氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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落ち着かない食事

今日のゴルダの家は、いつにも増して騒がしい。
それもそのはず、今日はあの目を離すと何をしでかすか分からないココとチーノに、そのストッパーのコロン。そしてフウの姉と名乗ってコロン達についてきた、フウを白髪にしたような容姿の、部屋着が薄手のシャツ一枚のユウにモカが居るからだ。
さらにそれに加え、レルヴィンにマティルーネとフウ。ミリシェンスにアルガントとゴルダに、なぜ来たのかが不明なフィルスと、偶然にも休みを貰って帰って来ているセレノアと、かなりの人数が居間に集まっている。
なお、ウラヘムトはとあるネトゲの大会で地球に行っていて留守にしており。氷燐は冬の間はリヴァルスを放浪しているので春まで帰ってこない。

「ここまで集まるとは想定外だ」

「ほら、手動かす」

ミリシェンス、モカ、セレノア、コロンと台所に立ち、忙しく食事の支度をしながらゴルダは呟く。
そしてそれにセレノアが手を動かせと返す。
今日は全員で鍋をするのだが、この人数では大きな土鍋を用意しても足りなかったので、急遽二つ出すことに。
そのため、物置に分解して置いてあった食卓テーブルをもう一つ出す羽目になり、ソファをどかしてまでスペースを確保している。

「フウには負けませんからね」

「ユウのサムス強すぎ、やー」

「ここはネスのバットで…」

なお、テレビはココ、チーノ、フウ、ユウ、アルガントが陣取り。全員でマリオパーティやスマブラで遊んでいる。
なお、マティルーネにフィルスは隅にどかされたソファでうつらうつらとしていて、レルヴィンはフウの近くに座っていた。

「それは切り終わった?ならこっちへ渡して」

ゴルダ、コロン、ミリシェンスが鍋の具材を切り。セレノアとモカがそれを取り分ける。
当然ながら、台所に立てるのは二人が限界なのでゴルダはテーブルの上で野菜を切っている。
切っている野菜は白菜を始めとし、人参やシイタケなどのキノコ類。一般的な鍋に入れられる野菜ばかりだ。
ただ、その中に秋収穫のチャチャルチというカブの一種が入ってるのは内緒である。

「さすがに少し手が痛くなるわ」

「無理はしないことよ」

一方、ミリシェンスとコロンは草食竜のバラ肉などの肉類や魚介類。そしてムサヅキ産の高級大豆を使った豆腐を切っていた。
なお、魚介類は全てスリュムヴォルドでゴルダが買ってきたものだけを使っている。

「もう火つけていいかしら?」

「まだダメよ」

ある程度土鍋に具材を入れ終わったところで、モカが火を付けようとしたがセレノアがまだよと制す。
既に土鍋には具材がバランス良く入れられ、いつでも始められる状態。
なお、今日の鍋は寄せ鍋のようだ。
鍋の汁は、竜骨ダシにムサヅキの醤油の合わせものとなっている。

「野菜はこれで終わりだ、後は肉とかだな」

「全部用意が終わってから火は入れるようにするわ」

最後の野菜を切り終え、それをモカに渡し終えた後でゴルダはそう言う。
なお、先ほどセレノアがモカにまだ火を付けてはいけないと言ったのは、具材の用意が全て終わってなかったからのようだ。
やがて全ての具材が切り終わり、モカは鍋に火を付ける。

「まともに点火して良かった」

火の魔力を使う鍋用コンロの様子を見ながらそんなことを言ったゴルダに、コロンは

「あらあら、まともでないのもあるんですか?」

と少し意地悪そうに聞く。
それにゴルダは

「たまに火力の制御が利かずに、鍋を消し炭にしてしまう魔法のコンロもある」

たまに制御の利かないものもあると淡々と返す。
それを横で聞いていたモカは

「魔道具は危なっかしいのが多いのよね」

とぼそりと呟いた。

一方、居間でゲームをしているユウ達はというと、あの四人で遊べるマリオをやっていたのだが

「ちょっとココ、足を引っ張らないでくれます?」

「道連れよー」

「お先にー」

「はわわ、まともに進めないよ」

ココがユウとフウにちょっかいを出して妨害を始め、それをアルガントはチーノとどこ吹く風で一緒のコントローラーを持ってプレイしつつ先へ進んでいる。
これでは協力してステージをクリアするどころか、妨害からの友情破壊もいいところである。

