氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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空駆ける双翼は、どこへ向かう

寒さが和らいだり厳しくなったりと安定しない今年の大陸の冬。
そんな冬の中でも、お構いなしに散歩と称して飛び回る双翼が居た。
一方は紫毛の人間の肩、あるいは頭に乗るようなサイズの竜、もう一方は青毛のカーバンクルだ。
それぞれ名を、紫毛の竜のほうはマティルーネ。青毛のカーバンクルの方はフィルスという。

「よくそんな速く飛べるのね、軽いんだから強風に流されても知らないわよ?」

「強風を感じたら速度を落とすだけだよ」

マティルーネとフィルスには、それぞれゴルダとアルガティアという主ともいえる存在が居るのだが、今日はそんなことは忘れて自由気ままに冷たい北風の吹く空を飛んでいた。
双翼はどこへ向かうかも、どこへ降り立つかの検討もつけずにただただ飛び続ける。
そして、飛んでいる双翼の眼下に見えるのは、リフィルという島国の緑と、時折見える家などの建築物。
たまに鳥や、荷物を運ぶ竜とも出くわしたが基本的に空の上ではそういう者たちとは挨拶を交わすだけにとどめてそれ以上は無関心なのが普通だ。

「鳥ならまだしも、竜なら普通は襲ってきそうなものなのだけど」

マティルーネの一言に、フィルスは

「このリフィルに住んでいる竜は、雑食は居てもやれそれ襲ってくるようなのは居ないよ」

やれそれ襲ってくるような竜はこの国にはいないよと言う。
基本的にゴルダと行動し、ゴルダと居ることでしかこの世界の知識を得てこなかったマティルーネは己の無知っぷりを恥じて黙ってしまった。
だが、フィルスはマティルーネの無知を貶したりすることは一切せずにこう言う。

「わからないなら、その知識をつければいいだけの話だよ。最近ゴルダも君の言っていることが分かるようになってきたんでしょ?だったら頼んでみるといいよ」

「それもそうね、ぶつ切りだけど理解できるようにはなってきてるようだし。今度頼んでみようかな」

そこで一旦会話を切り、双翼はまた行く先の定まらない空の散歩を続ける。

それからどれくらい飛んだのだろうか?
やがて双翼は幻獣の里の一角にある森へと降り立つ。
なお、幻獣の里はエーテルで満ち溢れており、耐性がない場合は対策なしで行くには危険な場所だ。
フィルスはエーテルに対しての耐性を持っているので問題はないのだが、マティルーネはそもそも耐性があるのかどうかが不明。
だがしかし、フィルスが連れてきているということはマティルーネにもエーテルへの耐性があるということなのだろう。

「食べる?」

森へと降り立ち、手ごろな木の上へと腰かけた双翼はフィルスはその気に実っていた木の実を背伸びして取り1。つを、マティルーネに渡す。
その木の実は、色的にはブルーベリーに近いのだが大きさがリンゴほどもある。
フィルスはそれを何とも思わずに両手で持って食べ始めたが、マティルーネは爪でその木の実をつつくだけで食べようとはしない。
どうやら、いつものニンジンのほうがいいというわがままを発揮しているようだ。

「やっぱり君はニンジンのほうが好きだったかな?何にも言わないから取ったんだけど」

「ううん、ニンジンがいいってわけじゃないの。ただ持って帰りたいかなって」

ニンジンのほうがよかったかと聞くフィルスに、マティルーネはそうではなく、ただ持って帰りたいからと理由を告げる。
だがフィルスは知っていた。この木の実はエーテル濃度が高い場所にしか実らず、エーテル濃度が低い場所へ持ち出すと破裂して食べられなくなってしまうことを。
だが、フィルスはそれをマティルーネに伝えずに

「うん、持ち帰りたいならそれもいいと思うよ」

マティルーネの木の実を持って帰りたいという気持ちを尊重してそれもいいと思うと言い切って、それ以上余計なことは言わないようにした。
やがて、フィルスが木の実を食べ終わったところで双翼はアルガティアとゴルダのところへ戻るためにまた空へと舞い戻る。
なお、マティルーネが持って帰った木の実は途中で破裂してマティルーネの体を汚したという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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