氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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どこでも一緒のようです

マティルーネが来てから数日経ったある日。
茶色と灰色の汚れた色の雪がべっちょりと固まっている家の裏手でゴルダは狩猟用狙撃銃を撃ちつつ手入れをしていた。
だが、その頭にはドラビットのマティルーネがぼんやりとした顔つきで乗っかっている。

「おい、降りて離れろ。聴覚やられるぞ」

簡易的ながら調整を終わらせ、実弾で的を撃とうとしたゴルダはマティルーネに降りるように言う。
だが、マティルーネはゴルダの降りる気配を見せず、何なら耳栓の魔法でも使ってよと言わんばかりに後頭部を尻尾でぺしぺしと叩く。
ゴルダはこれに対しては頭の上のマティルーネを無理矢理持ち上げてから地面へ下ろした。

「そこでじっとしてろよ」

べっちょりととした雪の冷たさが不快なのか、嫌そうな顔をしながらマティルーネはその場でゴルダをじっと見ていた。
だがゴルダはそれを気にも留めずに狩猟用狙撃銃を構えてそのまま3発ほど弾を放つ。
案の定マティルーネは銃声がうるさかったらしく、さらに不快そうな顔をして威嚇し始める。

「言っただろ、離れろと」

狩猟用狙撃銃を下ろし、威嚇しているマティルーネを持ち上げながらゴルダはそう呟いて家へと戻る。
その途中、マティルーネはゴルダの頭には乗ろうとはせずに後を飛んで付いてきた。

「そうカッカすんなよ、お前が悪いんだろうが」

家へ戻り、未だに威嚇しているマティルーネにお前が悪いとゴルダは言い放ち、洗面所に手を洗いに向かう。
その間、マティルーネは台所の食卓テーブルの上で前足の爪をカリカリと掻いていた。
そしてゴルダが戻ってくると何事もなかったかのように頭の上に乗る。
そんなマティルーネに、ゴルダは何も言わずにそのまま頭に乗せて洗濯を始めた。

「ウラヘムトめ、またバスタオルを一回使って籠に入れやがったな」

洗濯機に洗い物を突っ込みながら、バスタオルの量が思った以上に多かったのでゴルダはそう言う。
よっぽどのことがない限り、バスタオルは3回は乾かして使うのがゴルダの家では普通なのだ。
だが、それがサフィにでもバレたら2回にしろなどと言われることだろう。

「うん?お前も洗濯機で洗われたいのか?」

動き出した洗濯機の中をじっと興味深そうに眺めるマティルーネに、ゴルダは冗談交じりにそんなことを言う。
するとマティルーネは、ゴルダの頭になんの前触れもなく噛み付いた。
冗談にもほどがあるだろと、言いたかったのだろうか?
ちなみに、ゴルダとマティルーネは互いに相手の言っていることは理解できるが、自分の言っていることがどうにも伝わってないようである。
それでも生活できているのは、やはり相手の言っていることを理解できているからだろう。

「洗濯はこれでいい、と…そうだそうだ。お前の今日の健康チェックしてなかったな」

健康チェックと聞いて、マティルーネはビクッとする。
実はマティルーネ、ゴルダが毎日やっている健康チェックが何気に嫌いなのである。
その理由は本人のみぞ知るだが、どうにも体温を測る手法が気に食わない様子。

「そうと決まればすぐやるぞ」

そしてそのまマティルーネが連れて行かれたのは、先ほどいた食卓テーブルの上。
そこにマティルーネは降ろされると、ゴルダが道具を持ってくるのを待つ。

「よしよし、動くなよ」

健康チェックは毛の硬さを調べられたり、体温を測られたりする以外には目を調べられたり心音も聞かれたりする。
なお、体温はどうやって測るのかというと口に竜用の特殊な体温計を突っ込まれて測られるというもの。
マティルーネは、この体温計を口に咥えた時の感触が人参と違って気持ち悪いようだ。

「目も毛の硬さも問題なし、体温も平熱。心音も異常なし」

ライノートからも聞いていたが、マティルーネを含めたドラビットはそこまで病気を患うことがないらしい。
それは人参という野菜を好んで食べるせいではないかとのこと。
実際、草食や雑食の草食寄りの竜は肉食の竜に比べて病気になることが少ないという。

「お前の言っていることが分かるようになるといいんだが」

そう言ってゴルダはマティルーネの鼻先を指で押す。
マティルーネを含めたドラビットが使う竜言語は、かつてのエゼラルドと同じで少々特殊らしく、通じるようになるには時間がかかるとシアに言われている。
ではなぜライノートやトスカとは言語的に通じるのかというと、それは曲がりなりにも人間の姿を取っているからだという。

