氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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狐少女と狼少女とゴルダ

今、ゴルダの目の前には狐と狼の亜人族の少女が何かを期待するかのような目線を投げかけている。
この2人はゴルダがとある理由で保護し、この世界の出身ではないことと狐のほうがりりで狼のほうがるるという
名前であることしか分からない。

「参ったな」

ゴルダは街中でそれぞれの髪の色に合わせたへそ出しの服装の少女らの目の前で思慮にふける。
保護した時の状態が状態だったので最初は2人ともゴルダを警戒していたものの、
危害を加える相手ではないと判断したのかりりのほうは警戒を解いてくれたが、
るるだけはゴルダに牙を見せて威嚇するなどまだ警戒を解いてくれない。

ちなみに、この世界で相手に牙を見せるというのは喧嘩を売っているという意思表示になるのだが
ゴルダはそんなことは全く気にも留めない。
むしろ気にするのはならず者を含めたガラの悪い連中ばかりである。

「そういえばお兄さんの名前聞いてないよ?酷いことしないなら教えてほしいな」

りりにお兄さんと呼ばれてゴルダは複雑な気分になった。
なぜならばゴルダの実年齢は200代、とてもお兄さんと呼べる年ではないのである。
それだけ若く見られているということかと思いながらも、りりに一言だけ

「ゴルダ」

と自らの名を名乗った。
りりはその名前を聞いてこう返す。

「かっこいい名前だね!」

一方るるはゴルダとりりが普通に会話をしているのを見て、
何か言いたげな
視線を投げかけていたがゴルダはそれに気づかず

「移動しよう。ここではちょっと話がしにくい」

りりとるるに場所を移動しようと言い、ついて来るよう促す。
るるはそんなゴルダを睨みつけながらもりりと共について行く。

「いらっしゃい、ずいぶん長い間来てくれなかったじゃないの」

「こっちもいろいろある。それくらい汲み取ってくれ」

さすがにいつものカフェではダメと判断したのだろうか、
やって来たのはシャールイズの経営するカフェYrizer(イェリゼラ)。
このカフェならばゴルダを狙う輩が来てもシャールイズが潰してくれるのでまず問題はないといったところか。
欠点としては店内が最小限の照明しかなく暗いところだろう。

「小さいお客さんね」

シャールイズがりりとるるを見てニヤリと笑いながら言う。
ゴルダは手を出すんじゃねえぞという目でシャールイズを見て適当に注文。

「いいわ、ごゆっくり」

注文を聞いたシャールイズは店の入り口の表記を閉店に変え、
誰の邪魔も入らないようにしたうえで店の奥へと消える。
なぜシャールイズがこうしたのかというと、
ゴルダがした注文の中に

「誰の邪魔も入らないようにしてくれ」

という意味合いの注文が紛れていたからである。

「るる、そんなに拗ねるな。だが今から大事な話するから耳だけは貸してほしい」

しゃべろうともせずそっぽを向いたままのるるにゴルダはそう言って、
2人をこの後どうするかを話す。

「このまま俺が面倒を見るのもいいんだが、元の世界へ帰す方法も模索しなければならない」

だがしかし、それを聞いたとたんにりりが

「こっちでゴルダと暮らすの!絶対離れないもん」

ゴルダと暮らすなどとと言い出し、出身世界へは帰らない宣言をする。
それを聞いていたるるも

「りりが言うなら私も同じ。元の世界へは絶対に帰らない」

りりが言うなら自分も帰らないと断言。
それを聞いたゴルダは片手で頭を抱えてどうすんだ俺と言わんばかりの顔をする。

「ゴルダが助けたせいだね。りりは完全に懐いてるし、るるもほんの少しだけ信用してる」

クェムリーヴェスが割り入って言った一言に、ゴルダはさらに頭を抱えることになった。
さらにそこへ魔力切れ後に敵の援軍と(訳注「泣きっ面に蜂」)言わんばかりにメルムーアが

