氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

もらったらお返しを

3の月のある日、ゴルダはサフィのところに居た。
何をしに来たのかというと、先月のチョコのお返しである。
なお、渡したのは異界のそれなりの値段のするワインだ。

「ちゃんとお返ししてくれるあたり、あんたも真面目というかなんというか」

「礼はするためにあるんだろうが」

「ふーん」

サフィをあまり興味なさそうな顔で見ているマティルーネをよそに会話を続けるゴルダとサフィ。
だが、サフィはふーんと言った後に

「じゃ、私は忙しいからこれで」

「ああ」

そう言ってサフィと別れたゴルダは、今度はスリュムヴォルドの方へ。
エルフィサリドも一応、よくわからないチョコではあったがチョコをくれたのでこれまたお返しに行くようだ。
だが、スリュムヴォルドへ行ってもエルフィサリドの姿は見えず、たまたま城の周辺に居たニフェルムにどこへ行ったのかを聞くと

「理由は知らない、けど海に行ってる」

海に行っていると教えてくれたので、漁港の方へ行ってみることに。

「どうした、潮風は嫌いか?」

漁港に近づくにつれてこれまた嫌な顔をし始めたマティルーネにゴルダはそう聞く。
するとマティルーネは軽く顎のあたりをゴルダの頭にコンコンと打ち付けて頷いた。

「ま、そのうち慣れるだろうよ」

ゴルダは嫌そうな顔をするマティルーネにそう言って、そのまま漁港の方へ。
すると、エルフィサリドが向こうからやって来て

「あらあら、私に用事?」

「こんにちは、とでも言っておこうか?それより渡したいものがあるから城の方へ行かないか?」

「ここで渡せないの?」

といつもの調子で尻尾で頭を叩いて挨拶しようとしたが、頭に乗っていたマティルーネに気が付いてすぐにやめる。
そしてゴルダはいつもの調子で両手を顔の前で合わせて挨拶をし、エルフィサリドに城の方へ行こうと言う。
だがエルフィサリドは、なんで?という顔をしてその場に突っ立つ。

「大っぴらに渡せないものなんて沢山あるだろうが、ほら」

辺りにいた市民の一部が、何だ?という顔をしながらこちらを見てくるようになったので、ゴルダは城の方へ行こうと遠まわしに言う。
これで何を渡されるのかに感付いたエルフィサリドはなるほどねという顔をして

「分かったわ」

と言ってゴルダの後についてきた。

そして場所は変わってスリュムヴォルド城のエルフィサリドの自室。
エルフィサリド本人は、何をくれるのかしらとどこかわくわくする子供のような雰囲気を出している。

「先月のお返しだ」

と言って、ゴルダが出したのは干した貝柱とアワビ。
どちらも異界のもので、品質はそれなりにいいものだ。

「どういうことかと思ったら…それであのチョコのお味はどうだった?」

「悪くはなかったぞ、むしろうまかった」

「ならよかったわ」

なおこの後、ゴルダは渡した貝柱とアワビを食べさせられたとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |

お返しはそれなりのものを

「何よこれ?」

3の月のある日、シアに呼ばれた気がしたのでシアのところにやって来たメリエル。
そして、来て早々にメリエルはシアに何かを渡された。
その渡されたものとは、何が入っているのかがよく分からない包み。

「私からは何も言わないわ、開けてみれば?とだけ」

「まさか開けたら爆発するなんてものじゃないわよね?」

「私がそんなことするとでも?」

「冗談でやりかねないから聞いたのよ、それで何が入ってるのかしらね」

開けたら爆発するんじゃないかなどと疑いつつも、メリエルはもらった包みを開く。
中から出てきたのは、どう見ても季節に似合わないマフラーだった。
しかもこのマフラー、色があからさまにシアの毛の色と一致している。

「ねえ、これって?」

「ああ、私の抜け毛を毛糸にして編んだマフラーよ。四季問わず巻けるから」

「抜け毛万能すぎでしょ…」

メリエルがなにこれと聞くと、シアは自分の抜け毛で作った毛糸で編まれたマフラーだと答える。
しかも、四季問わず巻いて使えるという耳を疑う一言が聞こえたが、メリエルはその点には触れずに抜け毛が万能すぎると呟く。

