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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

アルカトラスと思ったら別竜だった

どういう理由かは判然としないが、雨月と輝星という珍しいコンビがセイグリッドへ遊びに来ていた。
ちなみに、今日はアルカトラスは異界での会談で留守にしているのだが、そんなことは2人とも知る由もない。
とりあえず城の本館までやって来たのだが、いつもは出迎えてくれるはずのサフィが今日は姿を見せなかった。
どうやら今日のサフィは忙しいらしい。

「…長居は出来そうにないのだ」

「えー?」

長居は出来そうにないと呟いた雨月に、輝星はえーと言って、アルカトラスがいつも仕事をしている書斎の方へ行ってしまう。
無論、雨月も輝星の後を追いかけたが、輝星の走る速さに追いつけず歩いて後を追うことにした。

一方アルカトラスの書斎では、シアとエシュフィルトがアルカトラスがすっぽかして行った今日中に処理しなければならない書類を片付けていた。

「全くもう、少しくらいやってから行けばいいものを」

「ほぼ全て申請書に対する返答ね」

「あなたが今持ってるの全部却下の返答だから、そこに置いてあるそれぞれの封筒に入れて封して」

「はーい」

こんな感じで、エシュフィルトとシアが書類の整理をしていると、誰かが書斎の扉をノックした。
お茶などは頼んでないので、サフィが来るはずもない以前に今日は忙しいから必要以上に呼び出すなと言われていたので違うとシアは確信して

「エシュフィルト、悪いけど出てくれる?」

エシュフィルトに出させた。

そして場面は変わって、輝星。
アルカトラスの書斎の前にたどりついて、扉をノックする。
すると、出て来たのは桃色の髪に黄色い目をした桜色の不思議なローブ姿の少女。

「中へどうぞ」

「えっ?うん」

少女に入っていいと言われて入った輝星に次いで、息を切らしながら走ってきた雨月も書斎へと入った。
書斎へ入ると、パッと見た感じではアルカトラスと同じ姿の竜が少し不機嫌な様子で仕事をしていたので、雨月は

「忙しい所に来て申しわけないのだ、アルカトラス殿」

と何時もの調子で言う。
するとその竜は、ちょっと待てと右前足を出す。
一方の輝星は、本当に微妙な魔力の違いを感じ取って

「アルカトラス様じゃない?じゃあ誰?」

アルカトラスではないと見切り、では誰なのかと聞く。
ここで、改めてこの竜を見てみるとアルカトラスと違う点が2つある。
1つは角が4本という点、もう1つは目が青ではなく赤いという点だ。
はたして、この竜は一体何者なのだろうか?

「誰と聞かれたら答えるのが礼儀ってものよね、私は実質上のアルカトラスの妹のシアよ。アルカトラスは全くの他人同士で突き通してるけど。あとあなた方2人とそのお仲間の話はアルカトラスから聞いてるわ」

ここで、アルカトラスではないと輝星に見切られた竜は、シアと名乗り、アルカトラスの妹であると話す。
雨月と輝星は、なるほどと納得し、それはそうとそちらの方は?と雨月はシアの横にいる少女のことを聞く。

「シア様の弟子のエシュフィルトです」

すると、少女自らシアの弟子のエシュフィルトであると名乗った。
エシュフィルトに名乗られたところで、挨拶を忘れていた雨月と輝星はシアとエシュフィルトに挨拶する。
その後、今日はどうしたのかとシアに聞かれてただ遊びに来たことを話すと、アルカトラスが今日は居ないことを2人は聞かされた。

「そうそう、私はこの世界の生命の創造神で管理者なのよ。知ってるとは思うけど、アルカトラスはこの世界そのものの管理者で創造神ね」

「なるほどなのだ」

「わーすごーい」

あくまでも純粋さを見せるためなのかなんなのかは不明だが、輝星はシアが生命の創造神にして管理者と聞いて目をキラキラさせていた。
さらに輝星は

「ねえねえ、エシュフィルトって何しているの?」

エシュフィルトに何をしているのかを聞く。
なお、輝星がエシュフィルトを呼び捨てで呼んでいるのは、本人がさん付けはやめてほしいと言ったからである。
その問いに対するエシュフィルトの返答は

「癒術師、って言って分かるかな?」

というものだった。
当然輝星は癒術師という職は聞いたことがないので、首を傾げた。
エシュフィルトはそんな輝星にそんなことも分からないのかなどという態度は取らずに

「白魔導師って言ったら分かるかな?要するに魔法による医療行為を行う職のことよ」

丁寧に説明。
すると輝星はそういうことかと納得した素振りを見せてくれた。

その一方で雨月はというと、すでに今日中に処理しなければならない書類を全て片付け終えたシアにもふられていたというよりは、前両足の間に座らされて抱かれていると言った方がいい状態であった。
そんな雨月は、やめぬかとも言えず照れている様子。

「わあ、肌触り良さそう」

「シア様の機嫌次第だけど、いつもは肌触りは最高よ」

などと、遠回しにいいなと言っているエシュフィルトと輝星。
するとシアは、そんな2人を引き寄せて3人まとめて抱いたのだ。

シアの毛の肌触りは、こういう経験など皆無の雨月も、経験があるエシュフィルトに輝星ですらも骨抜きにするほどのものであった。
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