氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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それは誰へのチョコ?

ある寒波の到来した日の昼下がり。
ゴルダの居ない家の中で、フウは勝手に台所を使って何かを作っていた。

「なんかとー、なんかとなんかとー」

コロンが作ったという、緑色の竜毛織りの布で作られたエプロンをしながらマイペースに料理をするフウ。
ここで、フウが勝手に台所を使ってゴルダが苦言を漏らすのかといえば、それは片付けもせずに使った食器などを放置してた時ぐらいだ。
一応ゴルダからは料理の基礎を教わっているフウは、それ以来よっぽどのポカをやらかさなければゴルダから台所を自由に使ってもいいという許可は得ているらしい。
なので、前述したようによっぽどのことをやらかさない限りは自由に使えるのである。

「あれー?生クリームどこだろう?」

流しがゴルダくらいの身長に合わせて作られているので、踏み台の上に立って料理をしていたフウは踏み台から降り、冷蔵庫の方へと踏み台を移動して冷蔵庫を開ける。
冷蔵庫の中は、昨日ゴルダが買い物をしてきたので食材が冷蔵庫の冷却効率が落ちないようにある程度考えられてみっちりと詰められている。
その冷蔵庫の中から、フウは「超特濃」などと書かれた生クリームを取り出す。
ちなみに、今フウが何を作っているのかというというまでもなくチョコ。
なぜだか昨日の買い物の最中に知らないがゴルダに作るかと聞かれ、フウは口車に乗せられるがままにうんと答え、手作りチョコの材料を買ってもらったのだ。
だがしかし

「ほへー、量多いなあ」

フウではなくゴルダが材料を全部選んだので、フウが作ろうと思っていた量とはかけ離れた量の材料が買われていた。
だがフウはそれをも全部使い切ろうと思って材料を全部出す。

「どれくらいの量がいいって言えばよかったな」

などと後の祭りなことを呟きつつもフウはチョコ作りを続ける。

それから1時間後。
流しを使った調理器具で一杯にしつつもどうにか完成させたフウ。

「やっとできた…うーん、3つか」

出来上がったものを数えてみると、出来上がったのは3つ。
ちなみに、まだ誰にあげるかは全く決めていない。

「誰に渡そっかな?明日考えよう」

誰に渡そうかを考え始め、早数秒で決断を下したフウはチョコを冷蔵庫の奥へと突っ込んでこの日はこれ以上何もしないし考えないことに決めたのであった。

そして翌日。
どういうわけだがコロンがモカを連れてゴルダの家へとやって来た。
これにはフウもどういうこと?という顔をしていたがゴルダも俺にも分からんと言った様子。

「こっちに来ちゃったけど、いいわよね?」

「こんにちはー」

「あ、ああ…ところで何飲む?」

いきなりのコロンとモカの訪問に、ゴルダもどうしたもんかといった顔をしつつ2人に何を飲むかと聞く。
だがコロンとモカはフウの方に夢中で話を聞いていない。
なのでゴルダは無難に紅茶を用意して居間のテーブルに置く。
するとそれに気付いたコロンがフウとモカをぐいと引っ張って座らせた。

「なんで来たんだ?来るなというわけではないが唐突に来られるとな」

ゴルダがコロンとモカに理由を聞くと、コロンの方がこんなことを言い出す。

「だって今日はあの日、でしょ?」

あの人言われてピンと来なかったゴルダは、具体的に言わんと分からんぞと言いかけた。
だがその瞬間にコロンとモカがゴルダとフウに同時にチョコを差し出してきたのである。
ちなみにそのチョコは色とりどりのリボンなどでラッピングされてていた。
それを見て、ゴルダはそういうことかと察した。
なお、フウはいきなりチョコを差し出されて状況が理解できていない様子。

「あー、えーっと、うん。ありがとうね」

「有り難き」

フウがようやく状況を理解して言った一言に次いで、ゴルダも似たようなことを言う。
なお、それを聞いたコロンとモカはあらあらという顔をしていた。

「あっそうだ…」

そんな中、何かを思い出したようにフウは台所の方へ。
それを見たコロンとモカは何かしら?という顔をしていたが、フウが冷蔵庫からこれまたきれいにラッピングしてあるチョコを出したのを見てコロンが

