氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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緑々とした冬

リフィルでは強い北風が時折吹き荒れるようにはなったものの、雪が降る様子がまだない。
葉は落ち、蕾となって次なる春を待つ木々がある一方で、未だに葉をつけている木もある。

「地中の温度が年中一定だとやりやすいわ」

秋の分までの収穫が終わり、殺風景になったと思われていた畑にまた苗などが植え付けられた状態になっているのを見てイファルシアがそう呟く。
今植えてあるのはジャガイモ、サツマイモ、ニンジン、タマネギ、チャチャルチというカブの一種という根菜類がメインだ。
「これでまだ半分なのよね」

そう言ったのは、寒いので上着を羽織って作業をしているイレーヌ。今はカボチャの苗を植えているところだ。
こんな時期から植えるものではないのだが、この畑の土は1年を通して変わらない温度なので、春から夏に植える野菜も冬に植えるような芸当ができる。
だが本当の理由はそれだけではないのだが、おそらくイファルシアとエゼラルドが居ることが関わっているのだろう。

「次は冬瓜だよ、早くやっちゃおうよ」

冬瓜の苗が植えられたポットが乗ったカゴを持ってやって来たエゼラルドに言われ、イレーヌは、今カボチャを植え終わったばかりなのにという顔をしながらも、エゼラルドからそのカゴを受けとる。
なお、冬瓜の苗は10ほどでそこまで多いわけではない。
ちなみに、いましがたイレーヌが植えていたカボチャの苗の数は20ほどだ。

「ちょっとチャチャルチの種を蒔いたところを見てくるよ」

「あらそう、お願いね」

チャチャルチの種を蒔いた場所を見てくると言って、その場を離れるエゼラルドをイレーヌは見送る。
そして、通路側の土を掘り返して何かをしているイファルシアに

「藁を取って来て」

と頼む。
何に使うのかというと、植えたカボチャと冬瓜の苗の周りに敷くためだ。
イファルシアはめんどくさそうな顔をしながらも、畑から少し離れた場所に置いてあった藁が載せられた荷車を蔦で畑の通路の方まで引っ張ってきた。

「ありがとう。じゃあ私が藁敷いてくから、残りの苗植えてもらえる?」

藁を持ってくると、イレーヌから作業を交代するように言われてイファルシアはすんなり苗を植える作業へバトンタッチ。
正確にではないにしても、ほぼ等間隔でイレーヌが植えてあるので、どうやって植えればいいかは一目瞭然。

「この辺ね」

イファルシアはそう言って、目分量の間隔のところにどこからか出したスコップで穴を掘る。
「ほら、出てきなさい」

穴を掘ってから苗の植えてあるポットを取り、根本の部分を持って逆さにし、軽く底を叩いて苗を出す。
あとはポットに入っていた土を崩さないよう注意しながら、掘った場所に苗を置く。

「後は掘った土を戻すだけ」

苗を置いたあとは、掘った土を戻して苗の植え付けは完了だが、この時苗の葉に土がかからないよう注意もしなければならない。
だが、イファルシアはそんなヘマはやらかさずに土を戻し終え、苗の周りの土を軽く叩いて植え終えた。
後はこれの繰り返しとなる。

一方その隣では、イレーヌが植えた苗の根本に藁を敷いている。
敷くとはいえ、土が見えなくなる程度にしか敷かないのでそこまで藁を消費するわけではない。

「んしょっと」

だがしかし、これが思いの注意を張り巡らせる必要がある。
なぜかというと、藁を敷いている時にせっかく植えた苗を折ったりして台無しにすることがないわけではないからだ。
なので、藁を敷く際は苗を折らないように注意する必要がある。

「さあさあ、ちゃんと冬を乗り切ってね」

鼻歌混じりに藁を敷いていくイレーヌと、冬瓜の苗を植えているイファルシアの様子を、少し離れた場所からフィルスとアルガティアが見ていた。
アルガティア達の方から畑を見ると、苗として植えられた作物は北風に吹かれて緑がゆさゆさと揺れ、種として植えられたチャチャルチなどは土がただ北風に吹かれているだけ。
普通の農地ならば、冬にこんな光景はまず見られないと思うが、リフィルならばそれが見れるのだ。

「こんなものかしら」

ようやく冬瓜の苗を植え終え、元々苗の入っていたポットを片付けるイファルシア。
同じタイミングでイレーヌも藁を敷き終え、エゼラルドもチャチャルチの種が植えてある場所のチェックを終えて戻ってきた。

「お疲れ様、片付けしてお茶にしましょ」

やっと終わったと、畑から離れて片づけを始めたイレーヌにアルガティアがお茶にしようと言う。
それにイレーヌは何も言わずに頷き、イファルシアとエゼラルドに片付けるわよと手で合図を出す。
2人はそれに応じるように道具や荷車、苗の入っていたポットを納屋のほうへと片付ける。
一方のイレーヌは、改めて畑を見回って問題がないかどうかを見回った。

「お茶用意して待ってるわね」

そんな3人に、アルガティアはそう言ってフィルスと城の中へと戻ってしまう。
今年も、リフィルの畑は緑々として年を越しそうだ。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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