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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

クリスマスは2人きりで

今年もクリスマスという時期が、ドランザニアにもやって来た。
セイグリッドやリフィルなどはいつものように城下町の民でも参加できるようなパーティーを開き、一般の家庭でも祝ったりするところもある。
それは、ゴルダの家でも例外ではなかった。

「今年もクリスマスが…」

暖炉で薪がパチパチと音を出しながら燃えている居間。
つけっぱなしのテレビの前のソファでは、ゴルダがだらしない姿で爆睡中。
それもそのはず、ゴルダが依頼で帰ってきたのは日付の変わった深夜。
深夜放送を見ながら酒を片手に遅い夕食を取っているうちに寝てしまったようだ。

「ゴルダ、起きろー」

とここで、今まで爆睡中のゴルダを気にも留めずに朝食の準備をしていたハーキュリーがゴルダを起こしにかかる。
だが、珍しく半覚醒状態で寝ていないせいか一発で起きる気配がない。
もちろんハーキュリーも一回起こして起きなかったくらいでほっぽり出すはずもなく

「おーきーろー」

ハーキュリーは今度はゴルダの頬をつまんで横へ引っ張る。
すると、違和感に気付いたゴルダが目を覚ましてその辺にしとけと目線で訴えてきたのでハーキュリーはつまむのをやめた。

「また遅かったのかよ?」

「依頼が依頼故に仕方ない」

また遅かったのかとハーキュリーに聞かれ、ゴルダは依頼が依頼だと言って風呂場の方へ。
そんなゴルダを、ハーキュリーはやれやれという顔で見ながら2人分の朝食を盛り付ける。
ちなみに、アルガントとウラヘムトは先にハーキュリーが済まさせているので問題はない。

「いただきます」

「いただきますなのだ」

そして、ありきたりな2人の朝食の時間が始まった。
朝から紅茶なハーキュリーに対し、ゴルダはコーヒーを飲んでいる。
なお今日の朝食は、草食竜のベーコンとスクランブルエッグにトマトがどっさり入ったサラダ。
それにトーストだ。
そんな朝食を食べながら、ハーキュリーはゴルダにこんなことを聞く。

「ゴルダ、今日の約束忘れてないよなー?」

「忘れているわけがないだろ、しかと今日のスケジュールに入っている」

このハーキュリーの言う約束とは、クリスマスなので夜はどこか2人で出かけようというもの。
それに対してゴルダは忘れているわけがないと返す。
こう言ったことに限らず、約束事きっちりと守るのがゴルダなので聞く必要はないのだが、ハーキュリーはあえて確認のために聞いたのだ。

「おっと、そろそろ出ないと間に合わん。じゃあ行ってくる。夕方、遅くても7時くらいまでには帰って来る」

「分かった、気を付けて行って来いよ」

ここで時計を見たゴルダは、颯爽と準備を済ませて出かけて行った。
クリスマスといえど、何でも屋に休みはないのだ。
そんなゴルダを、ハーキュリーは気をつけて行って来いと見送ったのであった。

「わふー、暇だなぁ」

それから大体1時間後。
一通り朝食で使った食器を洗い終え、洗濯機も動かしたハーキュリーは何をしようかと食卓の椅子へ座る。
ゴルダのカルテは一部を除いて一通り終わっていたのだが、その一部が開くのにまた別のパスワードと生体認証を要求されたので開けなかったのだ。
なお、今のところ分かっているのはゴルダが竜滅病を持病として抱えていることと、記憶に空白の期間があることくらい。
それ以上は調べようにも、生体認証が必要なので調べようがないのだ。

「ゲームでもするかー」

と言って、ハーキュリーは真三国無双を引っ張り出してプレイ開始。
しかし、難易度修羅でも簡単にクリアできるので1時間足らずで飽きた。

「なんでこんな怖いゲームしかないんだ?」

ハーキュリーは他に何かないかと、ゲームソフトの置いてある棚を調べるが、あるのはシンギュラリティやコールオブデューティーなどといったガンシューティングゲームの他に、デッドスペースなどのホラー要素のあるゲームしかない。
それもそのはず、これらのゲームをしているのはゴルダではなくウラヘムトだからである。
一応マリオパーティなどもあるが、これは2人以上でやらないと面白くない。

「むー…」

ゲームをするのを諦め、 別にやることを探し始めたハーキュリー。
しかし、特にやることもないのでただだらだらと過ごす他なかった。

そして夕方。
結局やることが見つからずにぼーっとして過ごしたハーキュリー。
後はゴルダが帰ってくるのを待つだけだが、まだ帰って来る様子はない。

「まだかなー」

「ただいま」

ハーキュリーがまだかなと言った直後、ただいまという声と共にゴルダが帰って来た。
その声を聞いてハーキュリーはお帰りと返し、早く行こうと目を輝かせてゴルダを見る。

「よし行くか」

「わふー!」

そんなこんなで、ハーキュリーとゴルダは出かけたのであった。
そして2人がやって来たのは、ハーキュリーが前々から目をつけていた店。
幸か不幸か、クリスマスだというのにこの店はほんの数日前でも予約が取れたのだ。

「このフルコースで2人分頼む、それとこのワインをボトルで」

なんの迷いもなくフルコースを頼むゴルダに、ハーキュリーは僅かにえっ?という顔をしたがすぐに普通の顔に戻る。
やがて、食前酒が運ばれてきたのでハーキュリーとゴルダは互いにグラスを取って

「メリークリスマス」

そう言って互いのグラスを鳴らして食前酒を飲む。
端から見れば、もうそういう関係にしか見えないのだが決してそういう関係ではない。

「ゴルダってこういうところは気が利くのに、無表情さが台無しにしてるんだよなー」

「そうなってしまってるもんは仕方ない」

食前酒、前菜、スープ、メインディシュと来て、メインディシュに手をつけながらそう言ったハーキュリーに、ゴルダはそうなってしまってるもん仕方ないと返して黙々と食べる。
ハーキュリーはそれにやや不満げな顔をしながらそうなのかーと言って同じくメインディシュを食べ出す。
実にこの2人、不釣り合いながらも関係は良好なのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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