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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

モカとコロンとフウと折り紙

「起きろ、朝だ」

「うーん、あと10分…」

「今すぐ起きないとそのまま冬の外に連れ出すぞ」

「わーっ!分かりました起きます起きます!」

ある冬日の朝。
フウたちよりも早く起きていたゴルダがフウを起こしに来たのだが、もう少し寝かせてと言い出したので冗談半分で外に連れ出すぞとゴルダが言うと、フウは飛び起きた。

「お、おひゃようござましゅ…」

「寝ぼけて呂律回ってないぞ?」

おはようと呂律の回っていない言葉で言ったフウに、ゴルダは寝ぼけて呂律が回ってないという。
それを言われたフウは、顔を真っ赤にして言い訳をしだす。
それにゴルダは、落ち着いたら顔洗って台所来て飯を食えと言って部屋を出た。

「うう、またやっちゃったよ…」

ゴルダが台所へ戻った後、寒いので毛布に包まったままフウはそう呟く。

「おはやー、また寝坊?」

「おはようさん、お寝坊さんだな」

「寒いんだもん」

フウが台所へ行くと、先に朝食を食べているアルガントとウラヘムトにそれぞれおはようと同時に寝坊かと言われてフウは寒いんだもんと返す。
今日の朝食は、トーストの上にベーコンと目玉焼きを乗せたものと、温くなっているホットミルク。
さすがに温め直してとも言えず、フウはそのまま食すことに。

「そうだフウ、今日は少し遠出するぞ」

「えっ」

「今日は遠出するぞ」

トーストを食べ始めたフウに、ゴルダが単刀直入にそんなことを言ってきたので、フウは食べる手を止めてえっと返す。
それにゴルダは、聞こえなかったのか?という顔をしつつ、もう一度遠出すると言う。
フウがここで暮らすようになってから、ゴルダは暇さえあればフウをいろんなところへ連れ出ている。
それにどういう意図があるのかは分からないが、おそらく刺激を受けて何かを学べという意図であろう。

「遠出って、どこにです?」

「南の方のリフィルという島国だ」

どこに行くのかとフウが聞くと、ゴルダはリフィルという島国と答える。
フウはすぐに頭の中にある知識を全て引き出したが、該当するものは見当たらなかった。
どんな国んなのか聞いても、ゴルダは実際に見た方が早いと言うと思ったのでフウはなるほどと頷く。

そして朝食後。
座標指定テレポートと言う名のした後で気持ち悪くなる移動手段でリフィルへとやって来たフウ。
なお、アルガントとウラヘムトはいつものように留守番である。
辺りを見回した感じでは、セイグリッドとそんなに変わらない気もするが、やはり雰囲気が違っていた。

「おい、行くぞ」

「あっ、はい」

辺りを見渡すのに没頭していると、ゴルダに行くぞと言われてフウははいと言ってついて行く。
そのままついて行き、目の前で現れたのは下手をすれば少し大きめの屋敷と思うくらいの規模の城。
フウもこれは城なのかと思ったが、以前ゴルダに見せられたリフィルの国章が彫られている門があったのでここが城であると認識した。

「あらゴルダさん」

「っと…ああ、コロンか。また遊びに来たのか?」

城の敷地内を歩いていると、見慣れた顔に出会ったので、ゴルダが誰かと思い出すとそれがコロンであることが分かった。
しかし、今日のコロンはまた1人見知らぬ顔触れの者を連れて来ているようだ。
見た感じ、コロンと似ているところもあるのだが雰囲気が全く違っている上に若干コロンよりも背が低い気がする。
ただ、首輪だけは雰囲気が同じだったが。

「その子は?」

「ああ、フウと言ってな…」

コロンの連れているもう一方が誰なのかを考えていると、フウのことを聞かれてゴルダは コロンにフウのことで知っていることを全て話す。
するうとコロンはふふっと笑うと

「大変ですね、でもそうやって責任持って誰かの面倒を見る人。私好きですよ」

責任を持って面倒を見る者は好きだと言う。
それにゴルダはそうか?と当たり障りのない口調で返事を返し、コロンに逆にその連れている子は誰なんだと聞く。
するとコロンは

「えーっとね、この子は私のいとこのモカ」

「こんにちは、モカです。コロン姉さんから話は聞いてます」

「これはどうも、ゴルダだ」

「えっと、あの、その…フウです。白牙フウ」

モカに挨拶され、普通に名乗り返すゴルダに対し、フウはあまり初対面の相手への挨拶の仕方が分からないのか、おどおどしながらも自らの名を名乗った。

「あらあら、フウちゃんったら」

そのフウの様子を見て、コロンはそんなことを言う。
これにはフウも顔を赤くするほかなかった。

「ねえねえ、フウ君。遊ばない?」

「えっ、遊ぶって何をして?」

そんなフウに、モカが唐突に遊ぼうと言ってきたので、フウはドキッとして何をして遊ぶのかと聞く。
だが、モカはただニコニコするだけで何も答えない。
すると、ゴルダが

「折り紙でもしたらどうだ?」

折り紙をしたらどうかと提案。
するとモカとコロンがいいわねと言って、近くの石造りのテーブルと椅子の所へ行く。
それに釣られてゴルダとフウもそこへ行ってそのまま座る。

