氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ルーエとイファルシア

今日もルーエは王宮図書館でレポートに励んでいた。
だが存外簡単な課題だったため、来て1時間ほどで終わってしまったのでどうしようか考えているところである。

「中を見て回ってみようかな」

図書館以外を見て回ったことがなかったルーエは、この機会に王宮の中を散策してみようと荷物をまとめて図書館を後にする。

「植物いっぱい」

試しに庭園の方へ出てみれば、普通の城と違って花壇が整備されており、庭園の外れには畑すら見える。
どうやらこの王宮では自給自足をしているようだ。
ルーエはそれを横目に、畑の方へと歩いていく。
畑には立て札が立てられ、何が植えてあるのかが一目で分かるようになっていた。

「ふみゅう?」

一通り畑を見て回り、両側に木が植えられれ街路樹のようになっている場所へ来ると、緑毛のカーバンクルが身の丈には少々合わない大きさの枝切りハサミを手に剪定をしていて、それをまた緑毛の竜が切られた葉や枝をどこからか伸ばした蔦で一箇所に集めているのをルーエは見かけた。

「魔法使えばいいのに、なんでわざわざ剪定ハサミ使うんだろう?」

そんな疑問を感じながら、ルーエは2匹の側まで行く。
カーバンクルの方は全くこちらに気づいていないが、竜の方はすぐにルーエに気づいて

「何か興味深いものでもあるのかい?危ないからあまり近寄らないでね」

危ないのであまり近寄らないように忠告し、また切られた葉や枝を集めるのに戻る。
その葉や枝が気になったルーエは、緑毛の竜の邪魔をしないようにそっと集められていた葉と枝を拾う。

「広葉樹林と針葉樹林の両方の特性を持ってるみたい。薬の素材になるかどうかは分からないね」

ざっと見た結果、この木は広葉樹林と針葉樹林の両方の特性を有していることが分かったが、薬の素材になるかどうかまでは分からないと言う結論をルーエは出す。

「うん、この木を薬の素材にするのは難しいよ。調合方法を間違えると猛毒になるからね」

ルーエの独り言を聞いていたのか、緑毛の竜がそう話しかけてきたので、ルーエは思わず

「ふみゅう?」

きょとんとした表情で緑毛の竜を見てしまう。
すると緑毛の竜は

「ごめんごめん、独り言だったみたいだね。てっきり僕に話しかけているのかと勘違いしちゃったよ。君は確かルーエだったかな?アルガティアから話は聞いているよ、異界からカーバンクルの留学生が来たってね。僕はエゼラルド」

ルーエが自分に話しかけていると勘違いしていたことを謝り、エゼラルドと名を名乗った。
どうやら、自分の名はフィルス同様アルガティアから聞かされているようだ。
なお、ルーエはアルガティアがリフィルの女王であること以外は全く知らない。
なぜなら、王立大への留学許可書に名前と肩書きが記されていたくらいだからだ。

「あんた、この王宮に植えられている植物が気になるのかしら?」

剪定を終えたのか、緑毛のカーバンクルがハサミを下ろしてルーエの方を見ながら言う。

「ボクのいた世界にない植物ばっかりだからね。ところでキミの名前は?」

ルーエは自分の世界にない植物ばかりだからと気になる理由を話し、緑毛のカーバンクルに名を聞く。
あえて自分から名乗らなかったのは、この緑毛のカーバンクルも自分の名を知っていると思ったからだ。

「私はイファルシアよ、あんたはルーエだったわね?」

「うん」

緑毛のカーバンクル改めイファルシアは剪定ハサミをエゼラルドに渡しながら自らの名を名乗った。
ルーエは第三者をあんた呼ばわりするイファルシアに少し違和感を感じながらも、そうだよと頷く。
イファルシアはルーエが頷いた後、スンスンと鼻を鳴らして

「薬の匂いがするわ、そういうのもやってる?」

ルーエから薬の匂いを感じ取り、調薬もやっているのかと聞く。
確かにルーエは元居た世界で調薬をしてはいたが、匂いが染みつくまではやっていなかったはずだった。
それでも匂いがするということは、イファルシアの嗅覚がそれほどまでに鋭いものなのだろう。

「ちなみにどんな匂いがするの?」

ここでルーエはふと気になった疑問をイファルシアに投げかける。
イファルシアはエゼラルドが切った葉と枝を片付けるために居なくなっているのを確認してから

「薬草系の植物の匂いがしたのよ。私は植物の匂いだけには敏感なの、草の属性なだけにね」

草の属性なので植物の匂いには敏感なのだと話す。
それにルーエは

「ふみゅう」

と、どこか納得のいかないような雰囲気で言った。
イファルシアはルーエの反応を見てクスクスと笑うと、どこからかルーエと同じような色のテッポウユリを出す。

「私はこんなこともできるわ、全く新しい植物を生成したりとかね。これはテッポウユリの色をあんたの毛の色と同じ色に書き換えただけ」

イファルシアの説明に、ルーエはそんなことができるの?と首をかしげる。
なにせ、この手の能力持ちと会うのは初めてのことだからだ。

「あんた、生成系の能力を見るのは初めてかしら?なら無理もないわ。初めて見る奴は『どうやって出してるの?』とか言ったりするから」

またクスクス笑いながらイファルシアに言われたルーエは、自分がバカにされているようないじられているようなよく分からない感覚に襲われた。

「ちょっとからかいすぎたかな?お詫びにこれあげるわ。愛媛みかんよ」

渋い顔になっているルーエを見たイファルシアは、どこからか愛媛みかんを出してルーエに差し出す。
差し出された愛媛みかんを見たルーエは、これは皮をむかないと食べれないと理解し、みかんの尻の方に指を突き刺して皮をむく。
なぜ初めて見るみかんの食べ方が分かったのかというと、先にイファルシアが同じようにみかんの尻に爪を突き刺して皮をむいて食べていたからだ。

「甘酸っぱい」

「みかんってそういうものよ、でもおいしいでしょ?」

時折口をすぼめながらみかんを食べるルーエに、イファルシアはそういうものだと言って今度はレモングラスのような葉を出した。
見た目は完全にレモングラスなのだが、匂いはルーエが今まで嗅いだことのない独特な匂いだった。
例えるならば、ミントとラベンダーにユリの匂いのいいとこ取りをしたような匂いだ。

「これはレモングラスに少し手を加えたものよ。効能は匂いに鼻づまり解消と気分の安定化。お茶にすると気分の安定化と同時に魔力の潜在回復力を引き上げることができるわ」

イファルシアから一通り説明を受け、それを渡されたルーエはその匂いを思いっきり嗅ごうとする。
するとどうだろうか、匂いが強烈すぎてルーエは思わずくしゃみをしてしまった。

「そんなに勢いよく嗅ごうとしたらダメよ、本当は乾燥させて香として使うものなんだから」

「ふみゅう、先に言ってよ」

この後もルーエはイファルシアからあれこれオリジナルで生成したハーブをもらったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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