「ゴルダちゃん、その子たちについてだけど元の世界へ帰す術が今のところないわ。詳しくはこっちへ来た時に」

などと言ったがためにゴルダはシャールイズが運んできたコーヒーを一気飲み。
それが淹れたてのホットコーヒーだとすぐに気付いて

「あちっ」

となった。

ちなみにここで、りりとるるがどうやってゴルダと出会ったのかというと
たまたま依頼を終えて帰路に就こうとしていたゴルダの目に、
異界から迷い込んだものを拉致するなどして人身売買などを行う輩が
2人の少女に拘束具をつけてどこかへ連れて行こうとしていたのが目に留まり、
手裏剣投擲からのデザートイーグル発砲でその輩を撃退。
そのまま保護したのだ。

「いまさら1人や2人同居人が増えたところでなんともないではあるが」

頭の中でそう呟きながら2杯目のコーヒーを片手にりりとるるに、
そんなに離れたくないならば無理に引き離すのも慈悲が無さすぎるので、
しばらくは自分のところに住むように話す。

「あとりりはもう呼び捨てにしていたが、るるも基本的に俺のことは呼び捨てでいい。俺はさん付けされるのは複雑な気分になる」

自分のことは呼び捨てにしろと言われたるるは何で?という顔をしたが
ゴルダがしろと言っているならばしたほうがいいのではと思いながら

「よ、よろしく。ゴルダ」

少しかしこまり気味になりながらよろしくと言う。
ゴルダもそれに答えるかのように

「こちらこそ、りり共々な」

このやり取りからゴルダはりりが素直、るるがあまり素直ではない性格だと判断。
しかしゴルダにとっては素直でないのは大した問題ではない。
るるの性格よりも厄介で付き合い難いものと何度も依頼で関わってきているからだ。

「これおまけ、2人とも食べなさい」

そう言ってシャールイズが出したのはレアチーズタルトだがそうには見えないケーキ。
りりとるるはそれに何の迷いもなく食いつき、食べる。
ゴルダはシャールイズになぜまたと聞いたがシャールイズはそれ以上聞いたら噛むわよと言いたげな
目線を投げかけるだけ。

「やはりお前の考えていることは分からんな」

煙草のようなものを吸おうとしてりりとるるが居ることに気づいて片付けながら
ゴルダはおいしそうにケーキを食べる2人を眺めていた。

その後、Yrizer(イェリゼラ)を出て帰宅したゴルダ。
すでにミリシェンスへはメルムーアから話が通っていたらしく、
特に何も言われることは無かったが

「りり、るる。先にお風呂入りなさい。準備はしてるから」

先に風呂に入れとだけは告げて台所へ。
一方マティルーネはるるに若干の興味を示し、
ルァクルはまた同居人が増えるのかとだけ呟き。
レルヴィンはるるに近寄って匂いを嗅ぎ、自分と同じ匂いがするとゴルダに言う。
それ以外にもレルヴィンは何か言っていたが、ゴルダには自分と同じ匂いがする以外は訳せなかった。
なお、ヘフィアは所用でアストライズへ行っていて今日は居ない。

「おいおい、服はどうするんだ」

りりとるるが風呂に入っている間、ゴルダはミリシェンスに着替えをどうするのかと聞く。
するとミリシェンスは聖竜布の服を取り出した。
半袖と半ズボン1組で真っ白、サイズがだいぶ大きいが聖竜布の特性で着用者に合わせて変化するので
これと言って問題はない。
だが、この貴重というレベルを超えた聖竜布の服を2組もどこから持ってきたのかは謎のまま。

「ああ、メルムーアが魔法で投げてよこしたのか」

ゴルダはこの服をよこした主がメルムーアで間違いないと思いながら外へ出て一服。
どれくらい時間がたったかわからないが、吸い終わって家の中へ戻ってくるとミリシェンスに

「あなたも入ってきなさい、りりとるるはもう上がったわ」

そう言うミリシェンスの目線の先にはマリオパーティをするりりとるるの姿が。
ゴルダは分かったと返し、風呂場へ。
湯に入る気はなかったのでシャワーだけを済ませて上がってきたゴルダにりりとるるが

