氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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寝れぬ秋の夜長に

秋が終わりを見せ、冬が顔を覗かせ始めたある日の深夜。
外では虫とフクロウが鳴いている以外は、しんと静まりかえっているゴルダの家。
その家の居間で、いつものごとくテーブルに食べかけのつまみや飲みかけの酒を放置したまま、ゴルダはソファに寝転がっていた。
現在時刻は0時を少し過ぎたころ。半覚醒睡眠により聞き耳を立てたまま寝ているゴルダの耳に、部屋の扉が開く音が入る。
その音は、玄関のものではなくフウの部屋の扉のものだったが、関係なしに何だとゴルダは目を覚ましてフウの部屋の方を見る。
すると、寝間着にナイトキャップを被ったフウが完全に目を覚ました状態でレルヴィンと部屋から出てきて

「んー、おはよう?」

顔は覚めていても、頭は寝ぼけているのか、どうしたと言わんばかりに見ているゴルダにフウはおはようと言う。
それにゴルダは

「まだ深夜1時前だぞ、おはようには早すぎる」

おはようには早いとストレートに返す。
それにフウは、えーという顔をして

「でも、完全に目が覚めちゃったから寝れないよ」

目が覚めたので寝れないときっぱりとゴルダに言う。
それにゴルダは顎に手を当てて少し考えると、テーブルの上をひとまず片付ける。
その間、フウはレルヴィンの背の上でだらけたままゴルダを待っていた。
やがて、ゴルダが片付けを終えて戻ってくるとフウはレルヴィンの背からずり落ちて

「寝れないよー」

とどうにかしてとゴルダに訴える。
これにゴルダは、すぐに何かを思い付いて

「上に何か羽織れ、出るぞ」

フウに何か上着を羽織るように言う。
ゴルダに教えられ、フウの表面理解も大分改善はされていたが、こればかりはどう捉えても意は同じなので、フウは部屋に戻って最近買ってもらった上着を羽織る。
白に近い銀の幻獣布を使っている、それなりの値のするコートだ。

「よし、行くぞ」

ゴルダはそう言うと、フウとレルヴィンを連れ、行き先こそは言わなかったが座標指定テレポートでセイグリッドのシアの塔へと向かった。

「風が堪えるな」

「くしっ」

塔へ到着した瞬間、ゴルダ達を激しい温暖差と堪えるほどに冷たい風が出迎える。
なお、シアは何をしているのかというと、半分寝た状態で望遠鏡で月を見ていた。

「ねえ、もしかして…?」

久しぶりにシアを見たフウが、嫌な予感でも察したかのような顔をして見てきたので、ゴルダは

「あのもふもふならまたすぐに寝れるだろうが、違うか?」

と一言言うとフウの背中を軽く押す。
なお、シアはこちら側に既に気づいていたようで、フウに手招きする。

「また寝れなかったの?」

シアのその母性ある一言に、フウは軽く頷いてそっと近寄る。
なおゴルダはそれを遠目に見ながら、瞑想から浮遊状態に入ってその場から動かない。
レルヴィンはゴルダから少々距離を置いて寝息を立てている。

「仕方のない子」

その一方で、そっと近寄ったフウをシアもまた尻尾でそっと引き寄せる。
その引き寄せた先は、丁度腹の辺り。寝るにはもったいないくらいのポイントだ。

「わ…あっ…」

あっという間にシアの毛の中に埋もれたフウは、変な声を出しつつもその毛の触り心地と、匂いに骨抜き状態にされてしまう。
こうなると、自分からは出たいとは思えなくなるのだ。

「さあ、大丈夫よ。夜はまだまだ長いんだからおやすみなさい?」

シアがそう言ったのを半分も聞かず、フウは微睡みへと落ちて行ったのだった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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