氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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特に題名の無いフォルテの森での出来事

「そんなに美味くもない」

イファルシアから貰ったミントテロにならないミントを食みながら、
カーバンクルの姿をしたゴルダはフォルテの森をのそのそと歩く。
後ろからマティルーネとルァクルが付いてきているがゴルダは一切気に留めない。

「あっ、危なっかしいやつ!」

たまたま通りかかったミスティに安定の危なっかしいやつ呼ばわりされ、
ゴルダは目を細めてミスティを見る。
最初は自信たっぷりにカーバンクルのゴルダを見ていたミスティは、
何かを悟ったかのようにぷいとそっぽを向いて森の奥へ飛んで行ってしまう。

「あいつは相変わらず分からん」

そこまで森の中は暑くないので自己冷却魔法を止めたゴルダの目の前に今度はスノーウィーが現れる。

「あらこんにちは」

スノーウィーは目の前に居るカーバンクルがゴルダだとは気付かずに声をかけてきた。
それを見たマティルーネが空気を読まずに

「このカーバンクルはゴルダ」

などと言ったがためにスノーウィーはハッとし、じっとゴルダを見つめる。
一方ゴルダは額のアメジストを怪しく光らせ、スノーウィーの爪を見て

「手入れしてるか?乙女の嗜みだろう?あまり映えてない気がするが」

淡々と手入れをしているかを聞いた。
スノーウィーはそれに余計なお世話よと言いかけたが

「してくれるかしら?そこまで言うならできるでしょ?」

ゴルダの腕を試すかのようにやってくれないかと頼む。

「バウムのところでな」

それに対してゴルダはバウムのところでやると一言言い放ち、
スノーウィーを置いて奥へ進む。

「今日も今日とて分からん奴だゴルダは」

ルァクルの一言にスノーウィーとマティルーネはそっと頷く。

「スノーウィー以外の冷たき雰囲気を感じる」

その頃バウムは以前シアが持ってきた本を読みながらまったりしていたが、
唐突なスノーウィー以外の冷たい雰囲気を感じて顔を上げる。

「ゴルダのようだがそうではない気もする」

バウムが思慮に更けているとその視界にスノーウィーとマティルーネにルァクルと、
とても濃い紫毛の黄色目のカーバンクルがやって来た。

「そんな姿になれたのか?」

「つい最近からだ」

一言二言の会話を交わし、ゴルダはスノーウィーの前足を持ってその爪をまじまじと見る。
一応綺麗には見えるのだが、診察眼を使って見ているゴルダにはそうは見えてない様子。