「ゴルダ、マリオパーティしよ?」

マリオパーティをしようと誘ってきたので3人でやることに。
その後はミリシェンスの作った夕食を食べ、
ゆっくりしているとゴルダはいつの間にか寝ていた上にカーバンクルの姿へ変身していた。

「あれ、このもふもふ誰?」

「誰だろ?」

目を開けるとりりとるるが自分を不思議そうに見ていたので

「ゴルダだが?」

自分であると言ってみることに。
すると声が同じだったためかりりとるるはゴルダに唐突に抱き着く。

「ぶっ」

いきなり2人に抱き着かれてゴルダは核石に触れられてビクッとしたものの
匂いで引き離す気にはなれなくなった。

「もふもふー」

りりとるるに左右からもふもふされ、
ゴルダはなんとも言えない顔をしながらしたいようにさせる。

「また寝ていたか」

再び目を覚ました時には時刻は日付が変わり午前1時過ぎ。
りりとるるはゴルダに抱き着いたまますやすやと寝息を立てていた。

「どのみちメルムーアの所に行かねばか」

両手に花の状態など眼中にもないゴルダは今後のことを考えながらまた寝る。
メルムーアとシアから何を言われるかも知らずに。

「起きなさい。りりとるるはもう朝食済ませてるから」

ミリシェンスに起こされ、自身の頬を引っ叩きながら目覚めるゴルダ。
一方りりとるるは2人でスマブラの真っ最中。
耳の辺りを掻きながら人の姿に戻り、朝食を黙々と食すゴルダにりりが

「ゴルダ、スマブラやろうよ」

スマブラをしようと誘ってきた。
まだほんのり湯気の立つコーヒーを片手にゴルダは少し考えたのちに

「後でな」

今は食事中だと言って退ける。
りりはそれにえーと言いたげな顔をしつつるるとのスマブラに戻った。

「お寝坊さんね」

「いきなり意思飛ばすな。コーヒー吹きかけただろうが」

突如メルムーアからの意思飛ばしが入り、ゴルダは吹きかけたコーヒーを飲み込んでから応答。
言わずともりりとるるを連れてこいとのことだろう。

「りりとるるの件か?」

「ええ、今日中に必ずきてね」

ミニトマトを食べつつメルムーアに聞くゴルダ。
メルムーアはそれを肯定、暇が出来たら今日中に一度来るよう告げて意思飛ばしをやめた。

「ゴルダ、スマブラ付き合って。りり弱い」

「弱いって何よー、るる吹っ飛ばし狙いしかしないじゃん」

メルムーアの邪魔がなくなったのでまた黙々と食べ始めたゴルダのところへ今度はるるがやって来て、
りりが弱いのでスマブラの相手をしてほしいと言ってきた。
これにりりは弱いとはなんだと噛み付き、りりとるるは互いに睨み合う。

「そうゲームでカッカするな、別のをやろう」

そう言って立ち上がったゴルダが出したのは、Horizon zero down。
すでにクリア済みなのだが雰囲気がとてもいいのでわざわざ引っ張り出したのだ。

なお、りりとるるはその世界観にあっという間に引き込まれた。

「ゴルダ、このゲーム何?」

しばらくHorizon zero downをプレイしていると、るるがソフトを保管している箱から出した一本のゲームを見て、ゴルダは渋い顔をする。
何を隠そう、そのゲームは色々な意で危ないアウトラスト2。