「ところでひとつ聞きたいんだけど」

「何かしら?」

ここで、メリエルはシアに先ほどは気にかけなかったことを思い出して聞くことに。
ちなみにそれは何かというと

「四季問わず巻けるマフラーって、マフラーの意味ないわよね?ストールとかって言ったほうがよくない?」

シアがこれをマフラーと言ったことに対しての突っ込みであった。
だが、シアはこの突っ込みには何も反応せずに

「それとも…」

「なんでその話になるのよ!」

何かを言いかけたが、メリエルになんでその話になるのかとまた突っ込まれたシア。
なお、シアが何を言いかけたのかというとそれは言うまでもない。

「あー、もう…でもありがとうね。大事に使うわ」

「うふふ。それとそのマフラーが四季問わず使える理由ってのは魔力がその場の環境に応じた状態になるからよ」

「ふうん、そうなのね」

礼を言った後でシアからなぜこのマフラーが四季を問わず使えるのかという理由を説明し、メリエルはそれにふうんと答え、今度はゴルダの家へと向かった。

「メリエル様が来たわよー!?」

「あら、メリちゃんじゃないの」

ゴルダの家へ行くと、なぜだかトスカが居てゴルダ本人の姿が見えない。
どこへ行ったのだろうかとトスカに聞こうとしたのだが、トスカはメリエルに

「ちょっとメリちゃんも手伝ってくれない?」

「えっ、ちょ」

手伝ってくれと言って台所へと引っ張って行く。
なおメリエルは断る前にトスカに引っ張られていったので断ろうにも断れなかった。

一方そのころゴルダは何をしているのかというと

「こら、後頭部叩くな。もう少し時間かかるんだ」

どこかの工房の機械の前でじっと待っていたのだが、マティルーネが早く帰ろうと後頭部をべしべし叩いていた。
ちなみに、何を作っているのかは全く持って不明である。
一応、アクセサリか何かではあるようだが。

「時間かかる素材なんか使うもんじゃねえな」

などと呟きながらなおも待つのであった。

「ねえ、なんでゴルダの家で料理しているの?」

「ゴルちゃんにお返しのお返しよ」

「ああ…なるほどね」

そして場所はまた変わってゴルダの家。
ひたすらトスカに料理の下ごしらえを手伝わされているメリエルは、何で料理しているのかと聞く。
それにトスカはお返しのお返しだと答える。
お返しのお返しと聞いて、メリエルは理由を確信してなるほどねとだけ答える。
なお、今何を作ろうとしているのかというと、ドラビット族らしい人参メインの料理だ。

「見渡す限りの人参料理ね」

「いいでしょー?」

「うん、まあ」

人参料理ばっかりだというメリエルにトスカはいいでしょと言う。
それにメリエルが納得いかないような返事を返していると

「ただいま」

ゴルダがタイミングが良いのか悪いのか分からないところで帰ってきたようだ。
するとトスカは

「あらゴルちゃん、お帰りなさい」

ゴルダにお帰りと言う。
するとゴルダはその後から来たと思わしきメリエルを見て

「…ほら、お前たちに先月のお返しだ」

2人に出先で作っていたものを渡す。
それは何かというと、何らかのアクセサリのようだがどんなアクセサリなのかは2人が開けないので分からない。

「それはともかく、ゴルちゃんは座って待っててね」

「ん、ああ…」

トスカに待っていろと言われ、ゴルダは居間のほうで座って待つことに。

それから大体1時間後。
ゴルダはお返しをした以上の量をトスカに食べさせられたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

友チョコのお返しは?