「やりますかね。と言いたいところだが一つだけ聞いておく、お前は俺を信用しているか?」

ゴルダの一言にスノーウィーはどう言う意よ?と問いただす。

「最初に爪の話をした時、お前は不快とも何とも思ってないように思えた。単に寛容なのか、あるいは俺を信用しているのかのどっちでしかない」

その問いただしに爪の話をした時のことを言い、
スノーウィーが不快とも気にしてくれて嬉しいのどちらにも属さない感情を抱いているように思えたと話す。

なぜこんなことをゴルダが聞いたのかというと、
クェムリーヴェスが信用されているかも分からないのにそんな話をしない方がいいなどと言ったがためだ。

「そんなのどうだっていいでしょ。さあやって」

スノーウィーがゴルダを信用しているというのが図星だったのかは不明だが、
そんなことはいいから早くしなさいと前足を突き出すスノーウィー。

ゴルダもそれ以上問うことはなく、
どこからか出した爪の手入れセットでスノーウィーの前足の爪を手始めに拭き始めた。

「何をしているのだ?」

横からバウムに聞かれてゴルダは手入れ前の下準備用の薬と思わしき液体で布を湿らせ、
右前足を拭きながら

「爪を手入れしている限りはこの外の世界では普通にやっていることだ。それが竜族であれど」

爪を手入れしていると返す。
バウムはそれを聞いて

「なるほど、乙女の嗜みに必要な行為か」

と今一つ理解してないような顔をしつつ強引に理解したように振舞う。

「本格的に削る必要はなさそうだ」

「削っちゃ嫌」

削ろうと爪用のやすりを取り出したゴルダにスノーウィーは削ることを拒否。
ゴルダも本人が嫌なら削るまいとやすりを置き、
スノーウィーの爪の先を切る。

「あまり切りすぎるのも良くない。これだけだ」

爪の先を切られたスノーウィーは自分の前足をまじまじと見た。
いつもは樹木で爪研ぎをするので、
いざ爪を切られると若干の違和感を感じるようになったが特段気にするものでもないので気にしないことに。

「他の爪も切ろう」

そう言ってゴルダはスノーウィーの前足の爪だけではなく後ろ足の爪も切る。

「整えるために削ってもいいか?」

「やり過ぎないでよ?あと角も手入れして」

さすがに切った後の整えのためにやすりで削っていいかを聞いたところ、
スノーウィーはやり過ぎないことを条件に許可。
その上角の手入れまでしろと言って来た。

「どうせなら体毛の手入れ含め全種やってやる。後出しジャンケンは俺はあまり好きじゃない」

爪をやすりで削って整えながらゴルダはどうせなら全身やってやると言い出す。
スノーウィーが後からここもこっちもと言うのを防ぐためだろう。

「気が効くのね、無表情な割には」

スノーウィーの皮肉交じりの一言にゴルダはさらっとそうかとだけ返し、
爪の整えを続行。

「このような技術を元からゴルダは持っていたのか?」

スノーウィーの身だしなみを整えているゴルダを見、
バウムはマティルーネとルァクルに聞く。

「知らない。ゴルダはいつの間にか技術を身につけていたりするから」

マティルーネはそれに、
いつの間にか身につけていることが多いので知らないと返す。
一方でルァクルは

「アルガティアから教わったとは聞いたことがある」

アルガティアが教えたと言う。
それを聞いたバウムはアルガティアなら教えかねないと思いつつ咳払い。
2人の様子を眺めるのに戻る。

「ストレスを感じている、あるいは疲労が溜まってないないか?体毛がごわついている」

「自覚ないわ」

角よりも先に体毛を有毛竜用の櫛で梳かしている最中に、
違和感に気付いたゴルダがスノーウィーに聞いてみるが自覚はないようだ。
自覚のないストレスと疲労ほど厄介というのは一応診る立場にあるゴルダには考えるまでもない事実。
しかしスノーウィーから返ってきた答えは自覚なし。

「たまには気を休めろ」

自覚がないと言うスノーウィーにゴルダはたまには休めとだけ告げて角を磨く。
スノーウィーの角は溶けたり凍結したりを繰り返して形の変わる代物。
角ゆえそれなりの強度はあるのが、
折れる時は折れるので手入れは慎重にしなければならない。