「おっと、薪を割らねば」

ここで暖炉とコンロ用の薪割りを忘れていたゴルダは、そそくさと庭へ出る。
もちろん、マティルーネも頭に乗って付いていく。

「20くらい割れば足るだろう」

そう言って、マティルーネが怪我しないよう注意しながら斧を振り上げるかと思いきや、足を振り上げてかかと落しでゴルダは薪を割り出した。
なお、この芸当は普通のものにはある程度鍛錬を積まないと真似できない。
こうして割った薪は斧でやるよりも割り口が雑だが、燃えれば同じなのでゴルダは全く気にしていないとか。
ゴルダがかかと落しで薪を割っている間、マティルーネはその頭の上で傷をつけない程度に爪を立ててガッチリと掴まっていた。
だが、いくらゴルダの頭に傷をつけないようにしてもふとした拍子で抉ることも珍しくないという。

「こんなものか」

そう言ってゴルダは割った薪を家の中へと運び入れる。
マティルーネも一応手伝うのだが、あまり大量には運べないので1つか2つをちまちまと運んでいる。

「無理しなくていいぞ」

とはゴルダが言うものの、マティルーネは見栄を張って運ぼうとし、結果的に前足に薪のささくれが刺さって

「言わんこっちゃない」

ゴルダに取ってもらう羽目になった。
だがっそれでもマティルーネは所々でゴルダを手伝おうとする。
次に手伝おうとしたのは、夕食の食材の買い出しについて行った時のこと。

「日本産はやはり高いな、うまいんだが」

マティルーネのみに限り、毎食毎食人参を出しているゴルダは様々なレパートリーを考える。
生はもちろん、茹でたり焼いたり煮たり、あるいは摩り下ろしたりなどといろんなレパートリーでマティルーネに出している。
ちなみに、今朝は人参と蜂蜜のオーブン焼き、昼は茹で人参にチーズの付け合わせ。
なお夜はキャロットグラッセを作って出す予定だ。

「よし、帰るか」

買い物を終え、車に戻ろうとするとマティルーネが買い物袋を持たせろと目線で訴えてきたのでゴルダは

「分かった。だが無理はするな?」

無理はするなと釘を刺してマティルーネに買い物袋を持たせる。
だが、マティルーネが持ち運べる重量をゆうにオーバーしていたたためか、まともに運べていない。

「言わんこっちゃねえ、ほら貸せ」

それを見たゴルダは、貸せと言ったのだがマティルーネは耳を貸さない。
意地でも車まで運ぶつもりらしく、買い物をずるずると引きずっている。

「ほら、人の話は聞かんか全く」

最終的にはゴルダが無理矢理奪い返して車まで運んだ。

「手伝うのはいい、だが無理はするな。無理されるのが一番困る」

帰路の途中、ゴルダはマティルーネにそう言って聞かせたという。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |

マティルーネ

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性別:♀
種族:ドラビット
身長:ゴルダの頭に乗る程度(まだ幼竜のようだ)
性格:マイペース?
ライノートについて来たドラビットがゴルダに懐いてそのまま迎え入れた。
寝る時以外はほとんどゴルダの頭の上から離れないのは、そこがお気に入りなせいだとか。
なお紫の方の個体。
幻獣語によく似た言語を話すため、幻獣語が理解できれば会話は可。

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創作関係全般 |

餅を焼くようです

ある日のシアの塔の一角。
そこでゴルダとシアとエシュフィルトが少し大きめの七輪を囲んで餅を焼いていた。
ちなみにこの餅、ムサヅキが神社の鏡開きで腐るほどあったからと半ば無理矢理押し付けてきたようなもの。
量にして50から100キロ近くあったのだが、サフィが料理などに使って出したので残っていたのはわずか数キロ。
それを3人で七輪で焼いて食べようとしているのが今の状態だ。

「木炭そんなねえから火力弱いな」

「あら、木炭錬成すればいいの?」

「やめろ、大木丸ごと1本の木炭なんて錬成されても使えんぞ」

木炭が足りないので七輪の火力が弱いと言うゴルダに、錬成すればいいのかと返したシア。
それにゴルダはお前は必要量以上錬成するからこれでなんとかするとさらに返す。
そう言われたシアはあら残念という顔をしてまだ焼かれていない餅を眺める。
鏡餅を崩したものなだけあって形はバラバラで、それぞれ重さも違う。