「そのチョコは誰にあげるの?」

と聞いてきたので、フウは急に顔を赤くして

「あっ…これはね…」

と言葉を濁す。
そしてその隙を突いて、 モカがチョコを奪う。

「あーっ、ちょっと待ってよ」

「ねえねえ、これ誰にあげるつもりだったの?教えるまで返さないから」

「ほらモカ、その辺にしなさいな。それでそのチョコは誰にあげるの?」

フウからチョコを奪ったモカを、コロンが制して返させてから改めて聞く。
だがフウはなおも顔を赤くするだけで答えようとしない。
これにはコロンも少し困った顔をして

「どうなっているの?」

とゴルダに聞く。
だがゴルダも分からんと答え、コロンと共にフウをじっと見つめる。

「あーもういいや…友チョコだよ友チョコ」

そしてついにフウが折れたのか、友チョコだよと言ってその場を流そうとコロン達に持っていたチョコを渡す。

「なるほど、そういうことか」

この後どうなったのかというと、フウがひたすらモカに質問攻めに会っただけである。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

はーたんとチョコ

「なーゴルダ、チョコは好きか?」

「いきなり何でそんなことを聞く?」

ある日、ゴルダがいつものように仕事へ行こうとするとハーキュリーにそんなことを聞かれた。
どういう意図があって聞かれているのかが分からないゴルダは、ハーキュリーになんでそんなことを聞くのかと問う。
それにハーキュリーはニヨニヨするだけで、好きか嫌いかの2択だから早く答えろよという顔をするだけである。

「好きでもなければ嫌いでもない。ああいうのはあるとついつい食べ過ぎて血糖値やらの問題で健康的に良くない」

ゴルダはやれやれと呟いたあとに、そんな医者らしい返事を返す。

「そういう返事をするのもゴルダらしいよなー、分かったぜ。気をつけて行って来いよ」

その返事を聞いたハーキュリーは、どこか納得いかないような口調でゴルダを見送った。
なぜハーキュリーがそんなことを聞いたのか?
それは、明後日が意中の者にチョコなどをあげたりする日だからだ。
そのためにハーキュリーはゴルダにチョコが好きかを聞いたのである。

「今日の昼あたりにあれが届く予定だが、ゴルダはそんなに早く帰ってこないよな?」

ハーキュリーの言うあれとは、ゴルダにあげる注文していたチョコの材料。
しかも、今日の昼にその荷物が届予定なのでハーキュリーはゴルダが早く帰ってこないことを願った。
ちなみに、ハーキュリーはゴルダのカードを使って買っている。
もちろん本人からは使いすぎないように注意すれば使ってもいいと言われているらしい。

そして昼、飛竜便で届いた荷物を受け取ったハーキュリーはゴルダに見つからないようにそそくさと隠す。
もしゴルダに荷物が見つかって中身を見られて察されたら、ハーキュリーの計画が台無しになるからだ。

「んー、ここならゴルダもそうそう開けない場所だからいいか」

ハーキュリーが荷物を隠したのは、野菜や米などが置いてある食料庫の空の箱の中。
この箱はゴルダもずいぶん前からほったらかしにしていて、片付ける様子もない。
なので、隠すにはもってこいだった。

「まー、ゴルダは別に驚かないだろうし。反応に期待はできないな」

そう呟きながらハーキュリーは台所の掃除をしに戻ったのであった。

それから2日が経ち、その日がやってきた。
相変わらずゴルダは朝から依頼に出かけ、今日は遅くにしか帰ってこれないととのこと。
つまり、チョコを作る時間は十二分にある。

「よーし、作るぞ」

ゴルダを見送り、ウラヘムトとアルガントが部屋に引っ込んだのを確認してからハーキュリーは材料を食料庫から出してきてテーブルの上に並べる。
材料は生チョコと、なぜか餅まで用意されていた。
どうやらハーキュリーは餅チョコを作る気でいるらしい。