「るる、そのゲームはダメだ。片付けろ。怖いなんてもんじゃないゲームだ」

ゴルダの言い方から察したのか、るるはアウトラスト2を片付けて他のゲームを出す。

次にるるが出したのは、アウトラスト2よりはマシだがホラーゲームという面ではりりがどんな反応をするか分からないバイオハザード7。

「やりたいのか?」

いつの間にか頭に乗っていたマティルーネに気付いてからゴルダはるるに聞く。
るるは即座に頷いた。
どうやら本気のようだが、りりがどんな反応をするかが分からない。

「俺は構わんが、りりが大丈夫かどうかだな」

そう言いながらゴルダが横目でりりを見ると

「ふえぇ……ホラーゲーム嫌い」

あからさまな拒絶反応を示していた。
それでもるるはやる気のようなので、ゴルダは念押し気味に

「どうなっても知らんぞ」

とだけ言ってりりとマティルーネ、レルヴィンとルァクルを連れて家の外へ。。
その際るるが絶叫する声が聞こえてきたがゴルダは無視して外へと出た。

「まだ少し暑いね」

「この暑さもあと一週程だ。次第に涼しくなって冬を迎える」

いまだに照りつける夏の日差しに手を仰ぎながら言うりりに、
頭上のマティルーネを守るべくどこからか出した日傘をさしながらゴルダは夏もあと一週ほどで終わると返す。

レルヴィンとルァクルはしばしりりについて匂いなどを嗅いでいたがすぐにやめる。

「私と似た匂いだ」

ルァクルがそう言ったのに対して、レルヴィンは判然としない素振り。
それを見ていたゴルダはレルヴィンに何かを命令。
するとレルヴィンはりりを咥えたかと思えば自分の背に乗せる。
超大型犬かそれ以上の大きさのあるレルヴィンならば、りり程度の大きさなら背に軽々と乗せられるのだ。

「大丈夫だ、そのまま乗ってろ」

状況を把握していないりりにゴルダはそう告げ、
レルヴィンの横へと立つ。

「ちょっとごわごわだけどもふもふ」

首の辺りをもふもふしてくるりりにレルヴィンはやれやれと言いたげな顔をする。

「やはりお前は懐かれやすいな」

ルァクルの一言にレルヴィンはなぜか唸ったがそれも一瞬。
すぐにスイッチを切り替えてりりを背に乗せたまま森の方へ。

「好きにさせとけ」

いいのかという目線を投げかけるルァクルにゴルダはレルヴィンなら問題ないと言い、
1人でバイオハザード7をやっているるるのところへ。
ルァクルはレルヴィンの後を追った。

「やはりか」

家の中へと戻ると、るるがミリシェンスに泣きついていたので思った通りだと呟くゴルダ。
ミリシェンスに渋い顔で見られたがゴルダは気にすることなくゲームを片付ける。

「デッドスペースやアウトラスト2じゃなくて幸いだったな」

「ホラーゲームは片付けなさい」

ミリシェンスに言われ、ゴルダはりりとるるがやるとまずいことになるゲームを片付けてるるに視線を移す。

一晩経ってそこまで警戒されることはなくなったのだが、
どこかしら気を許せない雰囲気をるるは醸し出している。
なお、これも狼の気質かとゴルダは微塵にも気にしてはいないのだが。

「そういえば、りりとるるの服直して。レルヴィンはまだ戻ってこないでしょうし」

洗濯し終えて乾いたりりとるるの服をミリシェンスに突き出され、
ゴルダは頭を掻きながらそれを受け取ってソファに座るとヘフィアと共用の裁縫道具を出して、
昨日例の輩にやられたと思わしきほつれや破けを直しだす。

「なにこれ?」

るるが裁縫道具の中に入っていた白い布切れを出して聞く。
それにゴルダは

「万能補修布だ。縫い付けてもつぎはぎしているようには見えなくなる」

万能補修布だと答えてるるからその布を取ると、
適度な大きさに切ってりりの服の背のナイフか何かで切り裂かれた箇所に縫い付けて補修。

「りりはよく傷を負わなかったな。切り裂かれた状態から明らかな殺意を感じる」

その一言にるるがドキッとしてミリシェンスの手を握る。

「あなたも狙われてる身なんだから用心しないと。りりやるるもまた狙われるかもしれない」

淡々とるるに分からないよう、幻獣語で言うミリシェンスにゴルダはそうだなと同じく幻獣語で返す。

「るるはお前には完全に気を許しているようだが」

「さあ?」

ゴルダのるるがミリシェンスに気を許しているという一言に対し、
ミリシェンスはすっとぼけたような返事をする。

手を握ったりなどといったミリシェンスへの仕草を見る限りでは、
るるはミリシェンスに気を許しているようにも見えるが真相は不明。
一方りりはゴルダにもミリシェンスにも気を許しているようだが。