「火力は安定したな。よし、これから焼こう」

と言って、ゴルダが餅の山から取ったのは大きすぎず小さすぎずの餅の塊。
それを数個取って七輪の網の上に並べる。

「七輪って、暖房代わりにもなるからいいわよね」

「ムサヅキの方じゃまだ七輪や囲炉裏で暖を取っているところが大多数だ」

七輪に手を近づけて温めながらそう言ったエシュフィルトに、ゴルダはムサヅキだとまだ七輪などは使われていると話す。
エシュフィルトはそれにふーんと言って膨れ始めた餅を眺める。
そしてゴルダはその膨れ始めた餅を急にひっくり返す。

「あら、なんでひっくり返すの?せっかく膨れてきてたのに」

「気分だ、気分」

そんなゴルダに、シアはなぜひっくり返したのかを問うがゴルダは気分だと返してそれ以上は何も言わない。
なお、ひっくり返された餅は膨れていた方はいまや萎えてひっくり返された方が今度は膨れてきている。

「どのくらい焼けばいいの?」

「ん、表面がカリッとする位にだな」

今度はどれくらい焼くのかとエシュフィルトに聞かれ、ゴルダは表面がカリッとする程度だと返す。

「うーん」

「何やってんだ、餅で竜なんか作って」

ふとシアを見ると、餅で竜を作っていたのでゴルダは何やってんだと言う。
だがシアはそれには何も返さずに鼻歌まじりで2体目を作っている。

「ほら、これはもういいだろう。熱いから気をつけろ」

ここでようやく餅がいい具合に焼けたので、ゴルダはエシュフィルトの皿に焼けた餅を置く。
なお、シアは餅竜作りに夢中なのでこちらは眼中にないようだ。

「醤油、砂糖、きな粉…好きなやつかけて食え」

「はーい」

サフィに言って用意してもらった醤油などが入った容器をエシュフィルトへ差し出しながらゴルダはそう言う。
エシュフィルトはその中から醤油を選び、かけすぎないよう注意しながらちょっとだけ垂らしてかぶり付く。

「あっ、おいしい」

「ムサヅキの餅米で作った餅は独特の風味と粘り気があるからな、病み付きになる奴はなる」

おいしいと言いながら無我夢中にかぶり付くエシュフィルトを見ながら、ゴルダは何もかかっていない焼きたての餅を頬張りながら次の餅を七輪の網の上に置く。
今度は少し大きめの塊だ。

「見て見て、餅竜よ」

大きい塊を焼き始めた直後、シアがゴルダに自分が作った餅竜を見せびらかしてきた。
そして、それを見たゴルダがなんと言ったかと思うと

「焼いたら面白いことになりそうだな」

焼くかと的外れな一言を返す。
これにシアは少しむすっとした口調で

「もう、なんでそんな感想になるのかしらね」

なんでそんな感想になるのかと不満を漏らす。
だがゴルダは、その感想を覆そうとはせずに焼くからよこせと手をこまねく。
もちろんシアはそうはさせないと言わんばかりに、渡そうとしない。

「あっ、裏返さないと」

向き合ったまま沈黙ている2人をよそに、エシュフィルトは膨れ始めた餅をひっくり返す。

「やーけーろー、やーけーろー」

早く焼けろと、箸で餅を叩いているエシュフィルトにゴルダがようやく気付いて七輪の下の方に風を送る。
なおシアはようやく諦めたのねという顔で餅竜に何か細工を始める。

そして、餅を焼き始めて1時間後。
ほどほどに餅を食べ終えて、七輪で暖をとるゴルダとエシュフィルト。
残る餅はあとわずかで、シアの分しか残っていない。

「大分灰になってしまったな」

七輪の中身をいじくりまわしながらそう呟くゴルダに、コツンと何か硬いものが後頭部にぶつかった。
ちなみにそのぶつかったものとは小さい餅の欠片。
それをやったのが誰なのかの検討がすぐに付いたゴルダは、即座に後ろを振り向く。
すると、白くてカチカチの何かにつきたての餅を吐きかけられたのであった。

