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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

側近としての覚悟、使い魔としての覚悟

梅雨明け後のジメジメした感じの残る中、ゴルダはエルフィサリドからの遊びに来いという伝言で、氷麟に乗ってスリュムヴォルドへやって来ていた。
しかしその途中で偶然シスイと出くわし、シスイの方が

「あら、調子はいかが?」

と聞いてきたので、ゴルダは氷麟から降りて変わらんと返す。
そしてそのまま話し込んでしまい、これはしばらく動く気はないなと氷麟は横でじっと話を聞いていた。
ある程度話をしていく内に、シスイの方からゴルダはこんな話を持ち出された。

「あんた、エルフィサリドの側近だったわよね?それで思ったんだけど、側近としての覚悟はあるの?」

側近としての覚悟はあるのかと聞かれ、ゴルダは迷わずに

「無論ある、当たり前だろうが」

あると答えた。
それにシスイは、片目だけを開けた状態で

「具体的には?」

少し意地悪そうに具体的にはどんな覚悟があるのかと聞く。
ゴルダは具体的にはと言われて

「ウゥーム」

少し唸りながら考えたが、ここで急にエルフィサリドとの約束を思い出し、シスイに

「エルフィーとの約束を思い出した、じゃあな」

エルフィサリドとの約束を思い出したと言って、氷麟に乗って逃げるようにそこを去った。
なお、ゴルダがエルフィサリドのことをエルフィーと言っていたが、これは本人公認の呼び名だと言う。

「さて、ちょいと驚かしてやるか」

「あそこへ飛び込むのか、朝飯前かな」

城の前へやって来た2人は、エルフィサリドの部屋のバルコニーを眺めてあそこへ飛び込もうかと考えた。
なお、氷麟はどんな荒地でも山道でも平原のように走ることが出来、エルフィサリドの部屋のバルコニーの高さまでならば、ゴルダを乗せてでも普通に飛び込むことが可能だ。

「いくよ?」

「おうよ」

少しばかり助走をつけ、氷麟は一気に飛び上がったかと思えば、あっという間にエルフィサリドの部屋のバルコニーへと着地。
無事エントリーに成功したのであった。

「おい、来た…」

そして氷麟から降りて部屋へ入った瞬間、ゴルダの頭上に金だらいが落ちてきた。
しかしゴルダは、それを難なく受け止めて横へ投げると

「お前の仕業か」

目の前に居た緑髪を幾つかに分けて束ねたシアンの目のエルフの少女を見る。
しかしそのエルフの少女は、突然飛んで来たエルフィサリドの尻尾ビンタで横へ吹っ飛んだ。
それを氷麟はどう言うことだと見ていたが、その直後に緑の竜が現れたのでこの者の尻尾かと確信した。

「いらっしゃい」

「お、おうよ」

エルフィサリドはいつものようにゴルダの頭を尻尾でペチペチと叩いて挨拶の代わりとしていたが、氷麟はこれを何なんだと見ている。
その後、エルフィサリドは先ほど自分が尻尾ビンタで吹っ飛ばしたエルフの少女を紹介した。

「これが私の使い魔のネルシェよ、こんな姿だけど一応風の精の類」

「ほう」

エルフィサリドに使い魔であるネルシェを紹介され、ゴルダはほうとだけ呟く。
そんなネルシェは、ゴルダをまじまじと見て

「あんたが側近なのねえ、ふーん」

いかにも興味がなさそうな表情をしはしたが、氷麟の姿を見て何かのスイッチが切り替わったように

「ねえ、あの馬あんたの相棒?」

氷麟の話を突然切り出して来たのだ。
それにゴルダは気を良くしたのか、しばらくネルシェといろんな話を続けた。
その中で、ネルシェが

「あんたって、覚悟ってのはあるの?エルフィサリドの側近としての」

シスイと同じようなことを聞いてきたので、ゴルダは

「側近としての覚悟?エルフィサリドが間違っているならば、正しき道に導き直すとかそういうのか?」

などと、シスイに具体的にはどうなのかと聞かれて考えていたことを答える。
ネルシェはそのゴルダの解に、少しだけ正解ねとでも言いたげな表情をして

「要するに、本当に『守れるか』どうかよ」

本当に守れるかどうかだと言い放つ。
ゴルダはそれを聞いて、シスイが聞きたかったであろう解を導き出した。
それは何かというと、いかなる場合でも従は主を守り、誤っているならば正しき方向へ直すというもの。
これを簡潔にしたゴルダはネルシェにこう言う。

「守るべき時に守り、誤っているなら正す。そうだろ?」

それに対してネルシェは

「そうよ」

とだけ返す。
そして、ゴルダは己自身にその覚悟がまだ足りないと薄々自覚していたのであった。
だがしかし、それも緩やかに自覚していくことだろう。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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