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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

ライノートとゴルダと

昼のラジオ番組が室内に垂れ流されているゴルダの家の居間。
今日はライノートがトスカと共にアルカトラスに会うためにやって来るので、ゴルダはセイグリッドまで2人を連れて行くという仕事を請け負った。
だが、約束の時間になってもトスカとライノートはやって来ない。
トスカが約束をすっぽかすような相手ではないとゴルダは確信しているのだが、それにしても来るのが遅い。

「ああサフィか、もうしばらく爺さんに待ってるように言っといてくれ」

「まだ来ないの?どういう神経しているやら」

「約束を破る奴ではないんだがな、とにかく頼んだぞ」

「はいはい、だけど次はないからね?」

サフィに2度目の遅れるからもう少し待ってくれという電話をしたゴルダは、電話を切ると頭を抱えてどうしたもんかと呟く。
そう呟いた直後、玄関の扉をノックする音がした。
ようやく来たのかと、ゴルダが扉を開けるとそこにはトスカと、話に聞いていたライノートが立っていた。
髪の色はトスカより少し明るめで、少々ツンツンしている以外は足もトスカと瓜二つで、赤いストールのような物を着こなしている。
ちなみに、身長はゴルダより10センチほど上だろうか。
そして、なぜだか紫のウサギにも似た竜がライノートの肩に止まっていた。

「ゴルちゃん、遅れちゃっってごめんなさいねー」

「遅れて申し訳ないです、トスカ君が準備に手間取ってしまって」

2人に謝られ、ゴルダはまあいいさと言ってすぐに出る準備をする。
セイグリッドまでは、3人まとめての座標指定テレポートを使った。

「ここですか。大きい城ですね」

「これでも小規模だがな、異界のはもっと大規模なものだと聞くが」

城のすぐ目の前までテレポートしたゴルダ一行。
ライノートに大きい城だと言われ、ゴルダは異界のはもっと大規模なものだと返す。
そう返されたライノートは、かすかに笑いながら

「そうなんですね」

と言った。
そして、アルカトラスを待たせているということもありそそくさと城内へ。
中ではサフィがようやく来たのねと呆れ顔で出迎えた。

「あっ、では僕は国王さんと話をしてくるのでトスカ君は待っててください」

「やだぁーっ!分かったわー」

サフィに案内されてアルカトラスのところへ行くライノートから、あのウサギにも似た紫の竜がゴルダの方へ飛んできて頭の上に止まった。
ゴルダは何だと最初は思ったが、トスカに

「ゴルちゃん、この子にこれあげてみて?」

と人参を渡された。
ゴルダはどういうことだ?とは思いつつも、その竜に人参を与えてみると竜はものすごい勢いで人参を食べ終えたのだ。
どんな竜なんだと思っていると、トスカはこんなことを話す。

「この子はドラビットという私と同じ種族よー、人の姿は取ってないだけでね」

この紫のウサギにも似た竜は、ドラビットと言って、人の姿ではないにしろトスカやライノートと同じ種族なのだという。
ドラビットは、人参を食べ終えるとゴルダの後頭部を尻尾でぺしぺしと叩き出す。

「やだぁーっ!この子ゴルちゃんのこと気に入ったようだわ。元々ライちゃんに勝手について来た子なんだけど」

トスカにこのドラビットが自分を気に入ったと言われ、ゴルダはぽかんとする。
正直なところ、養えはしてもこれ以上同居人が増えてもめんどくさいだけだからだ。
だが、このドラビットという竜は帰れと追い払ったところで帰ってくれそうにはない。

「参ったな」

なおも後頭部をぺしぺしされながら、ゴルダはトスカと向かい合いながらそう呟いた。

一方、ライノートはというと。
アルカトラスの大きさに少々圧倒されつつも、一通りの挨拶はしていた。

「どうも初めまして。ドラビット族長ライノートです」

「一応この世界の二神の一神、アルカトラスだ。今後とも見知り置きを」

二神の一神だと聞いて、ライノートがはて?という顔をしたのでアルカトラスはどうかしたのかと聞く。
それにライノートはやはり笑って

「いえ、何でもないです。国王さん」

「そうか、なら良いのだが」

何でもないと話を濁す。
それにアルカトラスは本当にか?という顔をしつつもそうかと返した。
気まずくなると笑ってその場を濁してやり過ごす。
それがライノートのやり方なのだ。

「お茶よ」

「これはどうも」

お茶を持ってきたサフィに、ライノートは礼を言ってアルカトラスとの話を進める。

「本題に入りますが、今日は単純に挨拶と私どもの世界とこちらの世界との行き来を今後自由にしてほしいという依頼です」

両者の世界の行き来を自由にして欲しいと頼まれ、アルカトラスは少し考えた後にどこからかライノートの世界に関する書類を出してきてこう話す。

「特に他の世界と問題を起こしている様子もなし、行き来を自由にしてもさほど問題は無かろう。許可する」

「これはこれは、ありがとうございます」

許可するとの即答を受け、ライノートはすぐさま頭を下げてアルカトラスに礼を言った。

「ライノートに言ってこいつ迎え入れるか」

「いいんじゃないかしらー?」

またその頃、ゴルダは頭に乗りっぱなしのドラビットを見て、迎え入れようかと考えを改め始めていた。
それに対してトスカは、いいんじゃないかしらというなんとも無責任な返事を返す。
そこへ、アルカトラスとの話を終えたライノートが戻ってきて

「ああ、そこに居たんだね。でも君が気に入ってしまったのかな?離れる様子もないね」

ゴルダの頭の上に乗っているドラビットを見てそんなことを言う。

「報酬はいい、代わりにこいつを迎え入れていいか?」

単刀直入に、このドラビットを迎え入れていいかどうかをゴルダはライノートに聞く。
それにライノートは仕方ないよねという顔をしながら

「間違いなく帰るよ言っても聞かないだろうからね。僕は全然問題はないんだけど、あなたがどうかな?と思ってね」

問題は無いと言う。
ゴルダはそうかと言って、今度はどこからか出したドライフルーツをあげながら

「よし、今日からお前はマティルーネだ」

マティルーネと名まで付けたのであった。
その後、どうなったのかというと今まで以上にトスカが押し入るような感じで遊びに来るようになったという。
なお、度々ライノートも訪ねてきてはアルカトラスとも会っているらしい。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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