氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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輝星と人の姿のシア

その日、シアは城の庭園で警備兵の鍛錬及び教育をしている教官に、人の姿で剣術を教えてもらっていた。
人の姿である以上、本来の姿のような体格や力を利用した攻撃はできないのでこうして剣術を教わっている。
なお、魔法だけでも十二分じゃないのかと思われがちだが、シアがそれを良しとはしていないようである。

「うむうむ、剣術の基礎を持っているだけのことはあるなシア様は」

「基礎と言っても、構え方や効率的な剣の振り方と言った基礎中の基礎のことよ」

「それだけでも十分だ、本当の素人は剣の構え方すら知らない」

「ふーん」

教官とシアがそんな会話をしながら剣術の鍛錬をしている頃、その少し離れた場所の噴水の前で輝星が一人涼しんでいた。
当然、こんな夏日であることなど知る由もなく来た瞬間にこの暑さだったので完全にダウンしている。

「暑いなあ」

噴水の近くに居るおかげでまだいい方ではあるものの、それでも完全に暑さを解消できたわけではない。
そして何よりも王子としての正装が厚着だったのも暑さに拍車をかけている。

「冷たいおやつ食べたいなあ」

噴水の中に顔を突っ込みたくなる衝動を抑えながら、輝星はそう呟いた。

その頃シアは、教官がこの後新米警備兵達の鍛錬を見なければならないので一人で木人相手に鍛錬続けていたが

「やっぱり生身の相手じゃないと緊張感が出ないわね」

膝まで届く長い髪をかき上げ、汗を拭きながらシアは呟く。
ゴルダでも呼べばいい相手になっただろうが、めんどくさがって来ない可能性が高いのは火を見るよりも明らかである。

「戻ろうかしら」

木人相手の鍛錬に飽きたシアは、剣をしまって輝星がダウンしている噴水の方へと向かう。

「あら?」

噴水のある場所まで来たシアの目に、噴水の中へ頭を突っ込みかけている輝星が映る。
観察眼を使って見た限りでは、まだ熱中症にはなっていないようだが、このままほったらかしにしておけば本当に熱中症になりかねない。

「大丈夫?まだ溶けてない?」

「うーん…シア様かぁ」

170センチくらいの身長に膝まで届く長い髪の、青がかった白いローブ姿の女性の姿を取るシアを見ても、誰とは言わずにすぐに誰なのかを理解した輝星は片目半開きにしてシアを見ながらそう呟く。
おそらく、本来の姿の魔力の特性を知っているのと雰囲気からシアであると理解したのだろう。

「ほら、城の中行くわよ」

「はーい…」

暑さの影響で、本来のテンションになれない輝星はシアに城の中に行くと言われて気の抜けた返事を返した。

「落ち着いた?」

「なんとかかな」

それから数十分後。
涼しい応接室で休み、どうにか持ち直した輝星は山羊竜の乳で作られたアイスを食べていた。

「うん、これおいしいよシア様」

「山羊竜はあまり乳を出さないから貴重なのよ。今日はたまたまね」

普通の濃厚さとは違った、癖のある濃厚さの山羊竜の乳は、数ヶ月か半年に一度しか絞れない貴重な食材。
今日は偶然その乳が手に入り、サフィがチーズを作った余りでアイスを作っていたので輝星はありつけたのである。

「それはそうと、シア様はなんで人の姿になっているの?」

輝星の何故?という純粋な疑問に、シアはこう答える。

「ただ人の姿なってみたいと思った。そんな漠然とした理由じゃダメ?」

ただ人の姿になってみたかっただけという漠然とした理由を聞いた輝星は、最後の一口のアイスを口に運んでから

「それがシア様の理由なら深くは聞かないよ。僕が竜王になりたい理由も、楽しい国にしたいっていう理由だし」

それがシアの言う理由なら問い詰めないと話した。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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