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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

3倍もふもふ

初夏がようやく訪れ始めたリヴァルス。
春の頃に比べて、吹雪が吹く頻度も落ち着いて観光するにはもってこいの季節になりつつある。
実際、リヴァルスには異界の暑い地域から避暑に来る者が一番多かったりする。

「寒い」

「そらそうだ」

そんなリヴァルスの雪原の中で、ゴルダはフィルスとアルガントを連れてシェリスの所へ向かっていた。
何故フィルスが着いて来ているのかというと、当の本人にリヴァルスウルフを見てみたいと言われたから。
アルガントはなぜか一緒に行きたいと言ってきたので、連れて来たまでである。
やがて、リヴァルスウルフが寝床にしているエリアまで来るとシェリスの配下らしき3匹が現れてアルガントとフィルスのにおいを嗅ぎ出す。

「何してるの?」

フィルスに聞かれ、ゴルダは敵意がないかを確認していると説明。
一方のアルガントは完全にビビっていたので、ゴルダは3匹にこいつを泣かせるなよと一応忠告。
3匹は、ゴルダを善処はするという目で見てから嗅ぎ終えた。

「行くぞ」

3匹がフィルスも嗅ぎ終わったのを見計らい、ゴルダはシェリスの所へ案内するよう言って、フィルスとアルガントにも行くぞと言う。
そしてやって来たのは、シェエリスが率いる群れが住んでいる森の中の少し開けた場所。
シェリスは、そこでゴルダを今日も遊んでくれるの?という目で見ていた。

「その2人は友達?」

シェリスに聞かれ、ゴルダは似たようなもんだと答えるついでにアルガントとフィルスをシェリスに紹介。
するとシェリスはアルガントの方へ近づき、イタズラ半分に唸って威嚇した。
アルガントはそれにかなり驚いたようだが、負けじと八重歯を見せて威嚇し返す。

「面白い子」

威嚇し返されたシェリスは、アルガントにそう言って今度はフィルスの方を見る。
しかし、シェリスは数秒フィルスを見ると思ったとおりと呟いてゴルダに向き直った。

「どうした?」

まるで知っているかのようなそぶりのシェリスに、ゴルダはどうしたと聞く。
シェリスはそれに

「だって、カーバンクル種は昔見たことあるもの」

と返す。
ゴルダとフィルスは同時にどういうことだと思い、顔を見合わす。
ここでシェリスは、遊んでよと言わんばかりにゴルダに飛びかかったかと思えば、そのまま押し倒した。
しかしゴルダは、押し倒されても動じずにされるがまま。
その後10分くらい一方的にシェリスにじゃれつかれたところで、フィルスはシェリスの頭に乗る。
シェリスはさほど気にする様子もなく、今度は他のリヴァルスウルフたちに注目されているアルガントのところへ行き、鼻先で転がす。
アルガントはそれに何するんだよという顔をし、若干機嫌を悪くしたようだ。

「かわいいじゃない」

「むー」

シェリスに鼻先で小突かれながらからかうように言われて、アルガントはさらに機嫌を悪くする。
それを見かねたフィルスはシェリスに

「機嫌悪くしてるから、これ以上はダメだよ」

と諭す。
しかしシェリスは聞く耳をもたずになおもアルガントをいじる。
やがて、流石にキレたアルガントがシェリスに噛み付いたところでゴルダが

「いい加減にしとけ」

と言ってシェリスはようやくアルガントをいじるのをやめた。

それから1時間後。
フィルスはリヴァルスウルフたちの様子をゴルダの頭に乗った状態で記録し、アルガントはゴルダから離れようとせず、シェリスはゴルダのそばで座ってくつろいでいた。
この状態は、まさにもふもふが3つでまさに3倍もふもふである。

「ねえ」

今さっきまで座っていたシェリスが、ゴルダに対して何やら意味深に誘うような仕草をしたのでゴルダは一言

「どういう意図かは分からんが、俺はやらんぞ」

と言い放つ。
するとシェリスは冗談よと言ってまた同じ場所に座る。
ゴルダはそれに何なんだと思いながらも、またもふもふに囲まれる。
しかし、先ほどのシェリスの誘うような仕草のせいか、他のリヴァルスウルフたちがゴルダ周りに集まってじっとこちらを見るようになった。
そのおかげか、余計にもふもふ度が増したのだが。

「うーむ」

異常なまでにもふもふに囲まれたゴルダは、物思いにふけるように呟く。
森の外からは強い風が吹く音がしており、早く帰らないと吹雪で帰れなくなりそうである。
リヴァルスでは初夏でもたまに吹雪くのだが、その吹雪は春のものよりも厄介。
それはなぜかと言うと、春の吹雪に比べて初夏から夏にかけて吹く吹雪は、とにかく止みにくい。
シェリス曰く、初夏から夏に吹雪が吹くと 最低3日は活動できないとか。

「帰ると言いにくいな」

シアに抱きつかれでもしない限り、ここまでもふもふに囲まれることもそうそうない上にフィルスはまだ記録を続けている。
なので、下手に動くことも帰るぞとも言えない。
これではまるで八方塞がりならぬ、もふもふ塞がりだ。

「ぬぅ、ついに吹雪いてしまったか。まあいい、座標指定テレポートで帰れないことはない」

そうこうしている間に、ついに吹雪く音が森の外から響いて来た。
一応、座標指定テレポートで帰れないことはないのだが。

「考えても無駄よ、今日は1日帰さないから」

シェリスに帰さない宣言をされ、ゴルダはただただむぅと言うだけだった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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