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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

メリエルと友チョコと

「ほら、受け取りなさいよ」

2の月のある日、シアはメリエルからどういう風の吹き回しかは分からないがチョコを渡された。
大きさはメリエルがようやく両手で持っていられるほどの板チョコで、かなり重そうである。
そしてそのチョコを見たシアは、ふうむと前足で顎のあたりを触りながらこう言う。

「チョコくらい板じゃなくてもいいのよ?」

板じゃなくてもいいというのがどういう意味なのか、それはメリエルのある部分を見ればすぐに察することができるだろう。
それを言われたメリエルは、一瞬でなによという顔になって

「人が好意として作ってきたのにそれはないでしょ!チョコから胸の話に話題をずらすなんて何なの?」

人が好意で作ってきたのにそれはないでしょと多少怒鳴りつける感じで言い捨て、シアに背を向けて帰ってしまった。
メリエルが帰った後、シアはそのチョコを食べつつ

「あらあら、案外苦めに作ったようね。これくらいの苦さが丁度いいわ」

その味をそれなりに評価していたとか。

「あー全くもう、友チョコでまさかまた胸の話に持っていかれるとは思わなかったわ」

その頃、メリエルはというとゴルダの家までやってきていた。
それもそのはず、友チョコを渡そうとしていたのはシアだけではないのだ。

「メリエル様が来たわよー、開けなさい」

いつもの調子で玄関の戸を叩くメリエル。
だが、誰も出てくる気配がない。
おかしいなと思ったメリエルは、そのまま玄関から家の中へと入る。
ちなみに、ゴルダからは呼んでも自分が出なければ勝手に上がって待っていろという許可は得ているので問題はない。

「ちょっと、寝てないで起きなさいよ」

家の中へ入ると、週刊誌を顔に被せて昼寝中のゴルダが目に入ったのでメリエルはその週刊誌を取ってゴルダを起こす。

「よく来たな、ん?」

メリエルに起こされ、いつもと同じような振る舞いをするゴルダ。
だがその頭の上にはライノートの所に居るようなドラビットが居たので、どういう事なのかをゴルダに聞くメリエル。
すると、ライノートが来た時に偶然ついてきたのが懐いて引き取ったのだとか。
名をマティルーネというらしい。

「…触って大丈夫なの?」

「知らん、こいつはマイペースすぎて読みにくい」

ふと触りたくなったメリエルは、ゴルダに触ってもいいかを聞くと知らんと返された。
だが、知らんは触ってもいいということだと自己解釈したメリエルはそっとゴルダの頭の上のマティルーネに手を伸ばす。
だが、マティルーネはメリエルの手が目の前に来るやガプッと噛み付く。

「いたい!なんで噛むのよ!?」

「単純にびっくりしただけのようだが?それより傷見せろ」

マティルーネに手を噛まれ、渋い顔をするメリエルにゴルダは手を見せろと言う。
特に噛むことで相手に伝染するような病気を、マティルーネが持っていないことは日頃の健康チェックで分かっているのだが竜とて動物。
なので思いもよらない病原菌を持っている可能性もあるからだ。

「今日は厄日よ」

そう言いながらゴルダに噛み傷を見せるメリエル。
ゴルダはメリエルの噛み傷を見て、さほど強く噛まれてないことが分かるとどこから消毒液と包帯を出して一応の処置をした。

「あ、ありがとう」

この程度の傷くらい、天才の自分にかかれば数秒で傷跡もなく完治させられるのにと内心思いながらも、メリエルは一応処置をしてくれたことへの礼は言う。
一方ゴルダはマティルーネを頭から降ろし、自衛以外で人を噛むんじゃねえと注意していた。

「あっ、それよりこれあげるわ」

ここで、ゴルダの家に来た本当の目的を思い出したメリエルは、若干くしゃくしゃになった箱に入った手作りチョコを差し出す。
するとゴルダはほほうと呟いてから

「有り難き、受け取っておくぞ」

などと変な礼を言った。
それにメリエルはなんてぶっきらぼうな礼の言い方なのとは思いつつも

「あんたはいつもと同じ反応ね、シアと違って」

いつも同じ反応なのねと言う。
それにゴルダは、悪いか?と言いたげな目線を投げかけたのであった。

「じゃあもうお邪魔するわ、他にも行くところあるの」

メリエルは他にもライノートに渡さないといけないことを思い出し、ゴルダの家を後にする。


「わざわざありがとうございますメリエルさん」

「いいのいいの、いわゆる友チョコって奴よ」

たまたま里の畑に居たライノートにチョコを渡し、その場で雑談を始めるメリエル。
周りに居たドラビット達は、族長は何をしているんだ?という顔で2人を見ている。

「友チョコ…ですか」

「そう、友チョコよ」

2人が他愛もない雑談をしているところへ、どこからともなくエフベランカがやって来たかと思えばメリエルに

「チョコは盛るんだな、そっちは盛らないのに」

などとシア以上にデリカシーのない一言を嫌味口調で言ったのだ。
それを聞いたメリエルは

「胸の話しか話題がないの?何なの?それよりあんたにもあげるわ」

胸の話しかできないのかと言っておいて、正方形の小さいチョコをエフベランカに投げつけたのであった。
なお、投げつけられたチョコを見たエフベランカは

「チョコをチョコっとと貰った…」

などといつもの駄洒落を言ってメリエルに礼も言わずにその場を立ち去ったという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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