「折り紙くらいなら…ほら」

椅子に座ったゴルダは、どこからともなく数十枚の折り紙を出してテーブルの上へ置いた。
フウはそれを見て、これはなんなのかとゴルダに聞く。
それにゴルダは

「この世界の裏の大陸の方の国と、異界のとある国の昔ながらの遊びだ。どれ、試しに何か折ってみよう」

そう言って、ゴルダは折り紙を1枚取ってコロンたちが分かりやすいようにゆっくりと折り出す。
なお、モカはゴルダのを真似るようにして自分でも折っている。

そして数分後。

「ここをこうして、最後に調整したらこれで蝶の完成だ」

ゴルダが折り上げたのは蝶だった。
しかもそれだけではない、その折り上げた蝶に若干の魔力を込めると、先ほどまでただの折り紙だった蝶はひらひらと命でも吹き込まれたように舞い出したのだ。

「すごいわ、こんなこともできるのね」

「永続的ではないが、な。できるようになると面白いぞ」

コロンにすごいと言われて、ゴルダは永続的ではないができるようになれば面白いと返す。
一方、ゴルダのを真似て同じものを折っていたモカはと言うと

「うーん…」

途中で折るのが止まっていた。
それを見たゴルダは、モカに

「そこで止まっていたか、そこからはな…」

その途中からの折り方を直々に教える。
するとどうだろうか、途中で止まっていたモカの蝶が完成したのである。

「他のはないのかしら?」

とコロンに聞かれ、ゴルダはあるぞと答えてモカとコロンとフウの3人にそれぞれ折り紙を渡して

「少し簡単なものを折ってみるか」

と言って別の物の折り方を教え始めた。
ちなみに何かと言うと、オードソックスな鶴。
これを、時間をかけてゴルダは3人に折り方を教えたのだ。

「できたわ」

「できたー」

「できたよ」

それから5分ほどで、ゴルダが折り終わると同時にフウたちも折り終えた。
3人の折り終えた鶴を見て、ゴルダはいい出来だと言いたげな顔をして

「じゃあ今度は自分たちで折ってみろ。俺はなにもしないから」

3人に自分で折りたいものを折ってみろと言う。
するとコロンは、すぐに思いついたのかまた新しい折り紙を取って何かを折り始めた。
モカとフウはというと、2人で何を折るかを話し出す。

「こんなところで折り紙?」

「ここはそんなに寒くないだろ?」

3人がそれぞれ折っているのをゴルダが見ていると、そこへアルガティアがフィルスを連れてやって来た。
なお、3人とも折り紙に夢中でアルガティアには気付いていない。
そんな3人を見て、アルガティアはゴルダに折り紙を1枚出すように言う。
ゴルダは、何をするのかも聞かずに折り紙を出してアルガティアへ渡す。

「こうするの」

すると、アルガティアはその場で立ったままその折り紙で鷲を折り、魔力を込めて数分だけ自立するようにして3人の方へ飛ばす。
折り紙で折られた鷲は、本物さながらの動きをしながら3人の目の前で急降下した。
それにコロンたちはびっくりして、その折り紙の鷲が飛んできた方を見る。

「ご機嫌いかが?」

「こんにちは、どちら様ですか?」

ご機嫌いかがと声を掛けたアルガティアに、コロンがどちら様かと聞く。
それを聞いたゴルダは、どちら様以前だという顔をしながら

「一応この国の国王なんだがな、そして俺の従姉妹」

この国の国王で自分の従姉妹だと3人に教える。
それを聞いたコロンは、へっ?という顔をしてアルガティアを見てから、どちら様かと聞いたことを慌てて詫びようとした。
だが、それを言う前にアルガティアはコロンを制して

「いいのよ、礼儀さえなっているなら。アルガティアよ」

礼儀さえなっているならそれでいいと言ってから名を名乗る。
一方フィルスは、我関せずと言った感じで3人をじーっと見ていた。

「こ、コロンと言います」

少しの間を置いて、コロンは自らの名を名乗った。
それに次いで、フウとモカも名を名乗る。

「うふふ、せっかくだからもう少し複雑なの教えるわ」

3人が名乗った後、アルガティアはもう少し複雑なのを教えると言って3人の間に割り入るように座る。
それと同時に、フィルスはテーブルの真ん中辺りに座って単独で折り紙を始めた。

「さっきの鷲ってどうやって折ったんです?」

「鷲?慣れなてないと難しいけどいい?」

「大丈夫、やってみます。教えて下さい」

コロンにさっきの鷲をどう折ったのかを聞かれて、アルガティアは慣れてないと難しいがいいかとコロンに聞く。
その問いに、コロンは大丈夫です教えて下さいと返した。
その返事を聞いたアルガティアは、分かったわと頷いて新たに折り紙を4枚出す。
フウとモカにも折らせるようだ。

「ふっ…いい雰囲気だ」

完全に蚊帳の外なゴルダは、その様子を黙って見ていた。

「こうです?」

「長めに取りすぎね、もう少し短く…そう、そんな感じで」

「これでいいのかな?」

「うんうん、いいのよ」

逐一確認してくる3人に、何も言わずに その都度教えるアルガティアの姿はとても微笑ましいものがあった。
なお、この後コロンたち3人はそれぞれ微妙な出来ながらも鷲を折り上げたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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