「どうよ、これが私の生み出した餅竜よ。とはいえ一時的に適当な竜の浮遊霊を入れているだけだけど」

「面白い、ならば。餅竜…焼くべし!」

「やれるもんならやってみなさいな」

こうしてひょいひょい逃げ回る餅竜を捕まえて焼こうとするゴルダを、エシュフィルトは緑茶片手に見ていたのであった。

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小説(一次) |

紫月神社での初詣にて

それは、ゴルダが1人でムサヅキの紫月神社へと初詣に行った時のこと。
神社の入口には『謹賀新年』と明らかに藍の達筆な字で書かれた書道の張り紙がしてある。

「ふっ…」

それを見てかすかに鼻で笑うとゴルダは敷地内へ。
正月の3ヶ日ということもあってか、参拝者は決して少なくはなかった。

「人が多いこった」

ひとまずお参りだけは済ませようとゴルダは賽銭箱が置かれている前へ。
そこに小銭を投げ入れ、いつも初対面の者に挨拶をするようにお参り。
その後は惹かれるようにして、境内の片隅で暇そうに参拝者を見ているムサヅキの所へ。

「なんだお前か。ほら飲め」

「謹賀新年、とでも言っておこうか?」

ムサヅキはゴルダに気づくや、酒樽をぐいとよこす。
だがゴルダはこんなには飲まんとその酒を押し返し、ムサヅキに新年の挨拶をした。

「三姉妹に挨拶してくるがいい、後で儂から話がある」

するとムサヅキは紫月三姉妹に挨拶して来いと言ってゴルダを行かせる。
それにゴルダは軽く頷いて三姉妹を探す。

「…あけましておめでとう」

「あけましておめでとう。未帆か、相変わらずの低血圧のようだな」

「藍姉さんと氷雨姉さんは今忙しい、厄払いとかでね。挨拶は私が通しておくわ」

藍と氷雨は見当たらなかったが、未帆が居たのでゴルダは未帆に挨拶をする。
未帆によると、藍と氷雨は厄払いなどで忙しいとのことだ。
なので、ゴルダは2人には未帆から自分が挨拶しに来ていたことを伝えることを伝えた。

「なんだかな」

「どうしたんだい?」

「なんでもない」

一緒に来ていた氷麟がどこからともなく現れ、なんだかなと呟いたゴルダに聞く。
それに対してゴルダはなんでもないと切り捨て、ムサヅキの所へ戻る。
ムサヅキは相変わらず酒を飲んでいて、若干酔っているようにも見えた。

「うむ、来たか。ではついて参れ」

ゴルダが戻ってきたのを見て、ムサヅキはついて来いと背を向ける。
これにゴルダは一体何を考えているんだ?という顔をしつつもついて行く。
なお氷麟は、ムサヅキがここで待っていろと少し怖い目付きで無言の圧力をかけてきたのでついて来ていない。

「話とは?」

どんどん山の中へと入っていくムサヅキに、ゴルダはなんの話なのかと聞く。
それに対してムサヅキは何も答えず、ただただ山中の道なき道を歩いていく。


「この辺なら邪魔は入らぬだろう」

ムサヅキはそう言っていきなり座り、ゴルダに近くに来いと目線で訴える。
ゴルダがそれに警戒しつつも近寄ると、ムサヅキはいきなりゴルダの匂いをすんと嗅いでから

「…やはりか」

「何がだ?」

ムサヅキの一言に、ゴルダは何がだと追求。
それにムサヅキは一言も答えずにゴルダの目を見つめ続けた後に何か経めいた何かを呟くと

「お前は今年、大きな『変化』を迎えるだろう」

今年大きな変化を迎えると言い放つ。
実はこれ、ムサヅキの予言なのだが信憑性は不鮮明で本人も当たるも八卦当たらぬも八卦割り切っている。
その予言を聞いたゴルダは、そうかと呟くと

「とっくに変化なら起きているが、それがどうかした?聖竜の血の覚醒が始まったというな」

去年、聖竜の血の覚醒が始まったことを話す。
ムサヅキはそうかと一言だけいうと、突然ゴルダと境内の方へとワープ。

「まあ、そんなことはどうでもいい。今は飲もうぞ」

そして、自分へ供えられた酒を開けて飲もうぞと言い出したのであった。
これにはゴルダも付き合わざるを得ないと、氷麟やムサヅキが付き合いのある妖怪達としばらく飲んでいたとか。

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小説(一次) |

賢王竜

真名:グラドニア=ウィズダム
享年:不詳
性別:不詳
身長:20m
性格:見下すような言動があったりするものの、物教えはすんなりとしてくれる
かつてリフィルがまだ自治区であった時代に存命していた賢者の竜
容姿はゴルダのもう一つの変身した姿に酷似
賢竜と呼ぶにはあまりにも大きすぎる風貌だったが、賢竜にはたまにこういった者も居るらしい
自治区の独立に関してはイリアスに知恵入れをしていたというが、それが正史なのかどうかは資料が賢者の竜の里にも残されていないので不明
だだ一つ残されている資料には、己の死後に自分の甲殻などを使って鎧を作って魂をその鎧に入れろという遺言状だけ
その鎧は現在ゴルダが身につけていて、その魂もゴルダに憑いているという
いつもは内側から傍観しているだけだが、時折ゴルダがポカをやらかすと馬鹿にしてきたり、ゴルダが頼んできたときに自身の知恵や魂となってもなお保持している魔力を貸す
だが、ゴルダが頼んだ時以外でも魔力を勝手に貸してくることもある