「えーっとまずは生チョコをだなー…」

そう言って生チョコを作り出したハーキュリー。
最初こそは順調にいっていたが、途中で静かなのが嫌なので

「なんかかけるかー」

と言って、タイトルも見ずにゴルダのポータルオーディオプレイヤーを再生。
すると、流れてきたのは某有名な語り手の怪談だったのでハーキュリーは慌てて曲送りをして別の曲を再生する。
今度はゴルダが好き好んで聞いているケルト系の歌が流れてきたので、ハーキュリーはそれをかけっぱなしにして生チョコ作りを再開。

「生チョコにしては緩い感じだなー、もう少し調整…っと」

調整に調整を重ね、ようやく生チョコをかんせいさせたハーキュリーは、次に外側の餅を作り始める。
だが、ただの白い餅ではなく水餅的なものにしたかったので少々手間取っていた。

「こんなものか?ゴルダは食えれば問題ないって言いそうだけど」

そして完成した水餅の中に生チョコを突っ込むハーキュリー。
生チョコを突っ込む際に手がベタついたが、気にせず突っ込んでいく。

「でーきたできた」

一応餅チョコが完成したところで、ハーキュリーはそれらを材料と一緒に買っておいた箱に入れる。
これで後はゴルダに渡すだけだ。

「早く帰ってこないかな」

一応完成した餅チョコを冷蔵庫に隠しながらハーキュリーはそう言った。

その日の夜。
アルガントとウラヘムトに夕食を与え、ゴルダの帰りを待つハーキュリー。
だが、待てど待てどゴルダが帰ってくる気配はない。

「遅いなー…」

2人に作ったものとは別に、ゴルダとの夕食を用意して待っていたハーキュリーは椅子に座ったまま物思いにふけながらゴルダをなおも待つ。
だがそれでもゴルダは帰ってこない。
1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、やがて時刻は午前0時を指して日付が変わってもゴルダはまだ帰ってこなかった。

「遅いにもほどがあるぞゴルダ…」

その頃ゴルダは何をしていたのかというと

「まだ決断できないのか?そろそろ帰りたいんだが」

今日の最後の依頼主が決断を渋っていて帰れずじまいだったのだ。

「…」

さすがに温厚なハーキュリーも、段々とイライラしてきたらしくテーブルの上を指で叩いている。
このままだと、帰ってきたゴルダに何をしでかすか分からない。

「ただいま」

それから30分して、ようやくゴルダは帰ってきた。
堂々の午前様である。

「…おかえり」

「待ったか?」

少々怒りを含めた口調でおかえりと言ってきたハーキュリーに、ゴルダは普通に待ったかと聞く。
するとハーキュリーは

「待ったぞー!?すっごく待ったぞー!?」


などと叫びながらゴルダにアームロックをかける。
だが、痛覚が無いに等しいゴルダにはなんともないようで

「全部依頼主のせいだ。それより飯食おうか」

全部依頼主のせいと遅くなった言い訳をしつつ、飯を食おうと言う。
するとハーキュリーは急にアームロックをかけるのをやめて

「私も腹減ってたんだよなー、食べよっか」

いつもの調子に戻ってかなり遅い夕食を取る。

「いつもとメニューが違うな、どういう風の吹き回しだ?」

「そうか?いつもと変えてないけど?」

メニューがいつもと違うのではとゴルダに指摘されたハーキュリーだが、いつもと変えてないと嘘をつく。
実際のところ、バレンタインということでちょっと変えてあるのだが。
やがて夕食を終えてゴルダが緑茶をすすっているとハーキュリーは

「日付変わっちまったけど、これ」

あの餅チョコを差し出す。
それを見たゴルダは、ほうと呟くとありがとなと言って受け取る。

「生チョコが少し硬いが、味は申し分なし。ビター系のやつが良かったが文句は言えまい」

などと感想を漏らしたゴルダに、ハーキュリーは回りくどいので美味しいのか美味しくないのか言えと言うとゴルダは

「美味いぞ?普通にな」

普通に美味いとぶっきらぼうな返事を返したのであった。

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小説(交流) |

あげる者、もらう者

それは2の月のある日のこと。
ゴルダは最近ようやく買ったサイコブレイクを、マティルーネを頭に乗せたままプレイ中。
そしていい所まで進んでいたところに、窓を叩く音がした。
なんだと思ってゴルダが窓を開けると、飛竜便の飛竜が複数匹届け物だという顔をして待っていたのだ。

