FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

潜入するバレンタイン

今日は年に一度の菓子やそれ以外のものをあげたりもらったりする日である。
本来ならば補佐官なり何なりに菓子を貰っているであろう輝星と昏黒は、セイグリッドにやって来ていた。

「今日は静かにしていたかったのだが…」

「そんなこと言わないでよ〜」

乗り気ではない昏黒などおかまいなしに、輝星は城の方へと歩みを進める。
輝星と昏黒ではあからさまな体格差があるはずなのに、輝星は昏黒を若干引きずるような感じで引っ張っているがこれがどういう理屈でなのかは不明。

「乗り気になれぬな」

一方その頃城では、アルカトラスがシアやサフィらが朝から厨房にこもりっきりなのでそれが気になり、仕事に集中できないでいた。

「今日がそういう日であることは把握してはいるものの、気になるものは気になる」

などとアルカトラスが言っていると、今日はサフィの代理を務めているメイドが入ってきて

「アルカトラス様。輝星様と昏黒様がお見えです」

輝星と昏黒が来たことを知らせる。
アルカトラスはそれを聞いて我に帰り、メイドにここへ連れてくるよう伝える。

「承知しました」

メイドはそう言って部屋を出る。
アルカトラスは輝星のことなのでチョコをもらいに来たのだろうと勘ぐった。

「アルカトラス様こんにちは」

「上がらせてもらっている」

いつもと変わらぬ様子でやって来た輝星と昏黒を、アルカトラスはこれまた普通に出迎える。
やがて、先ほどのメイドが茶を運んできたのだが、その際に輝星が

「あれ?サフィは?」

本人からブランクでいいと言われているので、輝星は呼び捨てでサフィ居ないのかと聞く。
するとアルカトラスは

「朝食後から厨房にこもりっぱなしでな。我は門前払いされて入れぬ。だが輝星、汝ならば許可されるかもやしれぬ」

厨房に居ると答える。
すると、輝星はちょっと行ってくると言わんばかりにアルカトラスの部屋を走って出て行ってしまった。

「相変わらずだ…」

「それより、汝は茶は飲むか?」

輝星の行動の臨機応変さに圧巻される昏黒に、アルカトラスは茶を飲むかどうかを聞く。
それに昏黒は軽く頷き、カップを差し出した。

その頃、厨房へと行った輝星はというと

「そーっ…」

入り口の「許可者以外本日立ち入り禁止」の張り紙にも目もくれず、厨房の中を扉を少しだけ開けて覗く。
中では案の定、サフィやシアに他のメイドがせわしなく動いていた。

「何作ってんだろう?」

どうにか気付かれないように厨房の中へ入れたので、輝星は死角を探してはそこへ移って様子を伺うを繰り返す。

しばらく様子を伺っていると、サフィとシア以外にイファルシアとアルガティアの姿も確認できた。
もちろん、イファルシアもアルガティアもこちらには一切気付いては居ない様子だが、アルガティアだけは気付いているが気付いてないふりをしている可能性もある。

「チョコじゃないお菓子作ってるなあ。何だろ?」

と言って、輝星がギリギリ見つからないレベルで調理台から身を乗りだそうとした瞬間。
近くにあったボウルに手が当たり、そのまま床へ落下。
その際、大きな音が出て近くにいたメイドがこちらを見たが、輝星は間一髪で身を隠す。
だが、

「何やってんのよ?」

メイドの近くにいたイファルシアに覗き込まれ、見つかってしまった。

「しーっ」

輝星はイファルシアに黙っているように言ったが、イファルシアはそれを聞き入れてはくれず、サフィに輝星が厨房に入り込んでいることを伝える。

「見つかっちゃった…」

「あなたなら入り口ノックすれば普通に入れたのに、どうしてこう潜入任務みたいなことするのかしらね」

遠まわしに入り方が回りくどいとサフィに言われ、輝星はただ笑うしかなかった。

「まあいいわ。入って来たのは仕方ないし、シアでもアルガティアでもいいから付いて一緒に作りなさい」

「はーい」

誰にでもいいからついて一緒に菓子を作れと言われて、輝星は黙々と生チョコケーキを作っているシアのそばへ行き、一緒に作ろうと持ちかける。

「ええ、どうぞ」

「シア様ありがとう」

輝星はこうしてシアと生チョコケーキを作ることにした。

「闇と光は対のはずなのに…」

「夜があるから朝がある、朝があるから夜がある。そういうことだ」

輝星が居なくなったため、アルカトラスと沈黙の時間を過ごすのも何だかなと思った昏黒は、ちらほらとアルカトラスと会話を交わす。
対となる属性であるはずのアルカトラスがここまで自分に親身になって話をしてくれので、昏黒はどこか安心していた。

