氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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依頼がない日でも休みはなし

初冬の冷え込みの厳しいある日の日も出てない早朝。
携帯のアラームで、ゴルダはベッドから音を立てずに起き上がると携帯のスケジュールアプリを開き、今日の予定を確認。
今日は一切依頼や往診が入っておらず、急な依頼などがなければ年に一度あるかどうかの完全なフリーの日だ。

「何もないか、ならばもう一眠りしても問題はあるまい」

ゴルダはそう言って、またベッドに入ろうとしたが

「おはようです」

タイミング悪くミリシェンスが起床、おはようと挨拶されたのでゴルダは

「ああ、おはよう」

とぶっきらぼうに挨拶を返して部屋を出る。
なお、マティルーネとレルヴンはまだすやすやと寝息を立てて寝ている。

「今日は予定ないのかな?」

壁に下げてあった前掛けエプロンを着けながら聞いてきたミリシェンスにゴルダは軽く頷く。
するとミリシェンスはどこからかメモを取り出して

「これ、私1人では厳しいことを書いてあるの。やってくれます?」

と言いながらゴルダに渡す。
メモを受け取ったゴルダは、そのメモに早速目を通す。
書かれているのは、主に修理関係のことで、その中には屋根のアンテナ類の調整まで入っていた。

「またずれたのか?」

アンテナ類の調整の部分を指しながら、ゴルダはミリシェンスに確認を取る。

「ええ、時折衛星放送がちらつくことがあるの」

ミリシェンスから衛星放送がちらつくと聞いたゴルダは、分かったと返して朝食の用意を始める。
なお、ゴルダが朝食を用意している間、ミリシェンスは暖炉に火をつけ、氷燐に朝食を与えるために外へ出ていた。

「おかしいな、もうこんだけしかないのか」

冷蔵庫を開け、朝食の食材を出そうとしたゴルダの目には、もう少しですっからかんになりそうな冷蔵庫の中が入っていた。
5匹に1人という世帯構成で住んでいれば、食料がすぐに無くなるのも無理はない話である。

「後で買い物も行かねば」

朝食の食材を取り、冷蔵庫の扉を閉めながらゴルダはそう呟いた。
そして、今朝ゴルダが作った献立はふわっと仕上がったスクランブルエッグ、外はカリカリで中は本当にパンかと思いたくなるほどにもっちりとした食パン。
カリッと焼けているのに、噛むと程よい柔らかさのある草食竜のベーコン。イファルシアに教えてもらったやり方で作ったピクルスと自家製野菜のサラダ。
そしてコーヒーなどの飲み物だ。

「さあさあ、起きる時間起きる時間」

ミリシェンスがアルガント達を起こしてきて、全員揃ったところで朝食。
早食いというわけではないが、30分ほどでゴルダは食べ終わり、食器を片付けて軽トラのある車庫へ向かう。
そこで脚立と工具箱を取ると、身に染みる北風の吹く外へ。
ミリシェンスに言われた、アンテナ類の調整をするためである。
屋根へと脚立を立て掛け、問題ないかどうかを指さし確認するゴルダ。
たまに建築関係の依頼も受けるので、それが染み付いているのだ。
そそくさと屋根へ上がったゴルダは安全帯の魔法などで転落防止策を講じてアンテナのところへ。
衛星放送と普通のテレビ受信用アンテナだけではなく、電波送電受電用のものや、通信用アンテナなど様々なアンテナが付いている。
電波送電は、魔法と科学の相互補完により、効率的に送電できるようになったのでこの世界ではほとんど電波送電が使われている。

「位置が少しずれただけか、他は…問題ないな」

衛星放送受信用のアンテナ以外は特に異常がなかったので、ゴルダはすぐに調整を終えて屋根から降りる。
そして屋根から降りると、脚立を片付けて、今度は自室へ。
ネット通信用の機器がおかしいというのがメモに書いてあったからだ。

「ルーターは大丈夫、ハブもか。無停電電源装置は…そろそろバッテリ交換だな」

こうしてあれやこれやと調べていくと、ケーブル類が劣化していることに気づいた。

「やれやれ、もう劣化したのか。困った奴だ」

今すぐには交換できないので、ゴルダはそれを後回しにして他を修理することに。

「やっと終わったか。年から年中仕事漬けだと、家のものがガタが来ても直すに直せん」

それから3時間近く経って、ようやくミリシェンスに言われたところを全部直したゴルダはソファにどっかり座る。
なお、どういうわけだか、マティルーネとレルヴィンはゴルダから少し距離を置いていた。

「風呂に入ったら?臭うよ?」

ものすごく砕けた言い方でミリシェンスに言われ、ゴルダはそれもそうだなと言って風呂場へ。
地球へ泊まり掛けの依頼に行った時も、シャワーで済ますことが当たり前のゴルダだが、今日はミリシェンスが気を利かせて湯を張っていたので入ることに。

「やはり湯にはおちおち漬かっていられんな。本能的に早く出ねばと思ってしまう」

だかしかし、湯に漬かっていたのはほんの5分ほど。
湯から上がったゴルダは、さっさと着替えると

「買い物に行くが、ついてくるか?」

とマティルーネとミリシェンスに声をかける。
ゴルダがレルヴィンに聞かなかったのは、買い物には絶対についてこないと分かっているからだ。

「結構よ、掃除するからね」

ミリシェンスは掃除をするから行かないと断ったが、マティルーネはスッとこちらへやって来た。

「じゃ、行って来る」

「行ってらっしゃい」

ミリシェンスに行ってらっしゃいと言われ、ゴルダはマティルーネと買い物に向かう。
買い物に行くのは、家から30分弱車で行った市街地にある大型のスーパー。
大体買うものは決まっているので、ゴルダは値段も見ずにどんどんカートへ入れていく。

「ふうむ、これもいいな」

買い物をしていると、思いがけない商品に目が行くのはよくあることで、ゴルダもこの日は骨付きの草食竜のカルビに目が行っていた。

「まあいい、買うか」

結局草食竜のカルビもカートに入れ、会計を済ませたゴルダは軽い荷物をマティルーネに持たせて車に戻って帰路へとつく。
こうして、ゴルダの依頼のない日は家事で消費されていくのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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