「宅配便とはまた珍しい」

そう呟きながら荷物を受け取り、飛竜たちにおやつを与えるゴルダ。
飛竜便の飛竜におやつを与えるのは、地域によっては与えない者もいるが大抵の者は荷物や郵便物を届けてくれたことへの礼を込めて渡す。
マティルーネがそれはなんだい?という顔をして届いた荷物を見つめていたので、ゴルダは

「俺にも分からん、開けてみないことにはな」

開けてみないと分からんと言って、荷物を解く。
すると中から出てきたのは、保冷剤代わりの万年氷と菓子が入っていると思われる箱。
ゴルダはそれを見て、ふぅむと顎に手を当てながら箱を開けた。
すると、中から出てきたのは高級から手作りまでピンキリのチョコレートの数々。

「全員依頼で関わりのある女ばかりだ」

送り状を見てみると、送り主は全員ゴルダが依頼でお得意様となっている女性の名ばかり。
どうやらバレンタインということで、いつもの感謝を込めてなのかどうなのかは分からないが、チョコを送ってきたようだ。
だがその中に2人、とてもよく見覚えのある名前の者からのチョコがあった。
1人は手作りではあるが、その道のプロが作ったような出来。
もう1人は、そこそこ高い店のチョコだった。

「サフィの奴、普通に渡しにくればいいものを。イルフェスは…まあ普通か」

それが誰なのかというと、サフィとイルフェスである。
サフィのチョコには何もメッセージカードは入っていなかったが、イルフェスの方にはこんな一言が書かれたカードが入っていた。

「竜医は上手くいってるかしら?私は相変わらず上に振り回されてるわ、いつか会って話でもしたいわね」

そのカードを読んだゴルダはふっと鼻で笑うとカードを横に置いて、まだ開けていない荷物を開ける。
意外にも、エルフィサリドやキーリアスからもチョコは届いていおり、エルフィサリドは生なのかなんなのかよく分からないチョコ。
キーリアスからは霜が付いてカチンコチンなのが一目でわかるチョコが届いていた。
なお、キーリアスからは

「これからもおじ様をよろしく」

と走り書きの手紙が入っていた。

「さて、こんなにたくさんどうするかな」

一通り荷物をを開けたゴルダは、これらのチョコをどうするかを考える。
一応冷蔵庫にでもぶち込んでおけば問題ないのだが、そこまで日持ちしなさそうなチョコもあるので、それはそれでまた問題である。
かと言って、これだけの量を1人で一気に食べるのは健康的に非常によろしくない。
ではどうするかと堂々めぐりな考えをした後、ゴルダはマティルーネに試しにチョコを差し出してみたが、マティルーネは少々チョコの臭いを嗅いだだけでぷいとそっぽを向く。

「やはり人参じゃないとダメか」

ゴルダはそう言って、部屋に居るアルガントとウラヘムトに

「お前ら、チョコ食うか?」

と聞いてはみたものの、2人ともヘッドホンをしてPSO2をしていたので返事は帰ってこない。
ゴルダはそれを見てやれやれという顔をすると、2人が菓子やジュースを置いているテーブルの上にこっそり置いて部屋を出る。

「おっと、サイコブレイク中断したまんまだったな」

そしてゴルダもチョコ片手にサイコブレイクを再開したのであった。

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小説(一次) |

友チョコならぬ友メロン

「いってらー」

「ああ」

今日もゴルダはサジをイレーヌに任せて依頼へと向かう。
それは何らいつもと変わらぬ光景である。
ゴルダが行った後、イレーヌはサジを連れて城の厨房へ。

「今日は何するの?」

「秘密」

サジに何をするのかを聞かれても秘密と言って教えず、イレーヌはあれこれ材料や調理器具を用意し始める。
ちなみに用意したものはあからさまにチョコケーキの材料とそのケーキ用の調理器具。
包丁などがあって危ないので、台所に立たせてもらったことのないサジはそれらを興味深そうに見つめる。
ケーキの型は底が外れるタイプになっているようで、焼き上がってから側面の型だけを外すもののようだ。
その他には泡立て器やヘラといった混ぜる道具がある。