「それはともかく、りりのはこれでいい」

補修し終えたりりの服を横へ置き、るるの服の補修に取り掛かろうとした瞬間。
るるがゴルダの針を持つ手を握って

「私自分でやる」

と言い出したので教えるべきか?と、
ミリシェンスを見ると教えるべきと言わんばかりにニコッとする。

「そうか、ならば教えるとしよう」

ミリシェンスの反応をみたゴルダはるるに糸の通し方から教え始めた。

「なぜにこんなところへ?」

「ここなら静かに過ごせる」

一方レルヴィンの背に乗って森の中へやって来たりりは、背から降りて2人の周辺を散策。
レルヴィンとルァクルが何かを話しているのだが、
りりには全く何を言っているかが分からずじまい。

「戻るか?」

「もう少し居よう」

ちなみにルァクルだけはレルヴィンの言っていることをほぼ完全に理解できるようで、
こうして会話をすることも可能。

「しかしゴルダはなんと言うか、こう言うのを連れて来る能力でもあるのか?」

「かもしれん」

ゴルダはこういう存在を連れて来る能力でもあるのかと話していると、
りりがルァクルを抱き上げようとしたものの重すぎて断念。

「無理はするものじゃないぞ」

理解できるかどうかを度外視して言ったレルヴィンにりりは

「じゃあゴルダは無理してないの?」

ゴルダはどうなのかと返してきた。
どうやらレルヴィンの言っていることを理解しているらしい。

「あいつは異常だ。無理をするの定義が違う」

レルヴィンの一言にりりはぽかんとして2人を見やる。
どうやら何と言ってるかは理解できるが、
言ってる内容までは理解できてないようだ。

「子供に無茶振りしすぎだお前は。弱きものに配慮するお前でもそこまでは頭が回らんか」

ルァクルの辛辣な一言にレルヴィンはぐぬぬと言わんばかりに唸る。
それを聞いていたりりは喧嘩はダメだよと2人を制するも、
レルヴィンとルァクルは何事もなかったかのようにりりに振る舞う。

「変なの、それより戻ろうよ」

りりに言われてルァクルとレルヴィンは顔を見合わせて何かを同意するかのように互いに頷くと

「戻ろう」

レルヴィンはりりを咥えて背に乗せルァクルと共に家へ引き返す。

その頃家ではるるとゴルダが服の補修をしていた。
なおミリシェンスは食器を洗ったり洗濯機を回したりして、一切手を貸す様子は見受けられない。

「るるは手先が器用な方か?初めてにしては縫い方が様になっている」

例の布と魔力の糸で自分の服を補修していたるるに、
ゴルダは縫い上がりを見て手先は器用な方かと聞く。

「分かんない」

るるの一言にゴルダは頭を掻きながらやはり信用されてないかと思う。
クェムリーヴェスが干渉してくるまでもなく、
るるからわずかな拒絶の意を感じたからだ。
素直ではないと分析はしていたのだが、
ここまでされるとりりとは付き合い方を変えるべきかとまで思い始めた。

「だって器用かどうかなんて、今まで気にしなかったもん」

るるが付け加えるように言った一言にそうかとしかゴルダは返せず、
クェムリーヴェスからは

「相変わらず乙女心を掴むのが下手なものだ」

などと称されてしまう。

「開けて」

気付けばりりが戻ってきていたので、
ゴルダはりりを家の中へ入れて裁縫を続けていたるるの手を一旦止めてシアのところへと向かう準備をする。

「行くぞ、お前らの今後を決める上で話さねばならん相手に会いに」

そう言うや、りりとるるを連れ座標指定テレポートでセイグリッドへ向かうゴルダ。

「いらっしゃい」

ゴルダがやって来たのは、シアの居る塔。
高度が高いために寒いのだが、なぜか空気が薄いと感じることはない。
そしてそこに待っていたのはメルムーア。
シアと似た白い有毛竜だが角ではなく耳があり、目の色もゴルダと瓜二つ。
目の前に唐突に現れた大きな存在にりりとるるはぽかんとしていたが、
自分らを襲うような存在ではないことだけは把握している様子。

