FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

メリエルとエゼラルドとフィルスとイファルシア

よく晴れたある真夏日のセイグリッド。
数分外に立っているだけで熱中症になりそうな暑さにもかかわらず、城の庭園の噴水前でメリエルが

「なんでこんなに暑いのよ」

「主様、夏ですから」

なんでこんなに暑いのかと言ったのに対し、ウンディーネが噴水の中から夏ですからと返す。
暑いなら城の中へ入ればいいのにと思う者も居るだろうが、天才の考えることはよくわからないものである。
するとそこへ

「本当にお前はよく分からん奴だな、こんな炎天下の中で何やってんだ?」

巨大な里芋の葉を日傘代わりにして、ゴルダがマティルーネとレルヴィンを引き連れてやって来た。
それに対してメリエルはどうしようが私の勝手でしょと言おうとしたのだが、口から真っ先に出てきたのは

「ねえ、その日傘代わりにしてる葉っぱどっから持ってきたの?暑いから私も欲しいんだけど」

その里芋の葉はどこから持ってきたのかという問いである。
それにゴルダは教えたところでどうする?と言いたたげな顔をして

「俺が出したわけじゃない、草属性の魔法はペーペーだからな。エゼラルドからもらった」

エゼラルドからもらったと、メリエルが知らない誰かの名を出す。
するとメリエルは

「じゃあ私もそいつからもらうわ、どこに居るの?」

自分ももらうと、ゴルダに近寄ってきた。
その背後で、ウンディーネが私はどうするのですかと言っているがメリエルは聞く耳を貸さない。
ゴルダはこれに困ったと思いつつも、メリエルに

「ウンディーネは一旦帰しておけ、自分の使い魔をほったらかすつもりか?帰したらついて来い」

ウンディーネを帰してからついて来いと伝えて日陰の方へ入ってしまう。
メリエルは言われたとおりにウンディーネを帰してからゴルダの後を追った。

「ここだ」

「ここも暑いけど外よりはマシね」

ゴルダがメリエルを連れてきたのは、城の中にある温室を兼ね備えたちょっとした植物園のような場所。
なお、ここはちょこちょこシアがやって来ては植物をいじったりサフィが薬草などを育てていたりと結構フリーダムな場所。
入ってすぐの場所はカフェテラスのような場所になっていて、そこにメリエルが見たこともない緑毛の竜と同じ緑毛と青毛の額に石を持つ生物が居た。
メリエルはそれがすぐにカーバンクルであると理解したのだが、緑毛のカーバンクルはメリエルをあまり良くは思っていない目つきで見ていた。

「なんであんなに目つき悪いの?」

「気にするな、信用されればそうでもなくなる」

なんで目つき悪いのとゴルダに聞いても、気にするなと返されるだけでメリエルは何よと言う。

「紹介しよう、この緑毛の竜がエゼラルド、この2匹のカーバンクルはフィルスとイファルシアだ」

3匹をゴルダから紹介され、メリエルはふーんとエゼラルドたちを眺める。
エゼラルドはメリエルによろしく、といった目線を投げかけているのに対し、イファルシアは相変わらずメリエルをどこか訝しむような目で見ていた。
なお、フィルスはメリエルをじっと見て何かを観察している様子。

「触っても?」

「構わんぞ、一応はな」

3匹とも毛持ちなので、思わず触りたくなったメリエルはゴルダに触ってもいいかと聞くが、ゴルダは一応はなと意味深な返事を返してきた。
この意味深な返事の意を、メリエルは理解できなかったがとりあえず触ってみることに。

「んー…シア以上か同等に柔からかい毛ね」

「毎日手入れしてもらってるからね」

手始めにエゼラルドを触った感想は、毛の質感はシア以上か同等。
しかもどこか落ち着く香りが毛を触るたびに香ってきたので、メリエルはこれはいいわと思った。
そして今度はイファルシアを触ろうとしたのだが、メリエルが触ろうとした瞬間、イファルシアは蔦でメリエルの手を叩いてきたのだ。

