氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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天才のTrick or Treat

今日は世間一般ではハロウィンの日。
今では本来の意は薄れ、仮装して菓子をねだる日という印象が強いが、メリエルにそんなことは関係ない。
なぜならメリエルは全世界の期待の天才だからだ。

「ここもあっちこっちでやってるのね」

セイグリッドの城下町を素通りしていると、ちらほらと仮装した老若男女の姿が見受けられた。
随所に今にも動き出しそうなジャックオランタンが置かれており、中には近寄った者を追い回すなどのドッキリ目的で作られたものも。
ちなみに、メリエルもそれに追い回されて思わずチョップでそのジャックオランタンを叩き割ってしまったのであった。

「趣味悪いわね」

そのジャックオランタンを叩き割った後、どこからか出したハンカチで手を拭きながらメリエルは言う。
今日の目的は、シアに

「Trick or Treat?」

と言って菓子を取るか、はたまたこっちからもふりに行くかのどっちかを実行することだ。

「やる前から嫌な予感しかしないけど、やると決めたからにはやるのがメリエル様よ」

そう己に言い聞かせ、メリエルは塔へと向かう。

さて、そのころシアの塔では

「持って来てないんだから、こうするしかないわよね」

「ミリシェンスの奴、わざと渡し忘れたな」

ゴルダがマティルーネと共にシアにぱふぱふされていた。
本来なら、ミリシェンスと作った菓子を持ってくるはずだったのだが、どうやらミリシェンスがわざと渡し忘れたようで、持ってなかったのだ。
なので、シアに

「Trick or Treat?」

と聞かれても、そもそも菓子を持ってないので必然的にTreatになり、こうしてシアにぱふぱふされているのである。

「なんか今日は異様に登りにくいわ」

一方メリエルはというと、ようやく塔の頂上にたどり着いて一息ついているところ。
なぜか今日に限って塔の頂上までがいつもの倍近くに感じられ、登るのに時間がかかったのだ。

「ああ、居たわ」

少し休んで気力を取り戻したメリエルが遠くに目をやると、シアがこちらに背を向けて座っているのが確認できた。
メリエルは、シアに察知されまいと近寄ったのだが

「Thark yr Tlyalt?」

あっさり気付かれ、メリエルが聞いたことのない言語で何かを言う。
天才のメリエルには、これが

「Trick or Treat?」

と同じ意を持つ言葉であることを理解して

「答えは、イェスよ…ってあれ?」

城の方でくすねてきた菓子を出そうとしたが、どこにもない。
どこにあるのよと必死に流すメリエルを見て、シアはこれかしら?と手作り菓子の詰め合わせの袋を出す。
どうやらシアにいつの間にか取られてたようだ。

「うぐぐ…」

計られたわという顔をしているメリエルに、シアは

「菓子がないなら分かるでしょ?」

と落ち着いてる中に意地悪そうな雰囲気を込めて言う。
シアが定義を改変できる能力の持ち主であることを思いだし、生唾を飲み込んだメリエルだが

「シア、それ以上はいかん」

いつの間にかゴルダが隣に立っており、何かをしようとしたシアを咎める。

「あら残念、面白いことしようとしたのに」

「あんたの面白いことってろくなことじゃないでしょ!」

ゴルダに咎められ、面白いことをしようとしたのにと言うシアに、メリエルは即座に突っ込みを入れた。

「あんたも達も居たのね」

メリエルはいつもと変わらない服装のゴルダと、その頭上のマティルーネを見てそう言う。
ただ、いつも腰に差している剣が今日は見当たらない。

「それはそうと、Trick or Treat?」

ここでメリエルは、今日の目的を果たすべく3人に決まり文句を投げかけた。
それに対してシアは

「あら、これが欲しいの?」

と先ほどメリエルから取った袋を返す。

「ずいぶん都合がいいのね」

返してもらった袋をしまいながら、メリエルは言った。
そしてマティルーネは、かすかに耳を動かすと人参を差し出してきた。

「趣旨が違ってるんだけど?」

メリエルはそう言いつつも、人参を受けとる。
そして最後に、ゴルダが何と言ったかと思えば

「きついジョークだ」

という一言で一蹴したのだ。
さすがにこれにはメリエルも

「いくらなんでもそれはないでしょ!」

と盛大に突っ込みを入れるのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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