「日々形を変える角、心も森も等しく日々変わり行く。変わらぬものなどあまりない」

意味深なことを呟きながら角を磨き終えたゴルダは今度はバウムのところへやって来て

「前足出してみろ、少し毛を剃ろう」

バウムに前足を出すように言い、
自分はハサミと剃刀を出す。

「あまり触るでないぞ」

バウムの話を聞いていたのか不明だが、
ゴルダはそれを聞いていたのかは分からないが手始めに前足の爪を無理矢理出して状態を見る。

「良好良好」

そう言うや、口笛を吹きながらバウムの前足の毛をちまちま切っていくゴルダ。
端から見れば、狂人が前足を切り落とすための下準備をしているようにしか見えないが。

「あまり私の肉球を触ってくれるな」

ハサミで肉球と肉球の間からはみ出した毛を切っているゴルダに、
バウムは肉球を触るなと言うがやはりゴルダは口笛を吹きながらハサミで毛を切るだけ。

「あれ絶対楽しんでるわ」

ゴルダに綺麗にされたスノーウィーがそう呟く。
その一方でマティルーネは昼寝中で、ルァクルはなぜか蝶を追いかけている。

「むぅ」

今度はゴルダに前足をマッサージされてバウムは渋い顔をしていた。
決して不快ではないのだが、どうにもくすぐったくて仕方がないのだ。

「揉み甲斐がある」

前足に止まらず、足首までマッサージの手が伸びてきたことにバウムは何かを言いかけたが、
不思議と落ち着くので何も言わないことに。

「その技術は我流か?」

「いや違う、癒しの竜から教えてもらった。揉み方から魔力の流し方まで」

なおも口笛を吹きつつマッサージをするゴルダにバウムは我流かと聞いたが、
癒しの竜からの伝授だと返される。

「技術と知識は受け継ぎ受け継いでこそ真価がある。受け継がれない技術や知識は結局そこまでだったと言うことだ」

トントンとバウムの右前足首を叩きながら言うゴルダにバウムは

「確かに、知識と技術は受け継いだら誰かにまた受け継がせないと廃れてしまうな」

ゴルダの言うことに淡々と納得するのであった。
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ゴルダと輝星と昏黒

「昏黒こっちだよ、早く早く」

夏もまだ日の高いうちから昏黒を連れてセイグリッドへやってきた輝星。
だが昏黒の方は夏の日差しの強さを物ともしてない様子で輝星に淡々とついていく。

今日セイグリッドへとやってきたのは以前シアに

「自分に足りないものの探し方にはコツがある」

といったようなことを言われたのを思い出し、
それを聞きに来たのである。

「あれー?シア様どころかメルムーア様もいないや」

城の中を歩き回るも、シアどころかメルムーアの姿も見えず。
居ないねと言いながら輝星が昏黒と城の中を歩いていると、
イファルシアに似た体型に濃い紫毛で額にアメジスト。
満月のような黄色い目のカーバンクルが体から冷気をほんのり出しながら歩いているのを発見。

「昏黒、あのカーバンク知ってる?見たことないけど」

誰だろうと輝星が昏黒に聞くも首を横に振られて分からないという意思表示をされてしまう。
だが、いま2人の目の前に居るカーバンクルは姿こそはかわいいのだが無表情だ。
無表情というと、輝星は昏黒の他にもう1人を思い浮かべた。
それはアルカトラスの孫である

「もしかしてとは思うけど、ゴルダさん?」

ゴルダ、輝星が頭に浮かんだ無表情のもう1人の名がそれだった。
濃い紫毛のカーバンクルは輝星と昏黒をまじまじと眺めてから

「よく俺だと分かったな、ご無沙汰といったところか?」

自分がゴルダであることを認めたうえで久々かと聞く。
輝星はその問いに対して

「久しぶりだね。ところでゴルダさんってアルカトラス様以外にも変身できるの?」

久々に会ったことを肯定しつつアルカトラス以外にも変身できるのかと聞く。
ゴルダはそれにこの姿が何よりの証明だろと言いたげな目線を輝星へ投げる。
なお、昏黒はカーバンクルの姿のゴルダを見て

「輝星が好きそうだ。無表情なのを除けば」

と思うのだった。

その後2人はなおも冷気を出し続けるゴルダに連れられて応接室へ。
ゴルダの話によるとシアとメルムーアはどちらも今日は仕事があって忙しいのだという。
だが、メルムーアは大学で講義をしているので昼過ぎには戻ってくるだろうとのこと。

「ゴルダさん、触ってもいい?」

応接室で互いにソファに無言で座っていると唐突に輝星から触っていいかと聞かれるゴルダ。
輝星がもふもふ好きなのはシアやアルカトラスから聞いているので知ってはいたものの、
実際に触っていいかと聞かれるといかんともしがたい。

