氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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働き詰めた後の休息

寒い冬の夜に日の光が差し込み、今日も朝がやってきた。
だが、朝が訪れてもゴルダか起きる気配はない。
それもそのはず、ゴルダが帰ってきたのは年が明けて三日も経ってからだ。
年末から正月にかけて、ゴルダは地球に依頼に行っており。日付の変わった今日の夜中に帰ってきた。
帰ってきたゴルダは、真っ先にハーキュリーの寝ているベッドに入った。

「ん〜」

ハーキュリーが起きると、隣でゴルダが寝ていた。
ゴルダは半覚醒睡眠で寝るのが当たり前なので、起こそうと思えば起こせるがハーキリーは思い留まる。

「絶対に夜中に帰ってきたから、起こすのは気がひけるな」

そう心の中で呟き、ハーキリーは同じく寝ているミリシェンスを起こし、一緒に朝食を作ることにした。

「ゴルダは起こさないの?」

後から遅れて起きたマティルーネに聞かれ、ハーキリーは

「働き詰めだったし、少し休ませよう思って起こしてないぞ。ダメか?」

と理由を述べる。
マティルーネはそれを聞いて

「確かにそうね。あのままだといつ過労でぶっ倒れてもおかしくないもの。でもゴルダが過労で倒れるなんてありえない話だけど」

確かにそうだと言っておいて、ゴルダが過労で倒れるなんてありえないと心配してるのかしてないのか分からないことを言う、
するとそれにミリシェンスが、ハーキリーにはコーヒー、マティルーネには人参ジュースを出してから

「自分の体の限界以上のことをしたら、誰でも壊れるわ。ゴルダはその限界ギリギリのラインでやっているだけ。でもそれにも限度はあるわ」

ゴルダは自分の限界ギリギリでやっているので、あんな芸当ができると話した上でそれにも限界はあると話す。

「それもそうなんだよな、どうにか一日休ませてやりたいけど。無理だよな」

実際問題、ゴルダをフルで一日休ませようとすると無理があるのは三人とも知っていた。
それは、ゴルダが竜医である以上はいつ何時往診依頼が来るか分からないからだ。
さらに、ゴルダに一日何もしないでぐうたら過ごせと言ったところで何かしら作業をしたらすることも、火を見るよりも明らかだ。

「もう縛っておくしかないんじゃないかしら」

と、冗談でもなさそうなミリシェンスの提案にハーキリーは

「いや、ゴルダを縛ったところで、オークに魔法書な気がするぞ?」

ゴルダを縛っても糠に釘や、暖簾に腕押しと似た意の言い回しを言う。
そして、マティルーネもそれに同意するかのように頷いた。

「本当に何かいい方法はないのかしらね」

他にいい方法がないかと、冷めたコーヒーを飲みながらミリシェンスはため息混じりに言う。
だが、三人ともそれ以上の案を持ち合わせてはおらず。時間だけが過ぎていく。

「おはよう」

それから少しの間を置いて、ゴルダが起きてきた。
いつもと変わらないその無表情な顔には、取りきれていない疲れを垣間見ることができた。

「おはよう、あまり寝れてないようだけど?」

ミリシェンスに寝不足を指摘され、ゴルダは

「体内時計がそうなっているせいでぐっすりとはいかんよ。それに睡眠薬の類いは俺には効かない」

体内時計がどうなどと言い訳をして食卓テーブルに座る。

「仮にも医者なんだし、健康にはもっと気を使えよなー」

と、言い訳をしたゴルダの頬をつまみながらハーキリーはそう言う。
なお、頬をつままれたゴルダは相変わらずの無反応を決め込んでいる。

「いい加減今日だけでもいいから休んで。限界ギリギリを維持して働くのもそろそろリミットが来てるはずよ」

やや怒り気味の口調でミリシェンスに言われ、ゴルダはただ単に頷いただけで何も返さなかった。
なお、ミリシェンスが働き詰めのゴルダに怒ったのは今日が初めてではない。

「んー…と、とりあえず今日は温泉でも行かないか?」

ミリシェンスがこれ以上怒ると、ゴルダに対して罵詈雑言が飛び出しそうなので、ハーキリーは温泉に行こうと提案。
するとミリシェンスは一旦怒りを抑えてから

「行って来なさい。休みを取って」

強い口調で温泉に行くように命ずる。
もはや、どっちが従者でどっちが主人か分からない。

「ああ、そうしよう」

ゴルダもここで断ったらどうなるかの予測はついているので、素直にハーキリーの提案を受け入れた。

すると、先ほどまで怒りの表情を浮かべていたミリシェンスの表情がにこやかになって

「気をつけて行ってらっしゃい。でもその前に朝食ね」

行ってらっしゃいとは言ったものの、朝食がまだなことを思い出し。急いでハーキリーと準備した。

なお、今朝のちはとにかく腹に詰め込むだけのレベルだったという。

「じゃ、行ってらっしゃい」

「ああ」

しっかり休んでこないと承知しないという目線を投げられながら、ゴルダはハーキリーとマティルーネを連れて出かけた。

「やはり女は怒らすとおっかない存在だ」

温泉に行けと言われても、特にあてがないのでムサヅキへと移動した直後、ゴルダがそんなことを言う。

するとマティルーネが

「何よそれ」

と不機嫌そうに尻尾でゴルダの後頭部を叩く。
そしてハーキリーも

「女の子の前でそんなこと言うなよなー」

と言いながら頬をつねってきた。

今ゴルダたちのいるムサヅキの中心地のヨギリは、ほんの百年ほど前に温泉が掘り当てられて以来、この世界の温泉のメッカとなった。
だがそれは、かつて有数の温泉があったフレイルティアという火竜の国が消えてたからでもあるのだが。