「一緒に作ってもいいの?」

「そうじゃないなら私の部屋で編み物させてたけど、編み物してた方がよかった?」

「あっ…別にそういうわけじゃないんだけど」

一緒に作ってもいいのかと聞いてきたサジに、イレーヌは元々そのつもりであったと話す。
そして、そうじゃないなら編み物をさせていたと言い、それがよかったか?とも聞いてきた。
それに対してサジは別にそういうわけではないと口ごもりつつも返した。

「うーむ、今日はそういう日だったか。だが俺には関係の無い話だ」

その一方、依頼もひと段落して街中のカフェで休んでいたゴルダ。
ふとテレビを見やると、今日がバレンタインであることを示すような番組が放送されていた。
だが、実質的な話ゴルダには関係がないのでそうかそうか程度にテレビを見流す。
すると

「今やバレンタインにプレゼントする相手は意中の人だけではなく、友達にもチョコをプレゼントしたりする友チョコという文化もできつつあります」

友チョコというワードがテレビから聞こえてきた瞬間、ゴルダの無表情な顔に興味深いと言いたげな表情がかすかに現れた。
ゴルダが考えていたこと、それは何かというと

「友チョコならぬ友メロン…これはいけるぞ、恐らくな」


友チョコならぬ友メロンをサジにあげようと考えたのである。
何故チョコではなくメロンなのかについては、サジの好物がメロンである事以外は伏せておく。
そしてそうと決まればと、ゴルダはそそくさとカフェを飛び出して自分のよく知っているデパートの地下売り場の果物を扱う店へ向かう。
この店は、ごく稀にゴルダに竜便でも行くのがめんどくさい辺境の地への配達の依頼を頼んでくることもあり、いわゆる顔見知り。
なので、値切ろうと思えば貸しもあるので値切れるがゴルダはそんなことはしない。

「よう、砂メロン入ってるか?」

「あー…運が良かったな、今日久々に一玉入ってまだ売れてないよ」

「もらおうか」

砂メロンとは、アストライズの砂地でしか育たないかなり変わった高級メロン。
表皮はスイカのようにつるつるでとても柔らかく、出荷などの際の扱いには細心の注意が必要だ。
とても砂地で栽培されたとは思えない果肉の食感に、桁外れの糖度にも関わらずくどくない味わい。
それ以上は実際に食べた者でしか分からないと言われている。

「いつもありがとうね」

「なに、お互い様だ」

こうして砂メロンを買ったゴルダはそのまま一旦家へと戻り、メロンを隠してからまた別の依頼へと向かった。

「わー」

「ちょっと焦げ目ついちゃったわね」


その頃サジはイレーヌとチョコケーキを焼き上げてオーブンから出したところだった。
少し時間を間違えたせいか、焦げ目がついているものの削ぎと落とせば問題なく食べれるレベル。

「切って頂きましょうか?」

「うん」

こうして焼き上がったチョコケーキをイレーヌの部屋まで運び、紅茶と共に食べるイレーヌとサジ。

「苦い」

「ビターチョコ使ったかしら?」

チョコケーキが苦いというサジに、イレーヌはビターチョコを使ったからかしらとどこ吹く風で言いながら紅茶を飲む。
するとそこへ今日の依頼を全て終えてきたゴルダがやって来て

「なんだ、ティータイム中か」

などと言って部屋の外へ出る。
俺も一緒にいいかと言わないところ、ゴルダなりの配慮はあるようだ。

「なんで一緒食べない?」

外で煙草のようなものを吸っていると、サジが一緒に食べようとぐいぐい引っ張ってきたがゴルダは無反応を突き通す。
それどころか、煙くないかという目線をサジに投げつけた。

