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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

定期診察-アルガティア

そこそこにうだる暑さのある日のことだ。
自分で従者に用意させた天然水仕込みの氷をナイフで削ってかき氷を作っているアルガティアの所へ、ルライエッタとエルリスが唐突にやって来た。
アルガティア何用かとは一言も聞かず、どこからか自分のカルテを出してルライエッタに渡す。
ルライエッタはそれを受け取ると、ざっと目を通してから

「健康状態に注意すべき点はなし。エルリス、記録しとけ」

「はいはい師匠」

注意すべき点ないと言い、エルリスに記録して置くように言う。
ちなみに、エルリスはルライエッタの弟子に当たる関係である。
そんなエルリスとルライエッタが今日は何をしに来たのか?
それはアルガティアの裏の性格を制御しているとある『鍵』の定期的な診察。
特にペースは決まっていないが、年に数回はこうやって訪れる。

「エゼラルド呼んでこい」

「ほいさ」

診察を始める前に、ルライエッタはフィルスにエゼラルドを呼んでこいと言う。
エゼラルドもこの『鍵』に深く関わっているので、アルガティアを見る時は必ずエゼラルドも見る。
なおエゼラルドが来る間、アルガティアはひたすらに氷を削っていた。
その量は、あからさまにエルリスとルライエッタの分まである。

「食べるでしょ?」

「ああ」

「いただきます」

もう削ってんだしという意味合いで食べるかと聞かれ、ルライエッタとエルリスはそれぞれ頷く。
そこへ、フィルスがエゼラルドを連れて戻って来たのでルライエッタはエルリスに自前のアルガティア用のカルテを開かせていつもの診察を開始。
診察とは言っても内容は簡単なもので、『鍵』に異常がないかというのと、エゼラルドがしっかりアルガティアの裏の性格を制御できているかを見るくらい。
それ以外には、アルガティアにこれと言った持病もないので後は城の専属医が記録しているカルテを見るだけでいい。

「ん…?」

「ああ、分かっちゃったんだ」

だが、今日は何かが違った。
エゼラルドとアルガティアのリンク状態を調べていたルライエッタが、突如首を傾げたのだ。
どうしたのかとそれを察したエゼラルドを尻目に、エルリスがルライエッタに聞くと

「どうにも、制御のリンクが独自の変化を遂げているようでな。ある程度の圏内ならば互いに離れていても制御に差し支えがなくなっている」

エゼラルドとアルガティアの制御のリンクが、ある程度離れていても一定の圏内なら制御に差し支えない状態になっているという答えを返されたのだ。
しかも、ルライエッタはそうなった原因が分からんと言い切る。

「分からんなら、里へ戻って考査すればいいんじゃないんですか師匠?」

「ヌウゥーッ」

里へ戻ってから考査すればいいのではとエルリスが言ったのに対し、ルライエッタはここで解を出したいと言わんばかりに唸る。
その一方、どこ吹く風のアルガティアは氷を削り終えてエゼラルドから適当に果物を出してもらってそれを盛り付けていた。
診察されているにも関わらず、こんなことをしているのは流石としか言いようがない。
一方まだ唸っているルライエッタとエルリスは、そんなアルガティアを一切気にしていない。
互いが互いに、いちいちそんな細かいことを気にしても仕方ないと割り切っているからだろう。

「食べないの?」

やたら果物を盛っただけのかき氷を食べながら、アルガティアはエルリスとルライエッタに聞く。
フィルスはなんだかんだで、何も盛ってない上にシロップすらかかってない削り氷だけを無心で食べている。
エゼラルドも同様だが、時折果物を氷に乗せて食べていた。

「少し頭冷やしたらどうです師匠?」

「お前には言われたくない台詞だ」

頭を冷やしたらどうかと言われ、削り氷だけが盛られた器を取りながらルライエッタはエルリスにそう返す。
なお、ルライエッタはどこからか自前のシロップを出し、それをこれでもかと言わんばかりにかけて食べていた。
一方エルリスは一切手をつけず、黙々とカルテに記入していたという。
やがてかき氷を食べ終えたルライエッタは、アルガティアとエゼラルドにこれはもう少し調べてみないと原因が掴めないと言ってその日は帰ったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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