「いたい!なんで叩くのよ!」

「触らないで」

「ちょっとくらい触ってもいいじゃないのよ」

「だめ、信用できないし友達じゃないから」

「むー…」

ちょっとぐらい触ってもいいじゃないのとイファルシアに遠回しに触らせてよと頼むが、あっさりだめと断られたメリエルは悔しそうな顔をする。
するとそこへ、マティルーネがメリエルとイファルシアの間に入ってきた。
マティルーネはイファルシアに何かを言っているようだが、何を言っているのかはメリエルにも分からない。

「なんて言ってるの?」

「君が信用するに値するし、変なことはしないから触らせてやりなよと言ってるよ」

そこでメリエルは、フィルスにマティルーネがなんと言っているかを聞いたところ、どうやらメリエルは信用できるし変なことはしないので触らせてやりなと頼んでいると言っているというと言われた。

「もう、仕方ないわね…でも変なことしたら承知しないわよ?」

マティルーネに説得され、イファルシアはメリエルに触ってもいいと許可を出す。
無論、変なことをしないという条件付きでだ。

「あんた毛短いのね。もっともふもふしてるかと思ってたわ」

「悪い?」

「誰も悪いとは言ってないでしょ」

イファルシアを触ったところ、エゼラルドよりも毛が短いことに気づくメリエル。
だが毛が短い割には触り心地はしっとりしていて、毛の短さという短所を補っているようにも思える。
ちなみに、イファルシアを触っていると柑橘系の匂いが時折漂ってきた。

「抱いてもいい?」

「いいよ、でも額の石は触らないでね」

最後にフィルスを触ろうとしたメリエルは、ただ触るだけでは物足りなくなったので、フィルスに抱いてもいいかどうかを聞く。
するとフィルスはあっさりいいよと了承してくれた。
フィルスは見た感じは大型の兎と同じくらいの大きさだったが

「わっ、軽いのね。ぬいぐるみみたい」

「フィルスの体重はその通りぬいぐるみ程度しかない、だがそれでも健康体なんだぞ?医者の俺が言ってるんだから間違いはない」

意外と力を入れずに抱けたので、メリエルはその軽さからぬいぐるみみたいと言う。
それにゴルダがそれでも健康体だと付け加える。

「んーっ、かわいいっ」

「あわわ」

メリエルに思いっきり抱きしめられた挙句頬ずりまでされて、フィルスは少々あたふたしている。
それでもメリエルは、額の石を触らないようにフィルスを抱きしめて頬ずりしていた。

「根っからのかわいいもの好きなのねメリエルって」

「もふもふしたのには目がないからな」

本来の目的を忘れてひたすらフィルスを抱きしめているメリエルを見て、イファルシアはそんな一言を漏らす。
それにゴルダは、もふもふしたのには目がないからなと言いつつエゼラルドがいつの間にか出した雪メロンを切り分けている。

「メリエル、その辺にしとけ。エゼラルドが雪メロン出してくれたからそれを食おうじゃないか」

やがてメロンを全て切り分け、ゴルダはメリエルにその辺にしておけと言って呼ぶ。
なお、雪メロンとはリヴァルスの寒い気候でしか育たないおかしなメロンで、収穫してからしばらくの間は自身から氷点下レベルの冷気を放出しているので、食べるときは少々暖めないといけない。

「冷たっ」

「雪メロンだから当たり前だろ」

一気にかぶりついたメリエルだが、あまりの冷たさに一瞬口を離す。
一方エゼラルドとイファルシアは既に食べ終え、口から種を連続で吐き出している。

「でも甘ったるいギリギリの甘さで美味しいわ」

「だろう?」

雪メロンを食べ終えた後、メリエルはまたフィルスを抱いてエゼラルドにもたれかかってしばらくウトウトしていたらしい。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |
| HOME |