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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

川で遊ぶようです

4の月が足早に過ぎ去り、5の月に入ったある日のこと。
バルコニーで暇を持て余していたゴルダに

「わっ!!」

「何だ、どうした?」

フウがいきなり脅かしてきたので、何だと聞くゴルダ。
しかしフウは居間の方を指さすだけで何も言わない。

「なるほど、茶でも出してやれ」

「えー?」

人離れした感知力で誰が来ているかを察したゴルダはフウに茶を出せと言うも、渋られた。
はたして、誰が来ているのだろうか?

「こんにちは」

「よく来たな、暑くないか?」

「少しだけですわ」

来ていたのは、他でもないコロンとモカ。
ちなみに、なぜゴルダが暑くないかと聞いたのかというと、今年は初夏の入りが例年より早く、梅雨がない。
そのため、5の月のはじめから最高気温が25度を軽くオーバーしている。
なお、現在の気温は30度手前で真夏日である。

「ここまで暑いと、あれしかないと思いません?」

「そう、あれあれ」

コロンとモカの言うあれとは何なのか?
それに答えを出したのはフウだった。

「泳ぎに行くとか?」

「そうそう、どこかに泳ぎに行きませんか?」

泳ぎに行こうと言ったコロンに、ゴルダは携帯のスケジュールを見て

「構わんぞ、今週ならの話だが」

今週ならいいという返事を返す。
コロンはその返事を聞いてやったと呟くと

「もう1人2人呼んでも?」

と聞く。
ゴルダはそれにいいだろうとだけ返し、また携帯を出して地図を見る。

「あと海と川、どっちでもいいですよ」

地図をいじるゴルダに、コロンはそんなことを言う。
それを聞いたゴルダはふうむと一言呟くと

「ならばいい場所がある、楽しみにしてろ」

などと言いつつ明後日なと言ってコロンとモカを帰す。
一体ゴルダは何を考えているのだろうか?

そしてあっという間にその日はやって来た。
待ち合わせはゴルダの家だったので、朝から1人で準備をするゴルダ。
一方のフウは部屋から出てこず、アルガントは帽子をいじっており、ウラヘムトは俺は行かねえと準備する以前の問題であった。

「どう?」

「おい、その瓶の上に立つな」

ズッキーニを丸ごと酢漬けにしたものが入っている瓶の上に立って、この帽子はどうかと聞くアルガントにゴルダは立つなと言って降りさせる。

「ちぇー」

「じゃじゃーん」

アルガントが瓶から降りると同時に、薄着姿のフウが部屋から出てきた。
かなり透けているTシャツと半ズボンの下には、その体には不釣り合いな、いわゆる海パンと呼ばれる水着をつけている。

「着替えも用意しとけ」

「もちろん」

着替えも用意しておけとゴルダが言うと、フウは手に持っていたバッグを見せた。

「よしよし、コロン達が来るまで待ってろ」

あからさまなバーベキュー用食材の準備を続けながらゴルダはフウとアルガントにそう言った。
それから1時間もしない間に、コロンとモカが見慣れない2人を連れてやって来た。
1人はモカにべったり、もう1人は日焼け止めを念入りにすり込んでいる。

「2人とも初顔だな、多分俺の名はコロンから聞いているだろうからあえて名乗らんが」

いつもとは少し違う調子で2人に挨拶をするゴルダ。
すると、日焼け止めを念入りにすり込んでいた1人が

「チーノです」

と名乗る。
なお、ゴルダはこの時点でチーノが男なのか女なのかの判定ができなかったのでどっちもどっちだということにした。
さらにそれに次いで、モカにべったりだった金髪のもう1人も

