氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ルーエとフィルス

ある講義のない昼下がり、ルーエはなぜか王宮の図書館に居た。
なぜかと言うと、リフィル王立大の図書館には、あまり魔法書が置いてないのだ。
なんでも、過去に王立大の図書館から禁忌の魔法書が盗まれたことがあるため、魔法書は全て王宮の監視魔法が完備された図書館へと移されたのだという。

「盗む輩っているんだなぁ、そういう輩のせいで普通に使ってた者にしわ寄せが行く。おかしな話だね」

ルーエはそんな独り言を呟きながら、講義の課題レポート用の魔法書を探す。
今日やろうとしている課題は、聖属性の魔法で相手のトラウマを和らげる魔法に関してまとめてこいというもの。
当然、講義で習った範囲の応用なのでいつも使っている魔法書では役に立たないのでこうして探しているのだ。

「聖属性の魔法の本棚はここかな」

ルーエは隣に誰かが居るとも知らずに、右へ右へと移動して本を探していく。
そしてようやく目的と思わしき本を見つけ、それを取ろうとした瞬間、隣で積み上げた本が崩れ落ちるような音がした。
どうやら誰かとぶつかったようだ。

「ふみゅう?」

「第三者の心に寄り添う魔法」という本を取ったルーエが横を向くと、青毛のカーバンクルが魔法書の山から耳だけを出して埋まっていた。
それを見たルーエは慌てて本をどかして

「大丈夫?」

と声をかける。
すると青毛のカーバンクルは本の山の中からはい出て、魔法で本を全て本棚へ戻してからルーエに

「左右上方後方、前方だけ注意してても仕方ないよ」

と首輪をいじりながら言う。
だが、その声は青毛のカーバンクルの口からではなくルーエの頭の中に直接入って来た。
どうやら意思を飛ばして会話をするタイプのようだ。

「うんそうだね」

ルーエは青毛のカーバンクルにそう返して、自分はさっさとレポートを書き上げてしまおうと背を向ける。
すると青毛のカーバンクルが

「その本あまり良くないよ、呪文のスペルが相手の心をナイフで刺してえぐり出すような感じだから」

「どういうこと?」

その意味深な物言いに、ルーエは青毛のカーバンクルにどういうことかと問う。
明らかに本の内容を理解していなければ言えないことだからだ。
すると青毛のカーバンクルはルーエの「第三者の心に寄り添う魔法」をこれまた魔法で本棚へ戻して

「僕はこの図書館の本当の意味での禁書以外の魔法書はほとんど読んで理解しているよ。君は確かリフィル王立大に留学してきたカーバンクルだよね?珍しいからってアルガティアがあっさり許可出しちゃって学長から苦言漏らされたらしいけど」

自分はこの図書館の本の内容を禁書以外はほとんど理解していると話し、ルーエが留学生であることも把握済みであるようなことをほのめかす。
なお、ルーエはそれに

「ふみゅう?」

ぽかんとした表情で青毛のカーバンクルを見つめていた。
青毛のカーバンクルは余計な話をしてしまったかと言わんばかりに

「トロールに魔法書な話しちゃったね。そうだ、君の名前はルーエで当たってるよね?僕はフィルス」

ぬかに釘や、馬の耳に念仏と同様の言い回し言ってからルーエの名を把握していることを話し、自らの名をフィルスと名乗る。

「なんでボクの名前知っていたのかは聞かないけど、さっきの魔法書がダメなら他にいいのあるの?」

青毛のカーバンクルもといフィルスが自分の名を知っていることには特には触れず、ルーエはフィルスに代替案の提示を求める。
するとフィルスは、ルーエもはしごを使わないと届かない高さの棚から「カウンセリングのための基礎魔法集」という本を取って

「これに載っている呪文なら大丈夫、でもレポートにするなら比較としてさっきの本の呪文も書いた方がいいいよ」

ルーエに渡すと、また「第三者の心に寄り添う魔法」を本棚から出して同じように渡す。

「比較って大事だよね、ありがとう」

ルーエはフィルスに礼を言うと、そのまま自分が使っている机へと戻る。
なお、フィルスは今しがた気付いた戻し忘れの本を戻して他にも戻し忘れの本がないかを確かめながら掃除を始めた。

「本当だ。同じ魔法でも呪文のスペルが全く違う」

その頃フィルスは、閲覧スペースに置きっ放しにされている本たちをレポートに集中するルーエを尻目に片付けていた。

「困るな本当に、片付けしてくれないってのは」

片付けをしているフィルスのぼやきを聞いていたのか、ルーエはレポートを書く手を止めて

「手伝う?」

フィルスに手伝いを申し出る。
するとフィルスは軽く頷きながら

「頼んでもいいかな?」

口元にかすかな笑みを浮かべながら、ルーエに手伝ってくれるように頼んだ。
そしてルーエもそれに応じるようにして片付けを手伝いだす。

「結構な量があったね」

「片付けも知らない利用者には困ったものだよ」

フィルスの愚痴にルーエはそうだねと同意だけして最後の本を本棚へ戻し終えた。
その量は3桁手間にまでのぼり、終わった頃には2時間近くが経過。
ルーエはすっかりレポートのことを忘れてフィルスの手伝いに夢中になっていたが、片付けが終わると同時にレポートのことを思い出して

「ふみゅう、レポート…」

思わずレポートのことを口に出した。
するとフィルスは耳を掻いてからルーエに

「手伝おうか?片付けを手伝ってもらったお礼と言っては何だけど」

片付けを手伝った礼として、レポートを手伝うことを逆に提案した。
もちろんルーエはフィルスの好意に甘んじて

「頼んでいい?」

と頭を下げて頼んだ。

なお、この後ルーエはフィルスの助言で軽々レポートを完成させた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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