氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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お返しは慎重に

その日、ゴルダは真剣に悩んでいた。
それはもうすぐやってくるホワイトデーの時のコロン達へのバレンタインのお返しについてだ。
あんな立派なものをもらってしまった以上は、それに見合うもので応えなければならない。

「四人別々が、それとも同じものか」

牧場からの帰り道、マティルーネをもふもふしているフウをよそにゴルダは何をお返しにあげるかを運転しながら考える。

「何考えてるの?」

「それに触れちゃだめ」

いつもの無表情な目付きと違い、思慮にふける真剣な目付きになっているゴルダにフウは何を考えているのかを問うが、何かを察したマティルーネに触れちゃだめと言われて、えーという顔をする。
なお、ゴルダはその問いに対しては

「何をか?それは今日は俺が晩飯を作る日だが、何を作るかが決まらないから悩んでいたのさ」

とそんな嘘をシフトチェンジしながら返す。

「怪しい…」

と、ジト目で怪しんできたフウに、ゴルダは何の反応も示さず。突如スマホに入っている音楽を流し始めた。
これは、運転中にゴルダが聞かれたことをはぐらかしたりするのによく用いる手段であり、これ以上は問いかけても答えてはくれなくなる。

「ちぇー」

それ以降、フウは帰宅するまでゴルダに一言も話しかけなかったとか。

「ただいま」

「あらお帰り」

「お帰りなさいゴルダさん」

そして帰宅後。
ミリシェンスとユウにお帰りと言われて、ゴルダは

「ああ」

とだけ返事をし、居間のソファに腰掛けて今月号の幻想と医学を読み始める。
そのゴルダのそっけない態度に、ミリシェンスはフウに何かあったのかと聞くが

「さあ?どうしたのか聞いたら晩御飯の献立決まらないって言われたよ。嘘だと確信しちゃったけど」

晩御飯の献立が決まらないと嘘を言われたと返され、結構何があったのかはわからずじまいである。

「もうすぐホワイトデーってのが関係あるのかも知れないわねえ」

ミリシェンスのその一言に、フウとマティルーネはそういうことねという顔をした。

「ねえ」

「ん、どうした?」

幻想と医学を読んでいるゴルダに、二時間ほど経ったところでミリシェンスが話しかけてくる。
ゴルダはそれに幻想と医学から目を離し、どうしたとミリシェンスに聞く。

「今日はあなたが作るんでしょう?そろそろ準備しないと間に合わないわよ」

「サボっちゃダメですよー?」

ミリシェンスとユウののその言葉で、ゴルダは晩飯のことを思い出して

「すぐ準備しよう」

と言って準備に取り掛かった。

その準備をしている最中も、ゴルダはコロン達へ何をお返しにしようかを考えていた。

「やはり四人別々ではなく統一した方がいいのかもしらんな」

だが、結局行き着いた解は四人同じものをあげるというものだった。

そしてやって来たホワイトデー。
朝からなんだかんだで準備をするゴルダに対して、ミリシェンスとユウはのんびり。
なおフウはゴルダに手伝わなくていいと言われ、ただボーっとしている。
いや、正確には掃除以外は手伝わなくていいと言われていて、その掃除が終わったのでやることがないのだ。

「結局四人分同じのを用意したが、反応がどうかだな」

事前にコロン達からは今日来ることを告げられていたので、こうしてゴルダは朝から準備しているのだ。

「お邪魔ー」

「します」

「こんにちは」

そうこうしている間に、コロン達がやって来てしまう。
なおこの時ゴルダは、全員分の昼食作りの真っ最中でコロン達が来たことに一切気付いていない。

「あら、昼食の準備中でしたか」

「朝からずっとね」

コロンとミリシェンスがそんな会話をしている間、ココとチーノはまたゴルダに断りもなくゲームを引っ張り出してフウとやり始め、モカはユウとマティルーネとのんびりしている。

「お茶淹れてくるわ」

「わざわざすみませんね」

ミリシェンスが茶を淹れてくると言ったのに、コロンはわざわざすまないと言う。
ミリシェンスはそれにいいのよと言わんばかりの顔をして台所へ。

「順調?」

「ぼちぼちだ」

昼食用にパスタを深鍋で茹でる傍ら、ソースを作っているゴルダにミリシェンスは進捗を問う。
ゴルダはミリシェンスの問いにぼちぼちと返し、かなり熱くなっているはずの深鍋の取っ手を素手で掴んで流しの湯切り籠に中身を流す。