「むー…」

しまいにはサジの方が折れて部屋の中へと引っ込み、1時間ほどしてからチョコケーキを片手にゴルダに帰ろうと言い出す。
それにゴルダは軽く頷き、サジを連れて帰った。

「なんか今日変だよ?」

「そうか?」

家へと帰って来るや、サジに様子が変だと言われるもゴルダはそうか?の一言で流し、夕食の支度を始める。
サジはゴルダがなにかを隠しているような気がして仕方なかったが、本人がああ言うのでは仕方ないと気にしないことに。
そして、夕食の時になってゴルダがこんな一言を言う。

「お前はバレンタインを知っているか?知っているならそれでいいし知らないなら知らないでもいい」

これになんの意図があったがさっぱり分からないサジは、ふーんという顔をしただけでその場を流す。
やがて夕食も終わり、ウラヘムトとアルガントが部屋に引っ込んだ後でゴルダは

「お前にいいものをやろう」

などと意味深なことを言ったかと思えば、サジの前に謎の箱を差し出す。

「なぁにこれぇ?」

何これと聞いてきたサジに、ゴルダはスピリタスを飲みながら

「開けてみろ」

開けてみろと言う。
それにサジは頷き、箱を開けた。
すると中には表面がつるつるなメロンが入っていたのだ。

「…」

「どうした、早く食え。友チョコならぬ友メロンだ」

それを涎を垂れ流しながら見ているサジに、ゴルダは早く食えと言う。
するとサジは近くにあったタオルで涎を拭いて箱の中からメロンを取り出して

「切って?」

ゴルダに切って欲しいと頼む。
するとゴルダはサジの目の前で刃渡がやや小さい包丁を出して器用に半分に切り分ける。

「もっと切り分けるか?」

「それでいい」

もっと切り分けるかと聞かれれ、サジはもういいと言って半分に切られたメロンにかぶり付く。

「落ち着いて食え、ある分だけ買ったら1玉しかなかったんだ」


落ち着いて食えと言ったところで、サジが聞く耳を持つはずもなく、ものの十数分で平らげてしまう。

「ありがとー」

メロンを食べ終えた直後、サジはそう言いながらゴルダの顔を舐めた。
もちろん、メロンの風味が残る舌でだ。

「臭うぞ、メロンのがな」

「関係ないよ」

こうして、一応ゴルダの友チョコならぬ友メロン作戦は成功したのだった。

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小説(交流) |

輝星とシアとチョコ

ある日、輝星花吹だか誰だかは忘れてしまったがこんな話を聞いた。
それは

「人間は2月のとある日に意中の相手にチョコをあげる風習がある」

というもの。
すなわちバレンタインのことである。
なお、輝星は普通このチョコを渡すのが女性から男性へというのを知らずして

「よーし、じゃあシア様にチョコをあげよう」

という考えへと行き着いたのであった。

そしてまたある日のセイグリッド。
上機嫌な輝星はサフィに言って城の厨房を借りようと考えながら、自前でチョコを用意して城へと向かう。
なお、サフィはやって来た輝星がチョコを持っていることにすぐに気付いて察したのか

「ああ、今厨房は空いてるから大丈夫よ」

厨房なら空いていると言って、遠回しに使うことを許可してくれた。
輝星はそれにありがとうとすれ違いざまに言って厨房へ。

「えーっと確か…」

誰もいない厨房で、輝星はあちこちから調理器具の他にいくつか果物なども拝借した。
用意したのはボウルが2つにケーキ用の型にトレイ、湯を沸かすための鍋。
それ以外は、飲んだことのないブランデーという酒を用意した。

「まず湯を沸かす必要があるね」

そう言って輝星は他の王子よりも小さい体で流しに立って鍋に水を入れ、コンロに火を入れて湯を沸かす。
セイグリッド城の厨房のコンロは魔法で火を起こすらしく、輝星が少し魔力を送っただけであっという間に強火で点火した。
そして湯を沸かしている間に、輝星はまた別のボウルに持ってきたチョコを割って入れる。
なお、持ってきたのはビター系の苦いチョコ。
なぜだか分からないが、シアは苦めのチョコを好む気がしたからである。