だが、断れば輝星ががっかりして信用を無くしそうなので
触るなとは言わずに

「フィルスやイファルシアのように額は触るな。いいな?」

額に触らないようにという条件を課してもふもふを許可。
許可されるや輝星はわーいとゴルダを手始めにハグ。
いきなりのハグにゴルダは渋い顔をしたが輝星から漂う甘い匂いを感じてすぐ無表情に戻る。

「やっぱりフィルス君やイファルシアちゃんみたいにかわいさが物足りないなぁ」

子供ゆえの純粋な意見にもゴルダは強いことはあえて言わずに

「もふもふさえあれば、かわいさがそこまでなくても大丈夫。お前はそうじゃないのか輝星?」

と静かに返す。
それを横で聞いていた昏黒は同意するかのように頷いていた。
基本的に喋らないことが多い昏黒だが、
こういったジェスチャーなどで意思表示はしてくれるので意思疎通が全くできないわけではない。

「もふもふもいいけど、やっぱりかわいさも必要だと僕は思うんだ。ゴルダさんはどう思う?」

深く考えれば哲学の域に達しそうな問いにゴルダは軽くこう返す。

「もふもふイコールかわいいではない、かっこよさや美しさもまたもふもふを惹きたてる。俺の考えはそれだけだ」

輝星はその返しを聞いて少し考えるような仕草をしてから、
ゴルダの耳のあたりを触りながらこんなことを言う。

「惹きたて方って色々なんだね。昏黒も言ってたよ、物事を一方向からだけ見ちゃいけないって」

「王子になるということは将来竜王となる。つまり国を治める存在になるということだ。そうなれば物事を一点集中で見ても仕方がない」

昏黒から物事を一方向からのみ見てはいけない。
多方向から見る必要があると言われたと話され、
ゴルダは将来国を治めることになる以上、
物事を一点からしか見れないようでは国はまとめきれないと返しつつ輝星に触られた耳を動かした。

「そこに居たのね、やっと講義終わったわ」

スッと応接室に入ってきたメルムーアに、昏黒は軽く頭を下げて挨拶。
輝星はゴルダをもふもふしていたのですぐには気づかなかったが昏黒が頭を下げているのに気付き

「あっ、メルムーア様」

「いらっしゃい」

遅れて挨拶。
なおゴルダは輝星の方をずっと見ていたので気配だけを感じて

「来るとは思っていた」

と呟き輝星を撫でた。
なおその後はメルムーアが輝星にゴルダには関係のないことを話しっぱなしだったとか。

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真夏の昼下がりのひと時

外が昇華しかねない暑さにもかかわらず、
快適な温度と湿度が保たれたゴルダの家の中。

そんな家の中で、
瑠璃夢の膝に座るミリシェンスよりも濃い紫の毛で満月のような黄色い目のカーバンクル。
その隣にはルーナの膝に座るアイレ。
床ではフウがレルヴィンにもたれてポケモンのムーンをプレイ中。
ミリシェンスはユウとマティルーネと共にブレイクタイム。
ヘフィアは家中の刃物を研ぐ作業をしていた。

「しかし、お前がこんなかわいい姿に変身できるとはな」

「俺とて色々ある、追求するな。あと額を触らないでくれ」

クックと笑いながら、膝の上の濃い紫毛のカーバンクルことゴルダを撫でる瑠璃夢。
ゴルダは瑠璃夢の手が自分の額に宿るアメジストこと核石に触れようとしたので、
額に触るなと言ったが瑠璃夢はお構いなしに触れる。
それに一瞬ビクッとしたゴルダは瑠璃夢の手を掴んで