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創作関係全般 |

正月の一時

地球で新たな1年が始まったように、ドランザニアでも新たな大陸歴の1年が始まった。
いつもならば、リフィルやセイグリッドへこの日は行くゴルダなのだが、今年は違った。
それはなぜか?何を隠そう、ゴルダの所にはハーキュリーが居るからである。
なので、下手に出ることができずにこうやって家でハーキュリーと過ごしているのだ。

「今年も良い年にしよーなー」

「ふっ…」

「むー」

ゴルダの相変わらずの反応にむすっとするハーキュリー。
テーブルの上には正月ということもあってか、様々な料理が並んでいるがこれは全部ゴルダが作ったものである。
一応ハーキュリーも手伝ったのだが、手伝ったのは下ごしらえ程度。

「なーなー、アルガティアの所行かねーのか?」

「お前が居るだろ、それにたまには正月くらい自宅で過ごしたい」

アルガティアの所に行かないのかとハーキュリーに聞かれ、ゴルダはたまには自宅で正月を過ごしたいと返す。
そのゴルダの返事に、ハーキュリーはなんだよという顔をするも

「私が居るからって、行かない理由にはならねーんじゃないのか?」

自分が居るから行かないというのは理由にはならないと言って、ゴルダの腕をぐいと引っ張る。
だが、ゴルダは重力増加の魔法を使ってまでして動こうとしない。
それを見たハーキュリーは、ならばこっちにも考えがあると

「シュクル呼ばれたいのか?」

とある竜の名をさらっと出す。
これにはゴルダも

「めんどくさいことになるから呼ぶな」

と反応を示す。
どうしてここまでゴルダがシュクルに来て欲しくないのかということについては伏せておくが、とにかく面倒なことになるようだ。

「なら行くぞー」

ハーキュリーのある意味での脅しで折れ、ゴルダはめんどくさそうに立ち上がると出る準備をする。

「なんだ、普通に行こうと思えば行けるじゃないか」

「むっ」

行こうと思えば行けるじゃないかとハーキュリーに言われ、ゴルダはむっと言うがそれ以上は何も言わずにリフィルへと向かった。
リフィルの正月はこじんまりとした感じで、正月らしい飾りはほとんどなく、城門に

「新玉の年」

という張り紙がされていたくらい。
そのシンプルさにハーキュリーは

「いくら何でも簡素過ぎないか?」

と突っ込みを入れる。
だが、城内では普通にそれらしいことはしていた。

「あけましておめでとうなのだー」

「新春の挨拶申し上げるわ」

タイミング良く居たアルガティアにハーキュリーが挨拶すると、アルガティアも同じように返してくれた。
なお、ゴルダはアルガティアに軽く会釈しただけで無言。
それを見たアルガティアは、ハーキュリーに

「どうかしたの?」

と聞く。
するとハーキュリーは、無理矢理連れてきたから少し機嫌が悪いだけだと答えた。

「無理に連れてこなくてもいいのに」

「新年の挨拶は大事だと思うがなー」

無理に連れてこなくてもいいと言うアルガティアに、ハーキュリーは新年の挨拶は大事だと言う。

「まあいいわ。それよりこれ、お年玉」

「わふ?」

相変わらず無言で従者に出された酒を飲んでいるゴルダをよそに、アルガティアはまあいいわと言って大きめの魔法石をハーキュリーにお年玉だと言って差し出す。
なお、魔法石のサイズはハーキュリーの片手に収まりきらないほどのサイズで、このサイズの魔法石は1つで田舎に豪邸が立てられるとかないとかくらいの値打ちがあるという。
なぜアルガティアがこんな物を持っているのかというと、自分で錬成して作ったからである。
ちなみにどう作ったのかというと、元となる適当な石に魔力を注いで錬成魔法で錬成するだけ。
だがこれでも制作難易度はかなりのものである。

「ありがとうなんだな、しかし私がこんなものもらっていいのか?」

「いいのよ」

「そっかー」

本当にもらっていいのかと、少し訝しむハーキュリーにアルガティアはいいのよと返す。
ハーキュリーはそう言われて、そっかーと言ったとか。

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