「あわわ、お湯沸いちゃった」

やけどしないように注意しながら、何も入っていいないボウルに沸かした湯を注ぐ輝星。
その手つきは、どこか手慣れた感が否めないがそれはサフィやアルガティアからある程度の手解きを受けたからだろう。

「湯せんってたしか…こうだよね」

そう言って輝星は湯の入ったボウルの中にチョコを割って入れたボウルを静かに入れてヘラでかき混ぜる。
この時、湯が外に飛び散らないようにしなければならないので輝星はかなりゆっくりしたペースでチョコをかき混ぜていく。
その際にブランデーを数滴だけ入れたのだが、その香りで輝星はなんだかほわほわとした気分になりかけた。

「いけない、早く溶かし切らないと」

だがすぐに我に帰り、輝星はチョコを溶かし切った。

「次はこれを型に…って下敷きとココアパウダー準備してなかったんだった」

次は溶かし切ったチョコを型に流し込むのだが、ここで輝星はココアパウダーとトレイに敷くクッキングペーパーのようなものを忘れていたので、チョコがまた固まる前に急いで準備する。

「あーあ、少し固まり始めてる…急がないと」

輝星がココアパウダーとクッキングペーパーもどきを用意し終えた時には、湯せんで溶かしたチョコはまた固まり始めていた。
これは急がないとと、輝星はトレイにクッキングペーパーもどきを敷き、型をセットしてチョコを流し込む。
使った型は丸型だが、輝星はあまり型にこだわってはいないので気にしていない。
溶かしたチョコを流し込み終えると、ココアパウダーを振りかけて型を外す輝星。

「これで完成…っと」

形こそは整形してないので少々いびつだが、シアにあげるだけなら十分すぎる出来だ。

「ああそうだ、調理器具片付けないと」

輝星はもちろん使ったものを片付けることも忘れない。
使ったものは片付けるのは当たり前だからだ。

なお、その頃何も知らないシアは何をしているのかというと

「ふうん…」

チョコを意中の相手に渡している者達を面白半分に見ていた。
一応サフィからもらいはしたのだが、ほんの少ししかくれなかったので物足りない様子。
するとそこへ

「シア様ー」

不意打ちで輝星がやって来たのであった。
しかもその手には輝星が自作したと思わしきチョコがある。

「どういう風の吹き回しなのかしら?」


あえてチョコに気付いてないふりをして輝星にそう聞くシア。
すると輝星は持っていたチョコを差し出して

「どう言ったらいいのか分かんないけど、これシア様にあげる」

チョコをあげると言ってきた。
シアはそのチョコを見て最初は訝しんで受け取ろうとはしなかったが、輝星ならと思って結局受け取って食べる。
味はビター系の苦味が強いもので、しかも少々くどい苦味だったが

「いい味ね、どこで習ったの?」

いい味だと輝星を褒めてどこで習ったのかを聞く。
それに対して輝星は

「うーんと、秘密」

と言ったとか。

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メリエルと友チョコと

「ほら、受け取りなさいよ」

2の月のある日、シアはメリエルからどういう風の吹き回しかは分からないがチョコを渡された。
大きさはメリエルがようやく両手で持っていられるほどの板チョコで、かなり重そうである。
そしてそのチョコを見たシアは、ふうむと前足で顎のあたりを触りながらこう言う。

「チョコくらい板じゃなくてもいいのよ?」

板じゃなくてもいいというのがどういう意味なのか、それはメリエルのある部分を見ればすぐに察することができるだろう。
それを言われたメリエルは、一瞬でなによという顔になって

「人が好意として作ってきたのにそれはないでしょ!チョコから胸の話に話題をずらすなんて何なの?」

人が好意で作ってきたのにそれはないでしょと多少怒鳴りつける感じで言い捨て、シアに背を向けて帰ってしまった。
メリエルが帰った後、シアはそのチョコを食べつつ

「あらあら、案外苦めに作ったようね。これくらいの苦さが丁度いいわ」

その味をそれなりに評価していたとか。

「あー全くもう、友チョコでまさかまた胸の話に持っていかれるとは思わなかったわ」

その頃、メリエルはというとゴルダの家までやってきていた。
それもそのはず、友チョコを渡そうとしていたのはシアだけではないのだ。

「メリエル様が来たわよー、開けなさい」

いつもの調子で玄関の戸を叩くメリエル。
だが、誰も出てくる気配がない。
おかしいなと思ったメリエルは、そのまま玄関から家の中へと入る。
ちなみに、ゴルダからは呼んでも自分が出なければ勝手に上がって待っていろという許可は得ているので問題はない。