それは3の月のある日のこと。
セイグリッドのとある店でゴルダは何かをしていた。

「やけに小さいサイズのをオーダーするねえ、まあ勝手にサイズが変わるんだが」

「俺が着るわけではないんだがな、とりあえず頼んだぞ」

それは何かというと、あからさまにゴルダが着るサイズではない服。
着れるとすれば、フウぐらいの身長と年齢が着るくらいのもの。
なぜゴルダがこんなものをオーダーしたのかというと、それは2の月にフウからもらった友チョコのお返し。
ちなみに、服だけではなく同じような生地でストールのようなものもゴルダはオーダーしていた。

「そこまで立て込んでないから数日で仕上がるよ」

「分かった、頼んだぞ」

そう言ってゴルダは、頭の上で退屈そうな顔をしていたマティルーネに悪いなと言って帰ることに。

「あっ、おっかえりー」

家へ帰ってきたゴルダを、エプロン姿のフウが出迎えた。
その横では、レルヴィンが尻尾を振って遊べと言わんばかりの顔をしている。
現在、ゴルダが居ない間の家事はほぼ全てフウが行っているが、それでも危ないことはゴルダがやっている。
ちなみにゴルダが帰ってきた時にフウは、食器を洗い、洗濯をしているところだった。

「どこに行っていたの?」

「それは教えられんな」

「えー、なんで?」

フウにどこへ行っていたのかと聞かれ、ゴルダは何も答えることなくマティルーネに頭から降りるように言ってフウと入れ替わりで台所に立つ。
それに対してフウはなんでとは言ったものの、それ以上は追及しないことに。
だが、フウには何となくゴルダがどこに行っていたのかの察しはついていた。
それは何かというと、フウが先月ゴルダに渡した友チョコ。
それのお返しで探していたのだろうと確信したフウは、自分もモカとコロンにお返しをしなければと思い、どうしようかを考え出す。

「何がいいかなあ」

しかしすぐに答えが出るわけでもないので、ゆっくり考えることにした。

そして翌日。
いつものようにパソコンをいじっていると、フウはあるものを見つける。

「あっ、これいいかも?」

それは何かというと、とあるショッピングサイトのホワイトデーの特集ページ。
そのページを見てフウはあるものに目が移る。
フウはそのままそれモカとコロンの分を注文確定し、一瞬軽くニヤリとしてそれっきりとなった。
一体フウは何を注文したのだろうが?それは本人にしか分からない。

さらにそれから数日後。
ゴルダの家にあらかじめ呼ばれていたモカとコロンがやってきた。
おそらく、ゴルダが渡したいものがあるからついでに遊びに来いとでも言ったのだろう。

「こんにちはー」

2人そろって挨拶をしてきたモカとコロンに、ゴルダはよく来たなと言ってフウに茶を出すように言う。
フウはうんと言って台所に行き、台所で何も言わずに茶を作るために湯を沸かし、2人に茶を淹れた。

「あら、ありがとう」

「ありがとうね」

それにフウはえへへと笑いつつ、さらに2人に菓子も出す。
その際ゴルダは微動だにもせず、マティルーネを頭に乗せたままモカとコロンを見ている。
するとモカがゴルダに

「そんなに頑なにならなくてもいいんじゃないですか?」

頑なにならなくてもいいのではないかと言う。
だが、ゴルダはそれには何も答えずにフウが別に淹れてくれた緑茶をすする。

「それで、渡したいものってなんです?」

「元々それで呼ばれたんだったっけ?何かなあ」

それを見て、コロンとモカが何を渡したいのかと聞いてきたのでゴルダはそれに対して分かったと言い、どこからか3つの箱を取り出す。
それは、ゴルダがつい最近セイグリッドのとある店でオーダーしたもの。

「先月のお返しだよ、友チョコとやらのな」

ゴルダはそう言って、手始めに2人に箱を渡す。
箱を受け取ったモカとコロンはゴルダに開けてもいいかどうかを聞かずに、箱を開ける。
すると中には、白いストールが入っていた。
ちなみに、これは聖竜布と呼ばれるシアやアルカトラスの抜け毛で織られた布を使っている。

「あら、これいい感じね」

「わーすごい」

モカとコロンはそのストールを見てとても嬉しそうにして実際に広げて眺め始める。
そしてそれを見計らったのかのように、ゴルダはフウにも同じように箱を渡す。

「えっ?」

「いや、コロンとモカだけじゃなくてお前にも渡すつもりだったんだが。とりあえず開けてみな」

面食らったような顔をするフウに、ゴルダはお前にも渡すつもりだったと言い、さらに開けてみろと言う。
フウはそれに頷き、箱を開ける。
中には、フウの今のサイズに丁度良く作られた普段着のようにも作業着のようにも見える服。
ちなみにこれも聖竜布で作られたものである。
なお、レルヴィンはその服の匂いを嗅ぐとうーんと言いたげな顔をしてそれ以上嗅ぐような真似はしなかった。