「大きいもふもふ……」

るるの一言にメルムーアは手招きをして

「触ってみる?遠慮なんていらないわ」

触ってみないかと聞く。
るるは何の警戒心持たずにメルムーアに近づくと前足を触りだす。
ゴルダと比べ一切警戒心を持たないのは、
メルムーアの聖属性と言う面もあるだろうが、
それ以上に癒しの神で全てを受け入れるスタンスであることの方が大きいだろう。

「シアは?」

そんなるるを見てかすかに鼻で笑いながらシアはどこに居るとゴルダは聞く。
メルムーアは一瞬言わなくても分かるでしょ?と言いたげな顔をしてから

「応接室、2人の身分証作って待ってるわよ」

シアがりりとるるの身分証を作って待っている。
これはどういうことかと言うと、ゴルダは幻想獣医や何でも屋以外に異界から迷い込んだものを保護した上でシアやメルムーアに報告。
その後元の世界へ帰すまでの間面倒を見たりするという仕事も請け負っている。

なおこの仕事をしているものは、
ゴルダ以外にも多数居るがゴルダは会ったことがない。
そして、メルムーアが2人を帰す術が今のところないと言っていたあたり、身分証を用意しているのはそう言うことだろう。

「りり、るる行くぞ。メルムーアも」

そう言ってゴルダはシアの居る応接室へと向かう。

「法があるとはいえ、こんな簡単にセイグリッド国籍の身分証をポンポン発行していいのかと俺は疑問になることがある」

「いいのよ、アルカトラスの許可もあるから」

念写で作成されたと思わしきりりとるるの顔写真が貼られた、
パスポートとはまた別のセイグリッド国籍であることを示すゴルダと同じアルカトラス姓の身分証を見ながら、
応接室へやって来たゴルダは呟くがシアはアルカトラスも許可してるから問題ないと返す。
その一方でるるはメルムーアを、りりはシアをもふもふしていたがゴルダはさせたいようにさせて話を続ける。

「それで昨日の話だけど、どうやってもりりとるるの持つ波形と部分一致する世界すらも引っかからないのよ。1000万に1の割合でしか起こり得ない事象だから暗中模索」

自分の前足に頬ずりするりりをよそに、
シアはゴルダにりりとるるをすぐに元の世界へ帰せない理由を説明。
本来そのものが持つ出身世界の波形は、部分的にでもどこかの世界と必ず一致するもの。
だが今回のケースのように部分一致でも全く引っかからない場合もあるのだ。
こうなると世界の検索に通常の倍以上の時間がかかり、いつ一致する世界が出てくるかも不明。

「厄介だな、しかしりりとるるは俺と離れる気はないようだが」

「絶対ゴルダと暮らすのー」

一通り話を終えて厄介だなと言ったゴルダにりりは、
一緒に暮らすと考えを曲げる気は無いという意思表示をした。
その後ろでは黙ってメルムーアをもふもふしていたるるも頷いていたがゴルダは気付いてない。

「しかしまあ、よく念写でここまでできるな」

りりとるるの身分証を手に取り、貼られている顔写真を見たゴルダの一言にシアは

「難易度低いのはそんなに多くないわ」

簡単な相手は少ないことを告げる。
それもそうだろうとゴルダは2人の身分証をしまってソファに座ると同時に、
カーバンクルの姿に変身して腕組みの状態で片目だけを開けたまま黙りこくる。

それを見たるるが黙りこくるゴルダに近寄り、その頰を左右へと引っ張ってみたが反応がない。

「あれ?」

今度は面白半分で嚙みつこうとしたが、噛みつく寸前でゴルダの片手に押さえつけられて

「さすがにそれは、いかん。いいな?」

やめろと諭された。
るるはそれにしょぼくれたかのような顔をしてまたメルムーアをもふもふしだす。

「というわけで、よろしくね」

「出るもん出なかったら流石の俺でも渋るぞ」

頼んだわと言ったシアに対してゴルダが返した一言を聞いて、
メルムーアとシアはあらあらと同時に言い放った。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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