氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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ゴルダと冷たき視線の主

それは今冬最大級の寒波が到来したある日のこと。
ゴルダの家の周りも、最大で1メートル近くまで雪が積もり。その雪かきに追われていた。

「やれやれ、50センチ以上積もると雪かきに余計時間がかかるな」

ゴルダはそう呟きながら最低限車が通れるくらいに雪かきを続ける。
いつもなら雪かきをしているとくっついて来るサジも、今日は寒さに体がついていかないようで、家の中に閉じこもっている。
なので、さっさと終わらせようとゴルダは雪かきの手を止めない。
だが、やはり1人でやるのには労力の限界がある。
あともう1人でも居れば話は変わるのだが、そう上手くはいかないのが現実。

「小型除雪機でも買うか?」

そんなくだらないことを考えていると、ゴルダはサジが来た時から感じる、氷のように冷たく突き刺さる若干の殺意のこもった視線を察知した。
だがしかし、今この時感じるその視線は、遠くからではない。比較的近い距離から投げられているようにも感じる。

「またか。しかし今日は投げられている視線の強度が今までの比じゃない」

ここまでされると、ゴルダも雪かきの手を一旦止めてその場で瞑想をし、その視線がどこから来ているのかを調べる。

「…こっちの方か」

ゴルダが特定した視線の方向は、自分の左斜め後ろ。
その方向には森があり、身を隠してこちらの様子を伺うのには最適な場所だ。
その場から動かずにゴルダは森の方を見るも、視線を投げる主の姿は確認できなかった。

「行くしかないか」

そう言ってゴルダはいつでも武器を抜けるようにしてから森へと向かう。

森の中も深々と雪が積もっており、それに歩く速さを落とされながらも森の中を進むゴルダ。
やがて、もう間近に視線を感じる範囲にまで入ったゴルダを待っていたのは、なんの変哲もない雪が深々と積もった森。

「向こうは隠密しているということか?」

絶対に警戒は怠らず、周囲を眺めていたゴルダの耳にこんな声が入った。

「隠密なんてしてない。私はお前の後ろ」

その声を聞いて、振り返りざまに剣を抜いて構えたゴルダの目に入ったのは、サジに似た姿だが7メートルはあろうかという体格に、見たものを凍りつかせるような紅い目、そして青毛。
診察眼でざっと見た限りでは、普通に油断ならない強さであることはゴルダは把握していた。

「どれくらい前からこっちを監視していた?」

そっちが仕掛けてくるならば、こちらも自衛目的で仕掛けるぞと言わんばかりに剣に手をかけ、ゴルダは目の前の竜に問う。

「あの子が居候し出した時からずっとよ」

竜は冷静だが、氷柱のように冷たく鋭い口調でそう返す。
どうやら口調が鋭いだけで、こちらに今のところ明確な敵対心と殺意は持ってないようである。
だがしかし、それもこちらの行動次第では豹変するといった意も取れた。

「なるほど、ところでお嬢さんの名は?できればそっちから名乗ってもらいたかったが」

剣かけていた手を離し、ゴルダは竜に名を問う。
竜はそれに不満げに牙を一瞬見せてから

「名はシアリス、これでいいかしら?」

名をシアリスと名乗った。
そしてゴルダの方も

「ゴルダだ」

名乗り返してシアリスを上から下までまじまじと眺める。
シアリスはそのゴルダの行為に何をしていると睨みつけたが大した効果はなかった。

「美しき冷酷という二つ名が似合いそうだな。その眼力に畏怖する者は多いだろうが、俺はそういう眼力のある目が好きだ」

そんなことを言ったゴルダに、シアリスはまたもやお前は何を言っているんだと言わんばかりに、冷たく鋭い目線を投げるもこれまた大した効果は得られずじまいに終わる。

「…そろそろ去ってはくれないかしら?私は1人がいいの」

シアリスが去れと本音を漏らしたことで、ゴルダは

「お前がサジの姉であることは目が合った瞬間に気づいた。なぜ弟に顔を見せない?理由を問うつもりはないが、あいつのことは任せておけ」

サジのことは任せておけと言ってシアリスに背を向けた。
そして、去ろうとしたゴルダにシアリスはこう釘を刺す。

「あの子に何かあったら、お前を生かしてはおかないからな」

ゴルダはそれに百も承知というように後ろ手でシアリスに手をフその場を去った。

なお、ゴルダはシアリスと会ったことをサジには伏せたままにしたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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