「硫黄くさい」

ヨギリの町の中を歩いていると、必ずと言っていいほどに臭う温泉の町特有の硫黄臭にマティルーネは嫌な顔をする。

「私はなんともないけど、マティルーネは鼻がいいんだな」

「いい人参を嗅ぎ分けられるようによ」

鼻がいいんだなとハーキリーに言われ、マティルーネはいい人参を嗅ぎ分けられるように進化したと相変わらず硫黄の臭いに不機嫌そうな嗅ぎ分けをして言う。

それからまたしばらく歩いていると、ゴルダたちは今度は紫月神社の前へとやって来ていた。
神社の入り口には

「迎春」

と書道で書かれた紙が張られており、初詣の時期は終わってないらしい。

「ん?どうしたゴルダ。何か見えるはずのないものが見えるとか、そういう怖いことは言うなよ?」

その書道を眺めながら、三姉妹の誰が書いたのかと考えていると、ハーキリーに突然話しかけられてゴルダは我に返ってから

「そんなものは見えんさ。ただ、三姉妹の誰が書いたのかが気になってな」

三姉妹の誰がこの書道を書いたのかを考えていたと返す。
なお、マティルーネは書道を見て

「この書道の腕で、水墨画で人参でも描いてくれないかな」

また人参の話をするのであった。
なお、ハーキリーは神社境内で掃き掃除をしている灰色の毛の妖狐をじっと見つめなが


「あの尻尾、もふもふしたいな」

箒で地面を掃きなか横へ横へと移動するその妖狐の四尾を見て、ハーキリーは思わず本音が出る。

「紫月神社のに居る妖狐たちは、三姉妹を除いて一尾から八尾まで様々だ。三姉妹は下級の妖狐たちの修行も見てるからな」

そう言いながら、ゴルダはハーキリーとマティルーネを連れて神社の境内に入る。
ムサヅキの正月は三の日で明けるのだが、その後も初詣をする参拝客を受け入れているため、所々人でごった返していた。

「どこもかしこももふもふ」

あっちもこっちも妖狐、魔狐、そしてたまに野生の狐や犬とたまに人間や亜人などでいっぱいの境内を見回しながらマティルーネは言う。

「触りたくなるよなこれは」

自分以外のもふもふに見とれる二人をよそに、ゴルダは黙々と歩く。

「あけましておめでとう」

それからどれくらい境内の中を歩いていたのかは分からないが、急に後ろから声をかけられてゴルダが振り返ると、そこには紫月三姉妹の長女の藍が立っていた。
前に会ったときに比べて、また大人びた感じがしたがゴルダはそれには触れず