「やめろ、俺でも不意打ちはたまにはびっくりする」

今一度やめろと強めに鋭い目付きをしながら言う。

「なんじゃ、アイレは触っても平気だと言うのにつまらぬの」

それに瑠璃夢はアイレなんともないのにつまらんと不満を漏らし、
掴まれていた手を振りほどく。

「瑠璃夢さん、この世界のカーバンクルたちは下手に額の石を触られるのを良しとしないんですよ。魔力制御が乱れるとかで」

そこへルーナがフォローを入れるように触ってはいけない理由を説明。
瑠璃夢はそれでも納得いかないような様子で

「そこまで触られるのが嫌なら私もう触らん。確約はできぬが。だが私の膝には座れ」

渋々触らないことに了承するも、
膝には座れとそこは譲らなかった。

「あっ、アローラロコンの色違い」

フウの一言にゴルダはピクリと耳傾け、
瑠璃夢の膝から降りてフウの3DSを覗く。
確かにそれはアローラロコン色違いで、
色違いを示す星もついていた。

「色違いはやれそれ出る代物じゃないからな」

「やったー」

なんだかんだでムーンを殿堂入りまでクリアしたフウが始めたのは、
野生で手に入る伝説や幻を除いたポケモンの色違い集め。

ネットなどを使ってコツコツとではあるが、
集まってはきてはいるようである。

「あれがソシャゲだったら、とんでもないことになってるわね」

アローラロコン色違いではしゃぐフウを見て、
ミリシェンスはあれがソシャゲだったらどうなっていたか分からないと話す。
「使う人はいくらでも使うみたいですね、ちょっと怖いです」

ミリシェンス一言にユウは、
ソシャゲに際限なく注ぎ込める者が怖いと返す。

「種類と腐ってる以外の状態問わずの、人参というか野菜ガチャがあったらいいのに」

2人のソシャゲのガチャの話に反応したのだろうか、
マティルーネが人参もとい野菜ガチャでもあればいいのにと呟く。
それに対しユウは苦笑いし、ミリシェンスはそれはそれでと言いたげな顔をしながらコーヒーを飲む。

「これ、私の膝に戻れ」

「もう十分だろう?」

フウとポケモンをし始めたゴルダに瑠璃夢は膝に戻れと言うが、
ゴルダは本来の人の姿へ戻り、もう十分だろと断言。
だが瑠璃夢はまだ満足してない様子である。

「あー、なるほど。これは簡単に満足しないね」

クェムリーヴェスが瑠璃夢に探りを入れたらしく、
簡単に満足するはずがないと断言。

相変わらず不満げな顔をする瑠璃夢にゴルダはいつものように

「雪見だいふくで手を打とう。俺もあの姿は気に入っているがあのままずっとというのは厳しい」

ともかく瑠璃夢をどうにか文句を言わせないようにしようと、
雪見だいふくを出そうと言ったが瑠璃夢は首を横へ降り

「今日はその手には乗らぬ。私の膝に戻るか居座られるかを選ぶがよい」

膝に戻るか居座られるかを選べと言い出す。
それを聞いたクェムリーヴェスはゴルダに

「遅かったや。今日はいつもと同じ手が通用しないよって忠告しようしたのに」

いつもと同じ手は通用しないと言おうとしたが遅かったと話すが、
クェムリーヴェスの場合最初から言う気などなかったことをゴルダは知っていた。

「ダメですよ瑠璃夢さん、ゴルダさんを困らせちゃ。変身能力って意外と魔力使うから難しいんだよ。下手すれば元に戻れなくなるってシアさん言ってたよ」

すると、今の今までルーナの膝の上でボーっとして黙っていたアイレが唐突に瑠璃夢へ向けてそんなことを言い放つ。
予想外の者からの一言に、
瑠璃夢は一瞬たじろいだがすぐ何事もなかったかのように

「そこまで言うなら、お前が私の膝に来い。私を満足させてみるがよ」

アイレに自分の膝へ来いと膝をポンポンと叩いて促す。

だがアイレは渋い顔を投げかけるだけで拒否。
瑠璃夢も知っていたと言わんばかりの顔をしてから

「仕方ない。雪見だいふくで勘弁しようではないか。だが条件がある。私にそれを食べさせるのだ。膝の上で」

雪見だいふくで勘弁するが、
膝の上で自分に食べさせろという我儘な条件を押し付けてきた。

「それでお前が満足するとは思えんのだが、本当にそれでいいのか?」

ゴルダの問いに瑠璃夢は今さら何をと言わんばかりの顔で

「早くやるがよい」

早くしろと催促。

ゴルダはそれに分が悪そうな顔をしながら変身能力を発動。
次の瞬間ゴルダ居た場所には濃い紫毛で満月のように黄色い目、アメジストを額に宿したカーバンクルがそこには居た。

