氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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3匹?と1人の夜桜

ある日の夜の万年桜の木の上。
ほのかに白く発光しているその桜の木の上でゴルダとハーキュリーにシアとおまけでマティルーネが酒を酌み交わしている。
よりにもっよって、なぜに夜桜でしかもこんなところで酒を飲んでいるのか?
それは数時間前にまで時間は遡る。

「ねえねえ」

「何だ」

エシュフィルトが大学へ入ってからというもの、シアに呼ばれる頻度が増えたゴルダ。
一応、エシュフィルトは講義がない時には戻ってはくるのだがそれでも毎週というわけではない。
なのでこうして呼ばれているのだ。
だが、今日はハーキュリーも一緒である。

「暇なのよ」

シアのこの一言にゴルダは

「そうか」

とだけ返して頭の上のマティルーネに人参を与える。
マティルーネは人参をちらりと見ると、ゴルダの指まで食べかねない勢いで食らいつく。
ハーキュリーは、その横でシアに若干もたれかかるようにしながら、バレンタインのお返しにゴルダにもらったストールを我流で手直ししている。

「もう、その返しはないでしょ。その返しは」

ゴルダの相変わらずの返しに、シアはその返しはないでしょと言いつつハーキュリーの方に首を向けると自分の抜け毛を集め、自分の前足に乗せてフーと吹き付けるように飛ばす。
するとハーキュリーは手直しの手を止めて

「ん?どうしたんだー、シア?」

どうしたのかと聞く。
するとシアはゴルダに言ったことと同じことを言う。
それに対してハーキュリーは

「なぁゴルダ、シアが暇を持て余しているから何かしてやったらどうだ?」

「暇しているならもふってくればいいものを」

ゴルダに何かしてやれとは言ったが、ゴルダは暇しているならもふって来いと言ってそれっきり何も言わなくなった。
4の月ではあるものの、ここは塔というとても高い場所。
寒々しい風が吹いてくるたびに、ゴルダはまた冷たい風が吹いたかと風が吹いた方へ目線を向け、マティルーネは寒そうにし、シアとハーキュリーはなんともないというような顔をしていた。

「なあゴルダ、マティルーネ私の頭に乗せていいか?」

寒そうにしているマティルーネを見たハーキュリーが、ゴルダにマティルーネを自分の頭に乗せていいかどうかを聞く。
これにゴルダはマティルーネを頭から降ろし、いいか?と聞くがマティルーネはどこ吹く風な表情を崩さない。
そしてそれを見たシアが、マティルーネを摘み上げるようにして前足で掴むとハーキュリーの頭に乗せる。

「そんな顔するなよー」

少し嫌そうな顔をしたマティルーネにハーキュリーがそんなことを言うと、ゴルダがどこからか双眼鏡を取り出して万年桜の方を見て

「昨日大雨降ったのに、花びら落ちてないのか」

などと言ったために、シアが

「何なら今からいく?夜桜で一杯しましょうよ」

万年桜を見ながら一杯やろうと言い出したのだ。
ちなみに、現在の時刻は夜の8時過ぎ。今から飲んでも申し分ない時間である。

「俺は構わんが、ハーキュリーは?」

自分は構わんといったゴルダは、マティルーネをもふもふしているハーキュリーに聞く。
するとハーキュリーは軽く頷いて

「ゴルダと飲めるならいいぞ?」

と言ったので即決となり、現在に至る。

「どうしたゴルダ、飲まないのか?」

シアとハーキュリーが程よくワインを飲んでいるのに対し、ゴルダはボトルのコルクを開けてすらいない。
それに気づいてゴルダにハーキュリーが話しかけたところ、ゴルダはなんと寝ていたのだ。
しかも、半覚醒睡眠ではなく、ぐっすりと。

「むー…」

そんなゴルダを起こそうとしたハーキュリーだが、シアにやめなさいと咎められて

「でも我慢できないぞー、だったら…」

一度は止めたものの、それでも我慢できないハーキュリーはそっとゴルダに後ろからもふりと抱きつく。
するとゴルダは半覚醒睡眠になったが、特に振りほどく様子もなくそのまま寝ていたのであった。

「これでしたいことが一つ適ったなー」

ゴルダを抱きながらハーキュリーはそんなことを呟いたのであった。
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小説(交流) |

夜桜の下で

今年も万年桜が満開となる時期がやってきた。
万年桜の根元では花びらが花の絨毯を作り、幻想的な雰囲気は相変わらずである。
普通、桜というものは発光しないのだがこのドランザニアにある万年桜は夜になると若干どころかかなり明るく発光する。
その光の色は、桜色というよりは桃色がかった白。
なぜ発光しているのかは分からないが、おそらくシアが気まぐれでそんな能力を付けたからだろう。

「今年もいい感じねえ」

まだ万年桜が満開なある日の夜、シアは塔から降りて万年桜を見に来ていた。
ぽつりぽつりと観光客も居るが、シアは今日は誰かに姿を見られたくないらしく不可視化で姿を消して万年桜を見ている。
しかし、消しているのは姿だけで誰かがぶつかってくればそこに居ることが分かってしまうのだが。

「しかしつまらないわね、こうも1人だと」

シアがこう言うのを聞いて、エシュフィルトが居るのではないか?と思う者も居るだろうが、実はエシュフィルトはこの春から王立大学に入り、寮暮らしを始めてしまったのでたまにしか来なくなったのだ。
そのせいでシアはまた前のように塔で1人で過ごすようになったばかりか、このような時もほぼ確実に1人である。

「やっぱり誰かいないと駄目ね」

そう言ってシアはこの日は塔へと戻ったのであった。

そしてその翌日の夜、シアは案の定暇を持て余していたゴルダらを呼び出してまた万年桜のところへとやって来ていた。

「実際は暇じゃなかったんだが?」

「たまにはいいじゃないのよ」

本当は暇ではなかったと言うゴルダに、シアはたまにはいいじゃないと返す。
なお、アルガントとウラヘムトは眠いから寝ると言って来ておらず、来たのはゴルダとレルヴィンとマティルーネ。
マティルーネはゴルダの頭の上で半目状態で、レルヴィンはなんか食わせてくれるのか?という顔をしている。

「こんな時間なのに観光客が多いな」

ちなみに、現在の時刻は午前0時を回ろうとしている時間。
にも関わらず、観光客がものすごく多い。

「ぼーっと見ている分にはいいかもしれんな」

「それだとつまんないでしょうよ、ほら」

遠目にそれを見ていると、それだとつまらないとシアがどこから持ち出してきたのか分からないさくらんぼ酒の入った瓶を差し出す。
おそらく、サフィに黙って城の酒蔵から持ち出してきたのだろう。
なお、シアは小さめの樽を出していた。

「サフィに何か言われても知らんぞ」

ゴルダはそう言ってさくらんぼ酒の瓶の栓を開けて飲み始める。
レルヴィンはそれを見て自分には飲めないやと確信したのかがっかりしており、マティルーネはさくらんぼ酒の匂いのせいか完全に目を閉じてゴルダの頭の上で寝てしまっていた。

「ふぅむ」

「もふっ?」

数口さくらんぼ酒に口をつけたところで、ゴルダが何となく物思いふけ始めると、不意にシアが抱き着いてきた。
いつもならやめろと押しのけるところだが、今日のゴルダは特に何も言わないし何もしない。
ただ、シアとレルヴィンと桜を眺めているだけであった。

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