「…ココ、ココ=カフェテリア」

と恥ずかしいのか何なのかよくわからない感じで名乗った。

「チーノとココか、よし行くぞ」

一応全員揃ったので、一行は目的地へと向かう。

そして一行がやって来たのは、セイグリッドのアッバサト川。
とても増水しやすいため、好き好んでここで遊ぶ者はほとんど居らず、貸し切り状態だ。

「じゃあ遊んで来な、ただし川の奥の方は深くて流れも速いから行くなよ」

ゴルダはそう言いつつ、自分はバーベキューの準備を始める。
モカとココは上着を脱ぎ、ブーツも外して川の方へ。
フウは海パン姿で岸辺でチーノとレルヴィンと遊び、アルガントは川辺に不釣り合いに生えている木の下で何かをしていた。

「手伝います?」

バーベキューコンロに入れる炭の火起こしをしているゴルダにコロンが話しかける。

「火起こしは汚れるからいい。それより食材とテーブルなんかをいいか?」

「もちろんです」

ゴルダに食材出しとテーブル設置などを頼まれ、コロンはそっちの方に取り掛かる。

「泳がないの?それとも泳げない?」

「あっ、いや別にそういうわけじゃ…」

モカとそこまで深くないところで泳いでいたココにそんなことを言われ、フウはそういうわけではないと返す。
ちなみに、モカはレルヴィンと泳いでいた。

「じゃあ泳がないとね」

「わっ…ちょ、ちょっと!?」

いきなりココに腕をむんずと掴まれて足が届くか否かの深さまで連れてこられたフウ。
若干沈みそうになりながらもなんとか泳いでいるフウを、レルヴィンは近寄ってサポートする。

「ぷはっ…」

「本当に泳げるの?」

レルヴィンに掴まって泳いでいるフウに、モカは心配そうに聞く。
だがフウは見栄を張って、大丈夫だ問題ないと言わんばかりに親指を2人に立てて見せる。
ココはそれを見て心の中でニヤリと笑うとフウに

「じゃあ、素潜り勝負しましょうよ」

と勝負を吹っ掛けたのだった。
その一方でチーノはというと

「雷撃使ったら魚とれるんだけどなー」

川面から見える魚を見ながら、さらっと危ないことを呟いていた。
すると、その横からアルガントが手製の石槍を持って川に入ったかと思いきや、その槍を川の中に突き入れる。
そしてアルガントが槍を川の中から上げると、槍先に魚が突き刺さっていたのだ。

「とったどー」

そういいながらゴルダのところへ行くアルガント。
これを見たチーノは

「釣るって手があったね」

と言ってゴルダのところへ向かう。

「魚か、調度いい」

ゴルダはアルガントの持ってきた魚を見てそんなことを呟く。
後ろでは、コロンがなおもバーベキューの準備を続けている。

「いっちょ釣りするか」

「わーい」

「私もいいかな?」

ゴルダが釣りをするかといったと同時に、アルガントがわーいと言ったのに混じってチーノも自分もいいかと聞く。
するとゴルダはいいぞと即答して、3人分の竿を出して上流の方へと向かった。

「いつまでやるの?」

「まだまだ」

その頃モカ達はというと、いまだにココとフウが素潜り勝負を続けていた。

「はい、私の勝ち」

「むー」

半ば呆れた様子で2人を見ているモカとレルヴィンをよそに、2人の決着はいつまでたってもつきそうにない。

「向こう行きましょ」

結局モカはレルヴィンとこっそりその場を離れたのであった。

「ふんふんふ~ん」

そしてこちらはコロン。
バーベキューの準備を終わらせ、クーラーボックスに入っていたスイカのような何かを網に入れて川の流水に浸す。

「どこまで釣りに行ったのかしらね」

バーベキューグリルに木炭を足しながらコロンは言う。
この時点で、ゴルダ達が上流の方へ行ってから1時間は経っている。

「ま、いっかぁ」

などと楽観的なことを言いつつ、コロンはゴルダが現地で作るつもりだったであろうサラダを作り始めた。

そしてこちらは、上流の方へと来たゴルダ達。
釣果は芳しくないらしく、イワナが3匹釣れたくらい。

「足りないんじゃないかな?」

「どうだか」

自分の膝の上にアルガントを座らせているチーノに足りないのではと聞かれ、ゴルダはどうだかと返す。

「触るなーっ」

「なんで?もふもふしてるのに」

アルガントに触るなと言われ、なんでと返すチーノ。
ちなみにアルガントはもふもふされるのが好きではない。
なぜかというと、触られたときにびっくりし過ぎて制御が利かなくなるかもしれないからだ。