「一瞬で変身出来ちゃうんですね」

変身したゴルダを見てのルーナの一言を軽い頷きで流し、
台所の方へと歩いていくゴルダ。

「妙だな、買い置きがあったはずだが」

冷凍庫を引っかき回すゴルダに、
見かねたミリシェンスが奥の方にあった雪見だいふくを差し出す。

「最近こっちの世界で作られなくなって、全部日本からの輸入になってるのよね」

ミリシェンスの「最近は買うと高い」という、
遠回しな一言をこれまた首を縦に振る返事で済ませたゴルダは瑠璃夢の元へ。

「早くするのだ」

せかす瑠璃夢にゴルダは待てと制し、
無表情な顔で瑠璃夢の膝にふわりと座って開封。
中には餅に包まれたバニラアイスが二つ、
若干の白い煙を上げて白い餅の肌をさらけ出していた。

「そしてこれを、こうする」

次にゴルダが取り出したのはなんの変哲もない皿にナイフ。
その皿に雪見だいふくを取り分け、
ナイフでさらに切り分ける。

「私の取り分が少ないのだが」

そんな文句を言う瑠璃夢にゴルダは切り分けた一つを取り、
瑠璃夢の口に近づける。

瑠璃夢は自分の言いだしたことなので黙って口を開け、
ゴルダが近づけた雪見だいふくを受け入れた。

「溶け始めてるが、美味じゃの。もっとだ」

一欠片で満足するとでも思っていたのかと言わんばかりに、
美味とは言いつつも次を要求する瑠璃夢。

そして二欠片目を口に入れた後、
ゴルダは瑠璃夢の膝に座ったままアイレとルーナに

「お前達も口開けろ、食わせてやるから」

食わせるから口を開けるように言う。
アイレとルーナは言われた通りに口を開けていると雪見だいふくが入れられる。

いきなり口の中へ雪見だいふくを入れられ、
アイレもルーナもぽかんとしたものの、
口の中で溶けて広がる甘さに思わず顔がほころぶ。

「うまいか?」

ほんのりと口元に笑みを浮かべ、
うまいかとゴルダに聞かれた2人はそっと頷く。

「それは良かった」

無表情かつ怒り以外の表情を見せたことのないゴルダが、
カーバンクルの姿ではあるものの笑顔を見せたことで瑠璃夢はそんなゴルダを思いっきり抱きしめる。

「やめろ」

いきなり抱きしめられれてびっくりしたのだろうか、
やめろと言ったゴルダに瑠璃夢は頬ずりをしながら不敵に笑い

「私がかわいいものに目がないことは知っておるだろうに」

と言ってまた額を触る。
するとどうだろうか、魔力制御に異常をきたしたらしくゴルダは黄昏たような状態に。

「だっ、大丈夫ですか?ゴルダさん」

それを見たルーナが慌てて声をかけるとゴルダは手を追い払うような仕草をした。
問題ないということらしい。

「やっぱり触らない方がいいよ」

アイレに触らない方がいいと言われた瑠璃夢は少し考えてから、
急にアイレも引き寄せてゴルダと一緒にまた抱きしめる。

「お前達、今日は私のところに泊まれ。異論は認めぬぞ」

その直後の瑠璃夢の一言にゴルダとアイレは

「きついジョークだ」

「えー?」

それぞれ苦笑いに困った顔をした。
だが瑠璃夢はそんなことはお構いなしに2人を連れて行ってしまったという。

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