この後、輝星が王子らと補佐官分のチョコケーキを持って来たので、昏黒は輝星とそれを持ち帰って雨月たちにも渡したという。
無論、シアからという名目で。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

忘れられて思い出されたバレンタイン

今年もまたあのチョコをあげたりもらったりする日がやって来た。
だが、今年のゴルダの家にはゴルダ本人とフウの姿が見えない。

「確か今日の夕方ぐらいに帰ってくるんでしたっけ?フウとゴルダさん」

「何事もなければ、ね」

この日の数日前から、ゴルダはフウを連れて日本へ依頼の関係で出張へ行っている。
なぜフウを連れて行ったのかは不明だが、ミリシェンスはゴルダがフウにもっと広い世界を見せようとしたからだろうと判断した。

「私も行ってみたいな」

「直接頼めばいいと思うわ。旅行という名目で連れて行ってくれるかもしれないわよ?」

「ちょっと図々しい気がします」

自分も行ってみたいというユウに、ミリシェンスは菓子作りと夕食の支度を並列処理しながら言う。
ユウはそれに、図々しくないですか?と返すが、ミリシェンスは何も言わずに菓子作りと夕食の支度を続ける。

「お邪魔します」

「お邪魔しますね」

「ココ見参!…ってなんか違う」

「普通にお邪魔します」

ミリシェンスにスルーされて、ユウがうーんとなっているといつもの4人がやって来た。
チーノは何も持って居ないかったが、コロンは何かを持ってきていいる様子。

「あれ?ゴルダさんとフウは?」

「ゴルダとフウどこ?」

ほぼ同時に、コロン、モカ、ココの3人がゴルダとフウはどこかと聞いてきたので、ユウは

「えーっとですね、ゴルダさんとフウは日本へ行っていて今日の夕方ぐらいには帰ってきますよ。それよりお茶淹れますね」

真っ先にレルヴィンとマティルーネのところへ行ったココをよそに、ユウはミリシェンスが手が離せないことを察してモカとチーノとコロンに言う。

「あら、悪いですわ」

「いただきます」

「今はいいからゲーム借りるね」

コロンとモカはいただくと言ったが、チーノは今はいらないと言って、居間の方へ行ってゲームを引っ張り出す。
それを見たモカとコロンユウは思わず苦笑いを浮かべる。

「いらっしゃい。悪いわね、今手が離せないのよ。ユウ、お茶の用意は任せていい?」

「もちろんです」

そう言ってユウは忙し動くミリシェンスに気を使いながら茶の用意をするのだった。

一方、日本に居るゴルダとフウはというと

「最後の最後で忘れ物するとはな。間に合ったから良かったが」

「へへっ…」

フウがチェックアウト直前に部屋スマホを置き忘れて一旦戻り、その後急いでチェックアウトしてタクシーを捕まえて空港へと向かう車中だ。

「乗り遅れるととんでもないことになるから今度ついてくる時は注意するんだぞ」

「分かってるよー。それより今日バレンタインだね、あのチョコをあげたりもらったりすり日」

そんなことなど微塵にも気に留めていなかったゴルダは、フウからの一言で今日がバレンタインだということを思い出す。

「そうだったな、だがチョコを大量にもらっても食べきれん。俺は貰うなら別のがいいな」

などと言いながら、ゴルダは帰りの飛行機の航空券と一緒に自分とフウのパスポートを眺める。
幻想獣医師免許の写真と変わらず無表情なゴルダのパスポートの写真に対し、フウのパスポートの写真はやたらとニコニコしたもの。
2人のパスポートはどちらもセイグリッドのもので、ちゃんとセイグリッドの国章が表にも中にも描かれている。
他に変わったところと言えば、フウの名前が