「見た感じ、少し鍋から上げるのが早かったようね」

「どうせなら固めがいいさ」

パスタの茹で上がり具合を見たミリシェンスが少し早いと言ったのに対し、ゴルダは固めがいいと返す。

「コンロ一口貸して、お湯沸かすから」

「構わんぞ、後はソースだけだからな」

そう言ってスッとコンロを一口貸したゴルダを見て、コロンとモカは

「強い相互信頼の結果ね」

「私も雇い主とあそこまで信頼築けたら良いんだけど」

二人を少し羨ましそうな目線を投げかけた。

一方、ココとチーノとフウはというと

「うわー」

「ネス強すぎ」

「何このヨッシー」

スマブラに夢中で、こちらに一切気がない。

「無邪気な心を忘れないって、とても大事だと思うの」

唐突なマティルーネの一言に、ユウとコロンとモカは面食らった顔になって

「えっ…うんうん、そうね。ああいう心を持ち続けるのは大事ね」

「自制が利く大人の心と、純粋な子供の心。年を取っても若々しい人ってそれらを持ってますからね」

「純粋すぎるのもどうかとは思うんだけど」

それぞれに思いを語った。
それにマティルーネは、くすくすと若干笑ったがそれには誰も気付いていない。

「お茶入りましたよ」

とそこへ、ミリシェンスが淹れたての茶を持って戻ってきた。
するとコロンがミリシェンスのところへ歩いてきて

「持ちますよ」

とミリシェンスから茶を受け取る。
ミリシェンスはそれに悪いわねと言い、自分は食器棚からカップを取りに行く。

「ふう」

「おいしいですわ」

お茶でくつろぐ三人と、スマブラで盛り上がる三人に、黙々と昼食の用意を進める一人。
それぞれが思い思いに違う空気を同じ空間に作り出しているのは、なんとも不思議である。

「昼飯の時間だ」

やがてゴルダから声がかかり、皆が皆食卓テーブルへ集う。
テーブルにはカルボナーラとサラダがそれぞれ並べられ、どれもおいしそうだ。

「いただきます」

「構わず食え」

こうして、楽しい昼食が始まった。

「やはりミリシェンスさんに引けを取らない腕ですね」

「暦と腕前が比例するかはそいつ次第だからな」

モカとそんな会話しながらも、淡々とカルボナーラを口に運ぶゴルダに対し、ココとチーノはイタズラをしようとしてはミリシェンスに咎められるを繰り返している。
なおコロンは一切話をせず、ユウとフウは互いに食べさせ合っていた。
なお、マティルーネはガツガツと食らうレルヴィンをよく食べるのねという目で見ている。

「ティッシュあります?紙ナプキンでも構わないんですけど」

突如コロンにそんなことを聞かれ、ゴルダはカルボナーラを食べる手を止めて紙ナプキンをコロンに差し出す。

「ごめんなさいね」

そう言ってコロンは紙ナプキンを受け取り、口周りを拭く。
そしてゴルダは、コロンに紙ナプキンを渡したことであることを思い出す。
それは、コロン達へのバレンタインのお返し。

「後で渡したいものがあるんだがいいか?」

ゴルダの一言に、コロンはきょとんとした顔で

「構いませんが、何でしょうか?」

何を渡すのですかと聞いてくる。
だがゴルダはそれには何も答えず、またカルボナーラを口へと運ぶ。

「変ですね。怪しいものをこれまでに一度も貰ったことはないからいいんですが」

コロンのその一言は、ゴルダを信用そているからこその発言であった。

やがて食事を終え、生チョコケーキのデザートを楽しんでいるコロン達にゴルダがバレンタインのお返しが入った箱を持って来た。
持って来た箱は一つだが、中身は四つあるのでその辺は全く問題がない。

「誰が開ける?中身は三つだから心配するな」

「私が!」

緑茶の湯のみ片手に聞いてくるゴルダに、真っ先に反応したのはココ。
風の属性の使い手なだけあってか、コロンより速くその箱を奪い取って箱を開ける。
中に入っていたのは、色の違う三枚のストールが入っていた。
ちなみにこのストール、竜毛や幻獣毛を使って作られたもので、それぞれ属性が違う。

「何にするか考えたが、やはりおしゃれの一つくらいはしてほしいからな。これにした」

「青と緑と…これはワインレッドでしょうか?」

中に入っていたストールは、それぞれ青と緑に銀にワインレッド。
何故緑が二つ入ってないのかは謎である。

「好きなのを選べ」

ゴルダがそう言うやココは真っ先に青を、チーノは緑、モカはワインレッドを、コロンは残った銀のストールを取る。
コロンとモカはあっさりストールを身に纏えたが、ココとチーノはこれどうやって身につけるの?と四苦八苦していた。

「こうかな?」

「それだと忍者だ」

頭巾のようにして、口元を覆うようにストールを身につけたココにゴルダはそれだと忍者になると指摘。
だが正しい付け方はあえて教えない。

「ストールはね…こうするのよ」

やがて、二人して忍者のようにストールを身につけたココとチーノを見かねたミリシェンスが二人のストール外して、肩にかけるようにしてつけてやったt

「へえー、こうやって身に纏うんだ」

「マントみたい」

四人の嬉しそうな様子を見て、ゴルダは満足そうだったという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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