氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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仮装でゴー

もはやハロウィンなど、とうの昔に終わったぞと言われてもおかしくないセイグリッド城の中を、ダークスーツに革靴とサングラス姿の昏黒と、狐面を被った輝星が歩いていた。
一体何をしに来たのだろうか?
答えは言うまでもなく、ハロウィンなのだが世界間の時差などを考慮せずに来たため、おもいっきりこちらの世界でハロウィンが終わった後に来てしまっていた。

「昏黒、こっちこっち」

輝星にこれ着てよと半ば無理矢理着せられたダークスーツに革靴が思ったより歩きにくいらしく、昏黒は時折ちょっとした段差でつまずきそうなりつつも輝星について行く。

そのころ、シアは何をしていたのかというと

「ハロウィンの時のは準備の時に終わらすべきでしょもう」

「結構料理に使ってるな、はたして年末年始は大丈夫なのか?」

アルカトラスが逃げるように異界へ会談に行ったため、ハロウィンの時に使った経費の書類上の清算を、ゴルダを呼んで書斎で行っているところ。
そこまで量があるわけではないので、今は数字が当たっているかどうかを調べている最中だ。

「こっちは数字に間違いはない」

とゴルダがシアに言ったところで、サフィが部屋に入ってきて

「昏黒と輝星、来てるわ。ダークスーツに革靴とサングラスに狐面を被ってね」

昏黒と輝星が来ていることを2人に伝える。

「あらあら、もうハロウィンは終わったのにね。通しなさい」

シアはそれを聞いてあらあらとは言いつつも、サフィに通すように言う。
一方ゴルダは、いつもの無表情から、少し渋い顔になりながら

「昏黒、聞いたことがない奴だ。おそらく輝星と同じ王子だろうが」

近くのソファで、サフィが置いていった緑茶をぐいと飲んだ。

「trick or treat!」

一方輝星は、ハロウィンの決まり文句を言いながら書斎に突入。
その後ろでは昏黒が歩きにくい革靴で足音を鳴らしながら入ってきた。
シアはそれをよく来たわねと言いたげに見つめ、ゴルダはこちらを注視したまま湯呑みに緑茶を注いでいる。

「えーと、シア様と…誰だっけ?」

「白き竜王…とは違う方に…見慣れない…顔だ」

輝星と昏黒が誰だお前はという反応をすると、ゴルダは何も言わずに湯呑みをすすり、しばしの静寂のあとにテーブルに湯呑みを置き。

「きついジョークにも程があるがこの際どうでもいい」

と言いながら立ち上がり、いつもの調子で昏黒にお辞儀して

「ゴルダ=R=アルカトラス、見知り置きを」

自分の名を名乗った。
それに昏黒はややぎこちないお辞儀を無言で返す。
やはり普段着ではないこのダークスーツは動きにくいようだ。

「改めてTrick or Treat…でいいんだったかな?」

ゴルダが昏黒に名乗ったことで調子が狂ったため、輝星は改めてシアにハロウィンの決まり文句を投げかける。
するとシアは、輝星に無差別に菓子を詰めた袋をどこからか出して渡す。

「わーい、ありがとうシア様!」

そうやって輝星がはしゃいでいる横で、昏黒とゴルダは互いに目線を合わせたまま一歩も反らしていなかった。
これは互いに目を反らすなと無言の圧力をかけているわけではない。単純にゴルダが診察眼を使用しているがために昏黒が目を反らせなくなっているだけだ。

「大体は分かった」

ゴルダの一言に、昏黒は何がだ?という顔をする。
その昏黒の顔を見て、ゴルダはこう言う。

「輝星を大事にしろ、それだけだ。輝星とお前は対の属性にしては非常に釣り合いが取れている。それゆえに、どちらが欠けても今以上の成長はできないし、竜王にもなれない」

ゴルダのこの言葉を、昏黒は半分は寝耳に水で聞いていたが、輝星が欠ければ竜王にはなれないということだけはしっかりと聞いていた。

「ねーねー昏黒、これおいしいよ」

突如として輝星からビターチョコを渡され、昏黒はゴルダに軽く頭を下げて輝星に向き直り、チョコを受け取って口に運ぶ。
ビターではあるものの、あくまでも引き立て役の苦さがすぐに口の中に広がった。

「おいしいでしょ?」

輝星の問いに昏黒は、ただ一度頷くだけであった。
輝星が欠ければ自分は竜王にはなれず、逆に自分が欠ければ輝星が竜王にはなれない。
先ほどのゴルダの一言を、昏黒は仮装した自分の中で延々と繰り返すのであった

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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