「つまんないの」

「にひひ」

チーノはそのままアルガントを座らせたまま釣りを続行するも、ゴルダに戻るぞと言われ、戻ることに。

「行くよ」

「やー」

チーノはそのままアルガントを抱いてコロンの所へと戻った。

「もうこの辺にしましょ」

「そうだね…」

その一方で、素潜り勝負を続けていたココとフウはようやく勝負がついたのか、川辺へ戻って来た。
その時モカはコロンを手伝い、バーベキューを始めていた。
テーブルの上にはサラダの他に飲み物と個々の皿とコップが並べられている。
バーベキューコンロでは、野菜や肉が独特の音を出して焼かれている。

「ほら、皿持って来てモカ」

「はーい」

コロンの指示を受け、皿を持ってくるモカ。
ゴルダが戻ってこないので、先に焼き始めているのだ。

「もう焼いてるのか」

「ごめんなさいね」

それから数分してゴルダ達が戻って来た。
その手にはイワナ3匹が握られており、ゴルダはすぐさまイワナを下ごしらえして焼き始める。
バーベキューコンロの火が強いためか、イワナは10分もしないうちに焼き上がる。

「それでは」

「いただきます」

「やー」

一行はバーベキューを食べ始めたのであった。

「いい焼け具合だ」

「そうですか?良かったです」

焼け具合を評価されてほっとするコロンの横では、ココがアルガントにちょっかいを出して嫌がられていた。
一方モカとフウは普通に食べている。

「初対面から思ったけど、笑わないんだね、ゴルダって」

ふとそんなことを言ったチーノに、ゴルダは食事の手を止める。
これを見たフウはあたふたし、ココは頭上に?を浮かべ、コロンとモカはあちゃーという顔をする。

「理由があるとだけ言っておく」

だがしかし、ゴルダの反応は淡白なものであった。

「ふーん」

グラスに注いだワインをぐいと飲みほしているゴルダを見て、チーノはそう呟く。

やがて食事も終わり、片付けもほどほどにしたところでコロンが川の流水に浸していたあのスイカのようなものを持ってきた。

「これどうします?」

「割るんだ」

どうするのかとコロンに聞かれ、ゴルダはいきなり腰の剣を引き抜いたかと思えば、そのスイカのようなものに振り下ろす。
だが、スイカのようなものは剣をつるんと受け流して割れなかった。

「割ったり切ったりするのにコツが要る」

ゴルダはさらっとそんなことを言って安定しているところにそれを置くと、どこからかタオルを出して

「最初にやりたいのは誰だ?」

と聞く。
するとココがフウを引っ張って来て

「はいはい、フウとやる!」

と言い出す。
これにゴルダは本当にやるのか?と目線で訴えてからココとフウを二人三脚と同じようにし、そのままやってもらうことに。
ちなみに結果はというと

「わーっ」

「ぬわーっ」

大きくコースアウトして2人は川に突っ込んだ。
その後、モカやチーノも挑戦したが、結局割れなかった。
そして、コロンの番が回ってくる。

「やっても?」

「かまわん」

コロンにやっていいのかと聞かれ、かまわんと返すゴルダ。
するとコロンは目隠しをしたかと思えば、スイカのようなものと距離を一瞬で詰めるや後手切りですっぱりと切った。

「簡単すぎますわ」

剣をゴルダに返しながら、コロンはそんなことを言う。

「流石と言ったところだ」

剣についた汁を拭きながらそう言ったゴルダにコロンは目元に影を落とした表情で

「暗殺スキルの応用ですわ」

とゴルダに返してテーブルの上にあった包丁を取りに行く。
ちなみにその後は普通にスイカのようなものを食べて帰ったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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