「あれ?」

それを見て、フウがどうしたのだろうかという顔をしていたのだが、ゴルダは何も答えずに着てみろとフウに目線で言う。

「なんでレルヴィンが嫌そうな顔しているか分かんないけど、着ろ言って言うなら着るしかないよね」

フウはそう言ってその服を持つと自室へと引っ込む。

「お待たせ」

それから数分後、フウは先ほどの服に着替えてさらにまた2つの箱を持って出てきた。
実際にフウがその服を着てみると、少し長めだったが動きには問題はない様子。

「似合ってるんじゃない?」

「そうかなあ?少し長い気がするけど」

コロンに似合っていると言われ、フウはそうかなと訝しむ。
なお、レルヴィンはその服装のフウと少し距離を置いている。
これを見てゴルダは、レルヴィンにはフウの服の魔力の刺激が強すぎるのだろうと確信しつつも見ているだけで何もしない。

「いい感じねえ、それよりフウが持ってるその箱は?」

コロンが似合っていると言った少し後に、モカもいい感じだと言いつつその箱は何なのかと聞く。
それにフウはあたふたしながらも

「こっ、これ…お返しです」

と2人に渡してそのまま部屋へ引っ込んで行ってしまう。
それを見たコロンはうふふと笑い、モカはあらあらという顔をしたのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

メーヴィエル=ルライス

MyFox.png
性別:-
種族:氷狐のような何か
身長:-
性格:ゴルダに酷似
代理キャラ。
名のつづりはMelver=Rlyshe。
ゴルダとはリヴァルスの雪原で会って知り合った関係らしいが、勝手に家に来るので若干煙たがられ気味。
だがしかし、それでも仲が悪いわけではないらいしい。

テーマ:キャラクター設定/紹介 - ジャンル:小説・文学

創作関係全般 |

レルヴィン


性別:?
種族:狼竜
身長:3mそこら
性格:それなりに活発
ゴルダがとある依頼で牧場を引き継いだ際にやってきた狼竜。
牧場で働けるように躾けられているためか、羊竜の扱いも何のその。
結構な大飯食らいだが、食べ過ぎるとすぐに吐く。
そして最近首輪をするようになり、竜革製の灰色に染色されたゼルカイトという魔力を有したサファイアが装飾された首輪をしている。

テーマ:キャラクター設定/紹介 - ジャンル:小説・文学

創作関係全般 |

フウと牧場物語もどき?

「ねえねえ、どこ行くの?」

「運転に集中しているから少し黙れないか?」

「ちぇー」

少し日が差している程度の曇り空のその日、フウはゴルダに行き先も告げられぬまま軽トラに乗せられて移動していた。
なお、服装はいつものワイシャツの普段着ではなくジーンズに長袖の動きやすいシャツといった姿。
そして、フウの頭にはマティルーネが乗っている。
おそらく、ゴルダが運転中は頭に乗るなと言ったからだろう。

「よし、ここだ」

そう言ってゴルダが軽トラを右折させた先には、規模的には小さい部類に入る牧場が広がっていた。
だが、なんとも殺風景な牧場で人っ子ひとり見当たらず、居るのは馬や草食竜に羊竜の他に牛くらいだ。

「あの、ここって?」

「ああ、ここを譲る代わりに牧場の永久的な管理を任されるという依頼を引き受けてな」

「なんなのその依頼…」

ここは何かとフウが降りながらゴルダに聞くと、返ってきた返事は依頼で譲り受けた牧場だという。
それに思わずフウは、なんなのその依頼と突っ込みを入れたがゴルダは聞いていなかったようだ。