「こちらこそあけましておめでとう」

同じく挨拶する。

「もつふー!」

なお、ハーキリーは久々に会った藍を見ていきなり抱きつきに行った。

「あらあら」

そして藍はそれを易々と受け止め、ハーキリーの頭を撫でる。
最後はゴルダが抱きつかせてくれなかったため、抱きつき欲ことハグ欲が溜まりに溜まっていたようだ。

「ところでゴルダ、その頭に乗っている子。また増えたの?」

もふもふしているハーキリーを引き続き撫でながら、藍はゴルダの頭に乗っているマティルーネのことを聞く、
ゴルダは藍の問いに一応はなと返し

「マティルーネという名で、人参以外は好んで食べない竜族だ」

マティルーネを紹介した。
藍はマティルーネが何を言っているかは分からないようだが、それでもにっこり笑いかけて

「よろしくね」

と言ってハーキリーを撫でてない方の手でマティルーネを撫でた。
藍に撫でられたマティルーネは、あまり悪い気がしてない様子でゴルダに

「あっちの方がずっともふもふだわ」

と言うのだった。

その後、ハーキリーが藍からなかなか離れないためゴルダはどうしたものかとマティルーネに聞く。
だがマティルーネは

「ゴルダがハーキリーにハグさせてあげないからよ」

などとなかなか厳しい一言を返す。
その一言にゴルダはぐうの音も出ず、とりあえずは

「まあ、確かにそうだな」

そうだなと一応認めておくことにした。
やがて満足したのか、藍から離れたハーキリーは

「なあ、もっと境内散策しようぜ」

もっと神社の中を散策しようとゴルダの手を握って歩き出す。
その際に急に引っ張られたため、マティルーネが頭から落ちかけたもののどうにかなった。

「何で神社の境内に温泉があるんだ?」

藍と共に境内を歩いていると、前にゴルダが来たときにはなかった温泉かぽつんと佇んでいた。

「これね…ムサヅキが掘った穴から偶然湧いてきたのよ」

ハーキリーが何で温泉が?と言ったのに対し、藍はムサヅキが掘った穴から湧いてきたと話す。

「ああ、あのでっかい狼か。あいつももふもふしたいけど近寄りがたいんだよな」

もうもうと湯気が上がっている温泉を眺めつつ、ハーキリーは冗談半分てゴルダとその温泉に飛び込もうとしたが

「ここに入るのはやめた方がいいわ、この温泉は入れるような温度ではないから」

藍に諭されて入るのをやめた。

「えー、そんなに熱いのか。ならどこかいい温泉知らないか?ゴルダと入りたいんだ」

それを聞いたハーキリーはどこかがっかりしながらも、ならばいい温泉を知らないかと聞く。
藍はそれにしばらく考え込んだ後で

「なら、この神社から十分くらいのところにある銀尾泉館に行ってみるといいわ。あそこなら日帰りでも大丈夫だから」

銀尾泉館という旅館を紹介された。
藍の話し振りから、どうやら知り合いがやっている旅館らしい。

「ありがとよ、行ってみるとしよう」

ゴルダは藍に礼を言い、その銀尾泉館へと向かった。

「これはまたこじんまりとした旅館だ」

紫月神社を後にして十数分。
ゴルダたちは目的の銀尾泉のへたどり着く。
温泉町の外れにあるその旅館は、規模にしては小さめでそんなに多くの者が泊まれる余裕はなかった。

「そんなことより入ろうぜ」

ハーキリーにせかされ、ゴルダは銀尾泉館の中へ入る。
旅館の中に入ると、玄関で番をしていたと思わしき管狐かサッと奥へ引っ込んだかと思えば、ゴルダよりも数十センチも小さいだいたい140センチ弱の妖狐が出てきた。

「これまた客とは珍しい。どうせ藍の奴のおせっかいだろうがな。銀尾泉館へようこそ、私はここの主人の銀乃月と申す。泊まりか?それとも日帰りで?」

銀乃月の銀毛の二尾に、どこか物悲しそうな薄桜色の目を見た途端。ゴルダは

「一人で切り盛りとはまた大変だな」

と何かを察したかのような一言を言う。
その一言を横で聞いていたハーキリーは、突然何を言い出すんだという顔をしている。

「ふふっ、お世辞が上手いな。日帰りなら好きに部屋を使ってくれても構わんよ。どのみち客なんぞめったには来ない。ゆっくり休んで行くといい」

そう言うや、銀乃月はふわりと浮いたかと思えば、ポンと煙のように消えてしまう。
どうやら姿くらましの類いの術を使ったようだ。

「上がろう」

「お、おう」

ハーキリーの手を引き、旅館に上がったゴルダはそのまま近くの部屋の中へ

「広いな」

「あまり泊まれない分、部屋を広く取ったんだろう」

部屋は思った以上に広く、そこまで宿泊客を収容できない分を部屋の広さでカバーしているようだ。

ゴルダはそのまま畳の上に座り、マティルーネを下ろしてからそのまま横になる。

「少し寝る」

「ん、そか」

そしてそのまま少し寝ると言い、ゴルダは十数秒で寝てしまった。

「やっぱり寝たりなかったようね」

あっという間に寝てしまったゴルダを見てそう呟いたマティルーネに、ハーキリーは

「寝かせてやろうぜ」

と言って、ゴルダを起こさないようにそっと部屋を出た。

それからどれくらい寝ていたのかは分からないが、ゴルダが次に起きた時にはすでに日が傾き始めていた。

「あっ、起きたか?温泉行こうぜ?」

起きるや否や、ハーキリーな温泉に行こうと言われ、ゴルダはどうにも納得がいかない様子で

「ああ」

と返し、温泉へ。
銀尾泉の温泉も、そこまで大きなものではないがハーキリーとゴルダとマティルーネが入るには充分な広さはあった。

「混浴ときたか」

「そうみたいだなー、逃げ場はないぞゴルダ」

建物の都合上、温泉を二つも置くことができないらしく。強制的に混浴にならざるを得ない現実に、ゴルダは困ったと言いたげに首をかしげる。

「性に関して医学的興味しかないんだから、混浴くらいどうということないでしょ」

マティルーネにそう言われ、ゴルダは二人に

「先入ってろ」

脱ぐものは脱がないといけないので、先に入っている様子に言う。

「ちゃんと入ってこいよゴルダ」

ハーキリーに釘を刺され、ゴルダはバツが悪そうに

「ああ、俺は嘘はつかんし逃げん」

などと言いながら二人を先に入らせ、自分も数分遅れて入った。

なお、温泉では特にこれと言ったことは起きなかったという。

こうして、なんだかんだでミリシェンスに取れと命じられた休息は終わりを告げるのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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