そしてそんなわちゃわちゃしている様子をソファから眺めていたフィルスは

「ココは一体何がしたいんだろう?」

とただただ疑問を浮かべていた。

「炊けるのに時間がかかるね」

「竜肉は草食竜のでも固いからな。叩き処理も一苦労だ。それに魚介類も入ってるから火は念入りに通さないといけない」

炊けた後で入れる豆腐を眺めつつ、土鍋から出てくる湯気とグツグツという音を聞きながらそう言ったモカに、ゴルダは具材が具材だから仕方ないという風なことを返す。
向かい側の席ではセレノアがコロンに多少覆い被さるようにもたれ掛かって座り、ミリシェンスがセレノアの羽毛を何かしらいじっている。

「甘ったるくない程度の甘い匂いが落ち着くわ」

「風癒竜は自身の匂いでも相手を癒したりできるのよ、ほら。具材の準備した時の疲れが消えてきたでしょ?」

「ええ、そうね」

端から見れば何をしてるんだと思われがちだが、これでもセレノアはコロンを癒しているのである。

それから十分ほど経っただろうか。
ゴルダは一旦土鍋の蓋を開け、炊けたかどうかを確認。
蓋を開けた瞬間に籠っていた湯気が一気に解放されたと同時に、程よく食欲をそそる匂いが漂ってきた。
この匂いでゴルダは炊けたことを確信して

「おい、飯だぞ。鍋ができた」

と言ってココ達を呼ぶ。
するとココ達はすぐにゲームをやめ、各自テーブルの席につく。

「正直、家でこんな大人数で飯食うのは初めてだが。そんなことはもはやどうでもいい。さあ食おう、いただきます」

「いただきます」

こうして、落ち着かない食事会が始まったのであった。

「うむ、いい味だ」

清酒片手に白菜をつまみながらゴルダはそう言う。
しっかりと味が染みており、白菜本来の無味のようでそうでない味はあまりしない。
ミリシェンスやコロン、モカがあれこれ具を取って食べているのに対し、マティルーネは人参以外を入れると食べず、フィルスに至っては野菜以外を頑として食べようとしていない。
なおレルヴィンは何でもいいから早く食わせろと、ゴルダの足元で待っている。

「フウは何食べます?」

「うーん、自分で取るからいいよ」

一方こちらはユウとフウ。
久々に弟に会ったためか、ユウのフウへの溺愛っぷりが端からでも見て取れる。
何を食べるかと聴いてくるユウに、フウは自分で取ると返すが

「やけどしたら危ないですからね、私が入れますよ」

ユウは何だかんだで理屈をこねて何が何でも自分がフウに鍋の具を入れてやりたいらしい。
それを見ていたココはチーノに

「あれがブラコンって奴よ」

「だね」

あれがブラコンだなどとひそひそと話をしていた。

「これは何でしょうか、ホタテのようにも見えますが…食べます?」

具を取り分けている最中、ホタテのようでそうでない貝が鍋の中から出てきたので、コロンはそれをゴルダに食べるかどうか聞く。

「もらおうかな」

ゴルダは清酒を瓶から注ぎながらコロンにもらうと返事を返す。
コロンはそれに頷き、その貝をゴルダの皿へ。
ゴルダはすぐにそれを口へ運び、清酒を飲んだ。

「フウ、しいたけですよ」

「まだ食べてるんだから側から入れないでよ」

わんこそばめいて次々と鍋から具を取って入れるユウに、フウは若干困った素振りを見せる。
なお、こうしろと言ったのは他でもないココだ。
そして言った当の本人は、その様子をニヤニヤと眺めている。
だが、さすがに度が過ぎたのか。白菜をお玉一杯にフウの皿に入れようとしたところでセレノアが

「入れてあげるなら食べれる分だけ、いいわね?」

食べれる分だけ入れてあげなさいと止め、その分をフィルスの皿へ。
フィルスはもう満足したんだけどと言いたげな顔をしながらも入れられた白菜を食べるのであった。
そしてこの日は、大分遅くまでゴルダの家の中に話し声が響いたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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