氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ゴルダとサフィと名も知らぬ竜たち

それはサフィからの一通のメールから始まった。

「明日暇?」

シンプルな伺いのメールに、ゴルダは

「暇ではないが、依頼がなければ空いている」

とサフィにメールを返す。
そしてその返信に対して返って来たのは

「分かったわ。明日そっち行くから」

家へ来るというものだった。
それにゴルダ一体どういうことだと思いながらも、了解した旨の返信を返してメールを終える。
はたして、サフィは何のために来るのだろうか?

翌日、ゴルダは朝から家の中を掃除してサフィを待っていた。
何の目的があって来るのかも分からないので、かなり引っかかる点があるが気にしても仕方ないとゴルダは割り切る。

「こんにちは」

「あらいらっしゃい」

普通に挨拶をして、普通に入ってきたサフィをミリシェンスも普通出迎える。
なお、サフィの服装はジーンズに長袖と上から一枚上着を羽織ったありきたりといえばありきたりな服装。
そして、いつも二つに分けて束ねている髪は解いてストレートにしている。

「出かけましょ」

ゴルダを見るや、サフィは開口一番に出かけようと言う。
それにゴルダは、マティルーネの頭の毛を梳かしながらそうかとそっけない返事を返す。
サフィはそのゴルダの返事にやれやれねと呟くと、何も言わずにマティルーネを抱く。
ゴルダが抱こうとすると、その日の機嫌次第では嫌がるマティルーネだが、サフィに抱かれても嫌そうな顔はしなかった。

「ふふっ、かわいい」

普段の仕事馬鹿っぷりからは想像つかないほどに幸せそうな顔で、サフィはマティルーネを抱きながら頭を撫でる。
それを見てゴルダは、やはり同性に触られた方がいいかと思うのであった。

「出かけるんじゃないの?」

突っ立ったままの二人にミリシェンスはそう聞く。
すると、ゴルダの方がそうだったなと言わんばかりに

「それで、どこへ行く?」

どこへ行くのかとサフィに改めて問う。
するとサフィは、マティルーネの頭をわしゃわしゃしながら

「そうね、秘密」

秘密だと返し、目線でゴルダに早く準備するように促す。
ゴルダはそれに納得がいかない顔をしながらも、聖竜布の上着を着てミリシェンスに行ってくると言ってレルヴィンを留守番させ、マティルーネを抱いたままのサフィと出かけた。

やがて、ゴルダがサフィついて行くがままについて行った先は死の森の真ん中辺り。
あるのは死の森の中の安全地帯を通る道路と、今しがた竜タクシーを降りたそこまで人気のないサービスエリアのような場所。

「薄気味悪い」

あまりに人気がないせいか、思わずそんな一言を漏らしたマティルーネにサフィは大丈夫よと言わんばかりに強く抱きしめる。
一方ゴルダは、ざっと辺りを見回してからサフィを見て何故こんな場所へ?
と目線で問う。
だがサフィは何も答えずに、今いるサービスエリアのような場所の裏手にある舗装されていない道をへ向かう。

「おい、どこ行くんだ」

マティルーネを抱いたまま先へ行くサフィを追って、ゴルダもその道へと入った。
サービスエリアのような場所を抜け、ゴルダとサフィとマティルーネはやがて禍々しくも幻想的でもある森の中の大木の前へとやって来た。

「樹齢数千年レベルの木だな。大陸歴前からの木とも受け取れる」

木の根をじっと見ていたゴルダは突然樹齢の話をしだす。
確かにこの大木は、樹齢数百年レベルでないことが伺えるほどには巨大で、根も万年桜のものと同じくらいには太い。

「せっかくの自分の休み削ってまで、なんでこんな場所へ連れてきたのかってのを聞きたそうね。木の上の方見てみなさいよ」

向き直ってこちらをしばらく見ていたゴルダに、サフィはマティルーネを離してそう言う。
ゴルダはそれにふむと頷き、どこからか暗視機能付きの高倍率双眼鏡を出して木の上の方を見る。

「こっちの様子を伺ってる奴らがわんさか居るな」

双眼鏡で覗いた先には、無数の目がこちらの様子を伺っているのが見えたが、薄暗くてそのその姿までは見えない。
なので、ゴルダは双眼鏡の暗視機能をアクティブにしてまた覗く。
すると、マティルーネくらいの大きさの竜が十数匹、身を寄せ合っているのが見えた。
暗視機能を通して見ているので、判然としないが、その竜たちは全て有毛種であるというのは分かった。

「何か見えた?」

双眼鏡で覗き続けていると、背後からサフィに聞かれ、ゴルダはああと答えて

「あそこまでまとまった数の闇竜は見たことがないが、もしや吸血竜の幼竜か?」

あの木の上の竜は吸血竜の幼竜かとサフィに問う。
するとサフィは、そうよと即答して

「3歳くらいかしらね、人間換算で。シアに言われて来てみたら居たのよ」

発端はシアから吸血竜の幼竜を見つけたから見てこいと言われて見に来たら居たと話す。
シアからサフィへ、そしてゴルダへと伝えられたこの吸血竜の幼竜の存在。
シアが何をして欲しいのかは、考えるまでもない。

「なるほど、つまりは俺にこの吸血竜たちを見守れと」

「そういうことよ。最低でも人化能力を取得できるようになるまではね」

シアの頼みが分かった以上、これ以上ここに居る必要もないとゴルダはマティルーネを連れて大木に背を向ける。

「帰るぞ、これ以上ここにいても何の意味もない」

「そうね」

こうして三人は吸血竜の住まう大木を後にした。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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