氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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冬の漁港で

比較的温かい気候の部類に入るスリュムヴォルドにも、冬が訪れた。
海沿いは北寄りの風が連日吹き、上に何か羽織ってないと寒く感じるほど。

だが、そんな海沿いで寒さなど全く関係ないと言わんばかりの二人が居た。

「あんた寒くないの?」

そう言ったのは、普段着でもある薄着に裸足という姿のシスイ。
その視線の先には、マティルーネを頭に乗せたゴルダが居る。
なお、今日は特に用があって来たわけではなく気まぐれにスリュムヴォルドへやって来て漁港周辺を歩いていた際にシスイと出くわしただけだ。

「リヴァルスよりは寒くないな」

市場に並ぶ魚に釘付けになっているレルヴィンに一瞬目をやってから、ゴルダはぶっきらぼうな返事を返す。
市場には冬の魚が並んでいて、寒ブリや秋刀魚などを見たゴルダは、今夜は魚にするかと考えながら歩き続ける。

「でしょうね」

ゴルダの返事に、シスイは右手の上に水の魔力を具現化させながら言う。
かれこれ、ゴルダとシスイの関係は二年近く続いているが未だにシスイはゴルダに気を許したわけではない。
シスイが手の上で魔力を具現化させた行為から分かるように、相手に対して変なことをすればそれなりの対応をするという意がある。
つまり、ゴルダが少しでも自分に敵意などを見せれば相手にするということなのだ。

「相変わらず疑心暗鬼は取れずじまいか、そこはお前は昔から変わらんな」

表情こそは見えないが、直感でマティルーネが何よこいつと言いたげな顔をしていると察しながら、ゴルダはシスイの先ほどの行為に昔から変わらんと指摘するように言う。

「誰もが持つ不変の面って奴よあんたにもあるでしょ」

シスイはそれに不変の面だと返しながら大きく伸びをする。

それを聞いたマティルーネはゴルダに

「不変の面って、必ずしもいい意味とは限らないんだけどね」

とささやく。
なお、シスイはマティルーネの話す幻獣語に近い言語関しての知識を持っておらず。何を言っているかは理解できないので、ただ首をかしげるだけだった。
「ねえ、何て言ってるのその頭の上に乗ってるのは?」

試しにシスイはゴルダに聞いてみるも、ゴルダは煙草のようなものを取り出すような素振りをして教える気がないことを示す。

「何よもう」

何も答えないゴルダに、シスイは呆れたような顔をしてどこかへ行ってしまう。

「ふうむ」

気がつくと居なくなっていたシスイに気づいたゴルダは、どこかバツが悪そうにして呟く。

「変なところで異性への接し方が下手なのね」

マティルーネの一言に、ゴルダはそれを言うなと言って近くの建物の壁に寄りかかる。
レルヴィンは相変わらす魚に釘付けになっていて、言っても聞く様子がない。

「さて、今日は秋刀魚でも煮付けるか」

そう言うや、ゴルダはレルゥィンが釘付けになっていた秋刀魚を買って帰るのだった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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