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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

はーたんとチョコ

「なーゴルダ、チョコは好きか?」

「いきなり何でそんなことを聞く?」

ある日、ゴルダがいつものように仕事へ行こうとするとハーキュリーにそんなことを聞かれた。
どういう意図があって聞かれているのかが分からないゴルダは、ハーキュリーになんでそんなことを聞くのかと問う。
それにハーキュリーはニヨニヨするだけで、好きか嫌いかの2択だから早く答えろよという顔をするだけである。

「好きでもなければ嫌いでもない。ああいうのはあるとついつい食べ過ぎて血糖値やらの問題で健康的に良くない」

ゴルダはやれやれと呟いたあとに、そんな医者らしい返事を返す。

「そういう返事をするのもゴルダらしいよなー、分かったぜ。気をつけて行って来いよ」

その返事を聞いたハーキュリーは、どこか納得いかないような口調でゴルダを見送った。
なぜハーキュリーがそんなことを聞いたのか?
それは、明後日が意中の者にチョコなどをあげたりする日だからだ。
そのためにハーキュリーはゴルダにチョコが好きかを聞いたのである。

「今日の昼あたりにあれが届く予定だが、ゴルダはそんなに早く帰ってこないよな?」

ハーキュリーの言うあれとは、ゴルダにあげる注文していたチョコの材料。
しかも、今日の昼にその荷物が届予定なのでハーキュリーはゴルダが早く帰ってこないことを願った。
ちなみに、ハーキュリーはゴルダのカードを使って買っている。
もちろん本人からは使いすぎないように注意すれば使ってもいいと言われているらしい。

そして昼、飛竜便で届いた荷物を受け取ったハーキュリーはゴルダに見つからないようにそそくさと隠す。
もしゴルダに荷物が見つかって中身を見られて察されたら、ハーキュリーの計画が台無しになるからだ。

「んー、ここならゴルダもそうそう開けない場所だからいいか」

ハーキュリーが荷物を隠したのは、野菜や米などが置いてある食料庫の空の箱の中。
この箱はゴルダもずいぶん前からほったらかしにしていて、片付ける様子もない。
なので、隠すにはもってこいだった。

「まー、ゴルダは別に驚かないだろうし。反応に期待はできないな」

そう呟きながらハーキュリーは台所の掃除をしに戻ったのであった。

それから2日が経ち、その日がやってきた。
相変わらずゴルダは朝から依頼に出かけ、今日は遅くにしか帰ってこれないととのこと。
つまり、チョコを作る時間は十二分にある。

「よーし、作るぞ」

ゴルダを見送り、ウラヘムトとアルガントが部屋に引っ込んだのを確認してからハーキュリーは材料を食料庫から出してきてテーブルの上に並べる。
材料は生チョコと、なぜか餅まで用意されていた。
どうやらハーキュリーは餅チョコを作る気でいるらしい。

「えーっとまずは生チョコをだなー…」

そう言って生チョコを作り出したハーキュリー。
最初こそは順調にいっていたが、途中で静かなのが嫌なので

「なんかかけるかー」

と言って、タイトルも見ずにゴルダのポータルオーディオプレイヤーを再生。
すると、流れてきたのは某有名な語り手の怪談だったのでハーキュリーは慌てて曲送りをして別の曲を再生する。
今度はゴルダが好き好んで聞いているケルト系の歌が流れてきたので、ハーキュリーはそれをかけっぱなしにして生チョコ作りを再開。

「生チョコにしては緩い感じだなー、もう少し調整…っと」

調整に調整を重ね、ようやく生チョコをかんせいさせたハーキュリーは、次に外側の餅を作り始める。
だが、ただの白い餅ではなく水餅的なものにしたかったので少々手間取っていた。

「こんなものか?ゴルダは食えれば問題ないって言いそうだけど」

そして完成した水餅の中に生チョコを突っ込むハーキュリー。
生チョコを突っ込む際に手がベタついたが、気にせず突っ込んでいく。

「でーきたできた」

一応餅チョコが完成したところで、ハーキュリーはそれらを材料と一緒に買っておいた箱に入れる。
これで後はゴルダに渡すだけだ。

「早く帰ってこないかな」

一応完成した餅チョコを冷蔵庫に隠しながらハーキュリーはそう言った。

その日の夜。
アルガントとウラヘムトに夕食を与え、ゴルダの帰りを待つハーキュリー。
だが、待てど待てどゴルダが帰ってくる気配はない。

「遅いなー…」

2人に作ったものとは別に、ゴルダとの夕食を用意して待っていたハーキュリーは椅子に座ったまま物思いにふけながらゴルダをなおも待つ。
だがそれでもゴルダは帰ってこない。
1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、やがて時刻は午前0時を指して日付が変わってもゴルダはまだ帰ってこなかった。

「遅いにもほどがあるぞゴルダ…」

その頃ゴルダは何をしていたのかというと

「まだ決断できないのか?そろそろ帰りたいんだが」

今日の最後の依頼主が決断を渋っていて帰れずじまいだったのだ。

「…」

さすがに温厚なハーキュリーも、段々とイライラしてきたらしくテーブルの上を指で叩いている。
このままだと、帰ってきたゴルダに何をしでかすか分からない。

「ただいま」

それから30分して、ようやくゴルダは帰ってきた。
堂々の午前様である。

「…おかえり」

「待ったか?」

少々怒りを含めた口調でおかえりと言ってきたハーキュリーに、ゴルダは普通に待ったかと聞く。
するとハーキュリーは

「待ったぞー!?すっごく待ったぞー!?」


などと叫びながらゴルダにアームロックをかける。
だが、痛覚が無いに等しいゴルダにはなんともないようで

「全部依頼主のせいだ。それより飯食おうか」

全部依頼主のせいと遅くなった言い訳をしつつ、飯を食おうと言う。
するとハーキュリーは急にアームロックをかけるのをやめて

「私も腹減ってたんだよなー、食べよっか」

いつもの調子に戻ってかなり遅い夕食を取る。

「いつもとメニューが違うな、どういう風の吹き回しだ?」

「そうか?いつもと変えてないけど?」

メニューがいつもと違うのではとゴルダに指摘されたハーキュリーだが、いつもと変えてないと嘘をつく。
実際のところ、バレンタインということでちょっと変えてあるのだが。
やがて夕食を終えてゴルダが緑茶をすすっているとハーキュリーは

「日付変わっちまったけど、これ」

あの餅チョコを差し出す。
それを見たゴルダは、ほうと呟くとありがとなと言って受け取る。

「生チョコが少し硬いが、味は申し分なし。ビター系のやつが良かったが文句は言えまい」

などと感想を漏らしたゴルダに、ハーキュリーは回りくどいので美味しいのか美味しくないのか言えと言うとゴルダは

「美味いぞ?普通にな」

普通に美味いとぶっきらぼうな返事を返したのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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