「今は俺の分身を置いているが、そのうち誰か雇うさ。魔力消費も馬鹿にならん」

複数のゴルダが居ることを指摘しようとしたフウだが、本人からその前に自分の分身だという返事を聞いてフウは納得できないような納得できるような顔をする。

「じゃあ、お前に少し羊竜の面倒を見ててもらおうか?数はそんなに居ないからそこまで大変ではないと思うが…なんかあったらこいつに頼れ」

マティルーネがゴルダの頭へ移動したところで、ゴルダはフウに後ろの柵の敷地内で、普通の羊より少し高い声でメーと鳴いている羊竜を見ろと言う。
しかも、その横に指笛で呼んだ灰色と白の毛の狼竜をつけてだ。

「えっ…?大丈夫かなあ?」

自分にできるかなと訝しむフウに、ゴルダは

「なに、たまにやんちゃして柵飛び越えて脱走する奴なんかが居るからそいつを咎めるくらいでいい」

たまに脱走する羊竜が居るので、それらを咎めるくらいでいいと言った。
だが、フウも羊竜がただの羊ではないことくらいは知っている。
読んで字のごとく、羊竜は羊と竜の混血種で普通の羊とは比べ物にならないくらい戦闘力が強く、並大抵の野生動物や魔物程度では簡単に蹴散らされてしまうのだ。
そして個体にもよるが、草食であるにも関わらず気性が荒いものが多く、牧畜するのは羊以上に難しいという。

「で、でも…荒っぽいのも居るんでしょ?」

「そのためのこいつだ、こいつは羊竜に対応できるように躾けられている。名はレルヴィンだ」

そう言って、ゴルダはレルヴィンをフウによこすと

「じゃあ、頼んだぞ。どうしようもないことがあったら相談しに来い、俺は畑の方に居る」

どこからか農具を出して畑の方へと行ってしまう。
こうしてレルヴィンと残されたフウは、言われたことはとりあえず実行しようと羊竜の敷地内に入ろうと柵をよじ登ろうとした。
だが、柵が思った以上に高くフウの身長では登るのも一苦労しそうだ。

「どうしよ…わっ!?」

どうしようかと考えていると、いきなりレルヴィンがフウのシャツの襟のあたりを咥えたかと思えば、そのまま高くジャンプして柵を飛び越えたのだ。
フウは何が起こったのかがあまり理解できてないらしく、頭の中に?を大量に浮かべていた。

「あ、ありがとう…」

レルヴィンに離してもらったフウは、通じているかは分からないがひとまず礼を言って羊竜を見やる。
一見すると、本当に竜の血を引いているのか?と思われがちな羊竜だが、異常な美人は淫魔と思えという戒めがある。

「うーん、みんな大人しそうなんだけどなあ」

などと言いながら、草を食んでいる羊竜を見て回るフウ。
昨夜雨が降っていたのか、地面が少々ぬかるんでいて歩くたびに嫌な音がした。
そんな地面を歩きつつ羊竜を見ていると、フウはあることに気付く。
羊竜の毛は、普通の羊と違うというのがよく見ると違うということだ。
具体的にどうと聞かれると答えることはできないが、フウはとにかくちがうということを確信した。

「ただ草食べてるだけだね、本当に」

そう言っていると、いきなり1匹の羊竜が猛ダッシュをしたかと思えば柵を飛び越えてどこかへ行ってしまったのだ。
それを見たフウは、こりゃ大変だと後を追うがフウの走力と持久力では到底追いつけない。

「ああどうしよ、なんとかしないと」

そうあたふたしているフウを見かねたのか、レルヴィンはまたフウを咥えたかと思えば背に乗せてそのまま走り出す。

「えっ、ちょ…」

しっかり掴まっていないと振り落とされると思ったフウは、レルヴィンの首の辺りを締めない程度に掴む。
するとレルヴィンはいともたやすく脱走した羊竜に追い付き、柵の方へと追い返す。

「すごいねレルヴィンって」

あっさり羊竜を戻し、また柵の中へと戻って来るとフウは レルヴィンを褒めるついでに撫でる。
毛は少し硬かったが、どことなくしっとりしているようにも感じられた。

「僕も君くらいに逞しかったらなあ」

レルヴィンに臭いを嗅がれながらフウはそう呟くのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |
| HOME |