じ取っていた。
その嫌な予感とは、また同居人が1人増えるという意味でのもの。
だがしかし、また1人同居人が増えたところでそこまで生活がきつくなるわけでもない。
その程度にはゴルダの収入にはまだ余裕がある。

「ミリシェンスが同居人を増やしたか、やれやれ」

とここで、記憶などを共有しているが故に入ってくるミリシェンスの記憶から同居人が増えたという確信を持たせる記憶が入ってきてゴルダは心の中でやれやれと呟き、電車を降りるのであった。

「ああうん、なるほどね」

その一方、増えた同居人ことヘフィアはミリシェンスと同じようにゴルダと記憶や知識、技術などを共有するようになったので、共有されたゴルダの記憶やらを整理して一体どういう契約者なのかを把握する。
なお、ミリシェンスは妹であるヘフィアを若干心配していた。
それはなぜかというと、ヘフィアは「仕事は程よく手を抜く」というスタンスなのだが、そのスタンスをはき違えて実行しているのでゴルダに怠けていると認識される可能性が大いにあるからだ。
ヘフィアはミリシェンスほどではないにせよ、従者としては問題なくやっていけるレベルであり、火と地と聖の属性を持ち、火と地の属性を駆使した錬金術も使える。
だがしかし、はき違えたスタンスがそれらを台無しにしていると言っても過言ではない。

「ヘフィア、これを機にあなたのはき違えているスタンスを見直してほしいものね」

「見直せたらね」

ちなみに、ゴルダはヘフィアのスタンスのはき違えに対しては

「直していかんと後悔するぞ、俺との生活はとても長いものになるからな」

の一言だけで、それ以上言及することはなかったという。
なお、マティルーネはヘフィアに対しては

「なんだかなね」

とだけしか言わなかった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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