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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

あなたの笑顔を見てみたい

それは、ハーキュリーがゴルダの居ない間にゴルダの持っていたアルバムを見ていた時のこと。
幼少期と思われる時代から、大学を卒業したと思わしき時代までのものしかなかったが、それでもハーキュリーが暇つぶしに見るには最適なものであった。

「ほへー…」

じっと幼少期からの写真を見ていたハーキュリーは、ゴルダのある変化に気づいた。
それは、幼少期はかすかに笑っていると判定できるような表情で写っていたのだが、大体12歳くらいを境目に全くもって無表情な顔でしか写っていなかったのだ。
それは、大学の卒業アルバムも同じで、幻想獣医学部の竜医学科の卒業生一覧の写真にあったゴルダの写真は、やはり無表情。

「おっかしいなぁ」

ハーキュリーは、12歳以降にゴルダが笑っている写真がないかを探すべく、部屋の本棚も全部調べて探し、ここ10年くらいに撮られたと思わしき写真を見つけたハーキュリー。
だが、それらの写真も全て無表情で目すらも笑っていない。

「一体何があったんだ?ゴルダに」

それを聞いてみようと、ハーキュリーはゴルダが帰ってくるのを待った。
そしてその夜、帰ってきたゴルダにハーキュリーは

「なーなー、なんでゴルダって笑わなくなったんだー?」

と単刀直入に聞く。
するとゴルダは、なぜそんなことを聞く?と目線で訴えてきたかと思えば

「触れられたくない過去、それはお前にもあるだろう?この件には触れないでくれんか?」

この件には触れるなと言い捨てて風呂に入ってしまった。
ゴルダのあからさまな態度の豹変っぷりに、ハーキュリーはこれは何かあるなと思って独自に調べてみることに。
手始めにハーキュリーが当たったのは、アルガティア。
ゴルダから大学に入るまでの間をアルガティアの所で過ごしたと聞いていたので、一番手っ取り早いと思ったのだ。

翌日、ゴルダが家に居ることを確認してからハーキュリーはこっそりアルガティアの所へ。
ハーキュリーが訪ねた時にはアルガティアは国務をしていたのだが、ハーキュリーに気付いてどうしたのかと聞いてきた。

「ゴルダの過去についてちょっと教えてほしんだが」

ハーキュリーがそう聞くと、アルガティアは少し困ったような顔をして

「私が言ったって言わないようにね?」

「言わないのだ」

ゴルダに自分が話したと言わないようにと釘を刺され、ハーキュリーはそれに言わないのだと断言する。
そしてアルガティアは、ゴルダの生々しい過去を話した。

「なんて過去なんだ…」

「結構きつい過去なのよ」

アルガティアからゴルダの過去を聞いたハーキュリーは、その内容に絶句。
なんて過去なんだと言ったハーキュリーに、アルガティアは結構きつい過去だと返す。

「んー…ありがとうなのだ」

ハーキュリーはその後そのまま帰宅したという。

それから数日後。
ハーキュリーは、ゴルダの過去を踏まえても本人の笑顔を見てみたいと思って仕方なかった。
だが、笑うところを見たいとストレートに言ったところで、触れるなと言っただろと言われるのがオチなのでどうしようかを考える。

「うーん」

ウラヘムトからパソコンをぶん取り、ネットサーフィンをするハーキュリー。
なお、パソコンを取られたウラヘムトは居間でシンギュラリティをやっている。

「あっ、ここの店のミルククレープ美味しそうだな」

あちこちサイトを巡ってたどり着いたあるクレープ屋のサイトを見ていたハーキュリーの目に、その店で一番の人気があると書かれているミルククレープの記事を見つける。
サイトには、雑誌やテレビで何度も取り上げられたと書いてあった。

「ここに行こうと誘ってみるかー」

ハーキュリーは、やましい考え無しでゴルダにここに行こうと誘うことを決めたのであった。

そしてゴルダが帰ってきたので、ハーキュリーはゴルダに

「遊びに行かないか?」

とストレートに聞く。
ゴルダはそれに、どういう風の吹き回しだとハーキュリーを見た。
それに対してハーキュリーは

「なんとなくだ、ゴルダと2人きりで密な時間取ったことないからな」

2人の密な時間を取りたいからだと答える。
その返答に、ゴルダは顎に手を当てたまま黙りこくってしまう。

「聞いてるのかー?」

そんなゴルダの頬を摘みながら、ハーキュリーは聞いているのかと聞く。
普通ゴルダにこんなことをすれば、その腕を捻られること間違いなしなのだがハーキュリーは一応ゴルダが信用している相手なのでそういうことはしない。
それをいいことに、返事をなおも返さないゴルダの頬を、ハーキュリーは横へ上へ下へと摘んだまま引っ張る。
するとゴルダは

「そういうことか、それなら構わんぞ」

そういうことなら構わないと、くどさがある返事を返した。
ハーキュリーはゴルダのその返事を聞いて

「わふふー、じゃあ明日行くぞ」

明日行くぞと言いつつゴルダをもふった。

翌日、どうにかゴルダを遊びに行くという名目で連れ出しに成功したハーキュリー。
そのまま例のクレープ屋まで行って、ミルククレープを購入。
近くの公園のベンチに腰掛け、無言で食べるゴルダと美味しそうに食べるハーキュリー。
その様子は、不釣り合いな異種族のあれにも見える。

「美味しいかゴルダ?」

「ああ」

ニコニコしながらハーキュリーが聞くと、ゴルダはぶっきらぼうな返事を返す。
やはり、笑顔を見せる気配は一向にない。

「心から笑えよゴルダ」

「その感情はとうの昔に捨てた、喜と哀の感情などいらぬ」

あまりにもゴルダが笑わないので笑えよと言ったハーキュリーだが、ゴルダから返ってきた返事でハーキュリーは思わず吹き出した。
それに釣られてか、かすかにゴルダも

「ふっ…」

鼻で笑ったのだ。
それを聞き逃さなかったハーキュリーは、まるで鬼の首でも取ったかのように

「あー!今ゴルダ笑ったなー!?」

と1人で騒ぐ。
しかしゴルダは無表情を堅持したまま

「所詮表面的な鼻笑いだ」

表面的なものだと切り捨てた。
だがそれを認められないハーキュリーは

「笑った、絶対笑っただろ?認めろー」

ひたすら認めさせようとゴルダを小突いたとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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