「ちょっと、寝てないで起きなさいよ」

家の中へ入ると、週刊誌を顔に被せて昼寝中のゴルダが目に入ったのでメリエルはその週刊誌を取ってゴルダを起こす。

「よく来たな、ん?」

メリエルに起こされ、いつもと同じような振る舞いをするゴルダ。
だがその頭の上にはライノートの所に居るようなドラビットが居たので、どういう事なのかをゴルダに聞くメリエル。
すると、ライノートが来た時に偶然ついてきたのが懐いて引き取ったのだとか。
名をマティルーネというらしい。

「…触って大丈夫なの?」

「知らん、こいつはマイペースすぎて読みにくい」

ふと触りたくなったメリエルは、ゴルダに触ってもいいかを聞くと知らんと返された。
だが、知らんは触ってもいいということだと自己解釈したメリエルはそっとゴルダの頭の上のマティルーネに手を伸ばす。
だが、マティルーネはメリエルの手が目の前に来るやガプッと噛み付く。

「いたい!なんで噛むのよ!?」

「単純にびっくりしただけのようだが?それより傷見せろ」

マティルーネに手を噛まれ、渋い顔をするメリエルにゴルダは手を見せろと言う。
特に噛むことで相手に伝染するような病気を、マティルーネが持っていないことは日頃の健康チェックで分かっているのだが竜とて動物。
なので思いもよらない病原菌を持っている可能性もあるからだ。

「今日は厄日よ」

そう言いながらゴルダに噛み傷を見せるメリエル。
ゴルダはメリエルの噛み傷を見て、さほど強く噛まれてないことが分かるとどこから消毒液と包帯を出して一応の処置をした。

「あ、ありがとう」

この程度の傷くらい、天才の自分にかかれば数秒で傷跡もなく完治させられるのにと内心思いながらも、メリエルは一応処置をしてくれたことへの礼は言う。
一方ゴルダはマティルーネを頭から降ろし、自衛以外で人を噛むんじゃねえと注意していた。

「あっ、それよりこれあげるわ」

ここで、ゴルダの家に来た本当の目的を思い出したメリエルは、若干くしゃくしゃになった箱に入った手作りチョコを差し出す。
するとゴルダはほほうと呟いてから

「有り難き、受け取っておくぞ」

などと変な礼を言った。
それにメリエルはなんてぶっきらぼうな礼の言い方なのとは思いつつも

「あんたはいつもと同じ反応ね、シアと違って」

いつも同じ反応なのねと言う。
それにゴルダは、悪いか?と言いたげな目線を投げかけたのであった。

「じゃあもうお邪魔するわ、他にも行くところあるの」

メリエルは他にもライノートに渡さないといけないことを思い出し、ゴルダの家を後にする。


「わざわざありがとうございますメリエルさん」

「いいのいいの、いわゆる友チョコって奴よ」

たまたま里の畑に居たライノートにチョコを渡し、その場で雑談を始めるメリエル。
周りに居たドラビット達は、族長は何をしているんだ?という顔で2人を見ている。

「友チョコ…ですか」

「そう、友チョコよ」

2人が他愛もない雑談をしているところへ、どこからともなくエフベランカがやって来たかと思えばメリエルに

「チョコは盛るんだな、そっちは盛らないのに」

などとシア以上にデリカシーのない一言を嫌味口調で言ったのだ。
それを聞いたメリエルは

「胸の話しか話題がないの?何なの?それよりあんたにもあげるわ」

胸の話しかできないのかと言っておいて、正方形の小さいチョコをエフベランカに投げつけたのであった。
なお、投げつけられたチョコを見たエフベランカは

「チョコをチョコっとと貰った…」

などといつもの駄洒落を言ってメリエルに礼も言わずにその場を立ち去ったという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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