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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

聖竜布の話

聖竜布とは、アルカトラスとシアの抜け毛を特殊技術により糸へ加工したのち、布に織ったものである。
アルカトラスとシアほどではないにしろ、この抜け毛1本でも半永久的に相当な魔力を有する代物。
なので、この抜け毛を狙う輩も居ないわけではなく、アルカトラスが取り扱いに細心の注意を払わせるほどである。
しかもこの抜け毛、普通に加工しようとしてもまず無理で、前述した特殊技術での加工でなければ羽毛布団の羽毛の代わりにするか、クッションにでも入れるかしかない。
さらに、この特殊技術を有する職人はセイグリッドにしか居ない。
それはなぜかというと、アルカトラスが悪用対策として職人を手厚く保護しているからだとか。

聖竜布は、アルカトラスとシアの年3回ほどの換毛期で発生する抜け毛1回分で、ようやく1人分の衣服を作る布しかできないという大変貴重な物。
無論、抜け毛は聖竜布への加工のみに使われるわけではないが、内訳としては聖竜布への加工が9割5分となっている。
なので、聖竜布で作られた衣服を着れる者は王族か相当な富豪くらいである。

なお、聖竜布の特徴として、一度衣服に加工してしまえばフリーサイズになるというのがある。
これは、アルカトラスとシアの抜け毛に宿る魔力のせいであることはすでに解明済みである。
そして、着用者の潜在魔力を引き出す能力や、各種魔法属性への強い耐性。
さらに剣で切りつけても槍で突こうが、よっぽどのことがない限りそれら武器による攻撃を受け付けないなどがある。

ここで、この聖竜布を使った衣服の着用者が本当に居るのかという話になるが、ここではアルガティアとサフィの2人を出しておく。

最初の着用者はアルガティアであるが、これはいつも着けている正装ローブがそうである。
一応、国王即位の時に授けられたものらしい。

「いつも見てるけど、そにローブって洗っている?」

今日もいつものように国務をしていると、フィルスがそんなことを聞いて来たのでアルガティアは

「軽い手入れだけしかしてない、気付かないうちに綺麗になってるから」

いつの間にか綺麗になっているので軽い手入れしかしてないと返す。
そう、アルガティアのこの聖竜布を使ったローブは自浄化能力を持っているらしく、かつてアルガティアが従者に洗わせようとして渡したところ従者に

「アルガティア様、これ洗ったみたいに綺麗ですよ。汚れも臭いもないですし」

と言われたことでその能力に気付き、軽い手入れだけで事済ませるようになった。
しかも、このローブ特有の能力はこれだけではない。
それはアルガティアがエゼラルドに乗って少し城下町まで遠出をした時のこと。
町の中ではエゼラルドから降りて、自分で歩いているアルガティアにイファルシアが

「ねえ、ハーブ系の香水使った?」

と聞いて来たので、アルガティアは首を横に振る。
しかし、アルガティア自身もその匂いには気づいていた。
そう、これこそがこのローブの特有のもう一つの能力で、匂いを複製し、ローブ自身からその匂いを出すというもの。
ただし、臭いは複製して出さないのでその点は安心である。

次なる着用者はサフィ。
サフィの場合は、いつも着けているメイド服の3割が聖竜布で作られている。
なので、アルガティアのように全てが聖竜布で作られているわけではないが、それでも能力は高い。

「ふう」

セイグリッド城の従者執務室で、溶け切らないほどに砂糖が入ったコーヒーを片手に今週の衛生チェック表を眺めるサフィ。
衛生チェック表は、今日までは特に異常は見られない。

「…」

ここで何かを察したのか、急に座標指定テレポートを使うサフィ。
向かった先は、アルカトラスが仕事をしている書斎。

「うむ、ちょうど良かった。緑茶を淹れてきてもらえぬか?」

「分かったわ」

何故呼ばれてもいないのに、サフィはアルカトラスが緑茶が欲しいと分かったのか?
それは、聖竜布のせいである。
聖竜布は、元はアルカトラスとシアの体についていた毛から作られたもの。
そのために、聖竜布を使った衣服を着用している者は常にアルカトラスやシアとリンク状態となる。
なので、呼ばれる前に察して駆けつけるということが可能なのである。
ただし、このリンクは一方向性なリンクではなくアルカトラスやシアもまた着用者側とリンクしているのである。
なので、サフィやアルガティアはアルカトラスやシアの事で変な事を考えることはできない。
最も、それ以上の恩恵があるので誰もそんなことは考えないだろうが。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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