「フウ=B(白牙)=アルカトラス」

になっていることだろうか。
これはパスポートを作る際のゴルダとアルカトラスの苦肉の策だったらしいが、詳しくは割愛する。

「またコロン達が来ているだろう。去年ココからは電撃をもらったが今年は何をくれるか楽しみだ」

そうこうしている間に、タクシーは空港へと到着していた。

「げぇっ、トゲゾー」

「チーノに1位は渡さないわよ」

その頃ゴルダの家では、チーノとココがマリオカートで激しく火花を散らし、モカはマティルーネを膝に座らせてのんびりしていて、コロンとユウはミリシェンスを手伝っている。

「相変わらず、ね。ココもチーノも」

「まだまだ子供」

マリオカートで接戦を繰り広げている2人を見て相変わらずだと言うモカに、マティルーネはまだまだ子供だと一蹴。

「マティルーネって辛口なのね」

「きついことは言うけど、ニンジンは甘い方が好き」

その会話を最後に、急に眠気が来たモカとマティルーネはソファの上で眠り込んでしまった。

さて、それからどれくらいの時間が過ぎたのかは、さっきより耳に入る声の主の数が増えたところから、結構な時間が過ぎたようだ。
最初モカが目を覚まし、次いでマティルーネが目を覚ます。

「起きたかモカ?」

半分寝ぼけたモカの耳に、ゴルダの声が聞こえる。
それにハッとして、モカは膝にマティルーネが居ることにも気付かず立ち上がった。
なおマティルーネはモカの膝からずれ落ちて床にこてんと着地。
いきなり立ち上がらないでという目でモカを見たが、通用しなかったようだ。

「お邪魔してました」

ようやく頭が冴えたモカは、ゴルダに挨拶する。
まだ着替えてなかったのか、服装はスーツ姿だったがモカは一切気にしない。

「悪いな、依頼人は時と場合を選ばないからどうしようもない」

「そんな、別に気にしていませんよ」

モカに気にしていないと言われ、ゴルダはそうかと言って着替えるために部屋へ引っ込む。

「何作ってるの?」

「秘密」

その頃台所では、せわしく動くミリシェンスら3人にフウが何を作っているのかを聞くも、秘密の一言で門前払いされている。

「ちぇー」

門前払いされたフウは、がっかした様子で居間へ行き、ココとチーノのマリオカートに混ざった。

さて、それからまた1時間ほどが経過した。
ゴルダはあれから部屋から出てこず、ミリシェンスら3人は既に夕食の支度を終えてくつろぎ、ココとチーノとユウはいまだゲームに没頭。
モカはマティルーネと相変わらずのんびりしている。

「そういえば何か持ってきたみたいだけど、ゴルダとフウに?」

ミリシェンスはここで、コロン達が持ってきた何かについて聞く。

するとコロンは軽く頷いてそうですよと答えて

「ええ、4人で選んだんですよ」

とニコニコしながら話す。
ユウはコロン達が何を持ってきたのかの予想はつかなかったが、ミリシェンスだけはコロンの表情からゴルダに何を選んだのかの予想がだいたいついた。
とそこへ、タイミングがいいのか悪いのかは分からないがゴルダが部屋から出てくる。
それもいつもの鎧姿ではなく、ジャージのようなズボンにTシャツという珍しい服装でだ。

「ゴルダさん、いつもいつもお世話になってますこれをどうぞ。私たち3人からです」

と言って、部屋から出てきたゴルダにコロンは持ってきた何かの一つをゴルダに渡す。
包み自体はそこまで大きいものではないが、中身はかなり硬い箱のようだ。
ゴルダが包みを開けると、中から木箱が出てきた。
さらにその木箱を開けると、中には手投げも可能な形に作られたナイフだった。

「なるほど、今まで武器を贈られたことは自立する時に贈られた剣くらいなものだったが」

そのナイフを手に取り、一通り調べているゴルダにコロンは

「それを誰かを守るための刃として欲しい。そういう意を込めて選んだんです」

そのナイフを、誰かを守るための刃して欲しいという意を込めて選んだと話す。

「そうか。ありがとうな」

ゴルダはナイフを箱に戻して、コロンに礼を言った。

なお、フウは夕食の時にココから電撃と共にチョーカーをもらったという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |
| HOME |